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100億円弱でデブライネ獲得合意報道⁉ マンチェスター・シティのお財布は大丈夫…?

いやー、すんなり決まってしまうのでしょうか。ドイツ紙「ビルト」が、マンチェスター・シティとヴォルフスブルクがケヴィン・デブライネのプレミアリーグ復帰について合意に至ったと報じています。ベルギー代表MF獲得にかかる移籍金は、スターリングを凌駕する7000万ユーロ(約96億6000万円)。昨季ブンデスリーガで10ゴール20アシストという出色の数字を残したとはいえ、1季活躍しただけの選手としては高額です。最近の移籍金の全体的な高騰ぶりを見ていると、バルセロナがリヴァプールに払ったルイス・スアレスの8100万ユーロが安く感じます。しかし、マンチェスター・シティにとっては、デブライネはそれほどほしい選手であり、「今、獲ることが重要」なのたのだと思います。

スターリングに4900万ポンド(約94億円)、アルゼンチン代表CBオタメンディに4500万ユーロ(約62億円)という景気のいい金額に、デブライネの100億弱と年俸1000万ユーロ(約13億8000万円)という数字がのっかるのを見て、「FFPは大丈夫なのか」「経営的に赤字にならないのか」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。これについては、彼らの数字を見る限りでは「全く問題なし」です。今季の派手な大物獲得に目がいきがちですが、直近3シーズンで計上した移籍金の額はマンチェスター。ユナイテッドやチェルシーを下回っており、この夏はジェコ、ネグレド、ヨヴェティッチらの売却でキャッシュを回収しています。余剰戦力を早期に売却し、クラブのスタッフ人件費も大幅に減額するなど、金満クラブと揶揄されるイメージよりも実際はコストに関してはシビアです。

さらにもうひとついえば、彼らが年間1億ポンド以上の移籍金を計上していた2010~2011年の減価償却が、昨年度までで終わったという状況もあります。2010年にはダヴィド・シルヴァ、ヤヤ・トゥレ、コラロフなどを獲得しておりますが、5年契約の選手について5分割で乗っかっていた費用が消えて、身が軽くなっているのです。元々が無借金経営で、全体的にコストが減っている一方で、収入はうなぎのぼり。マッチデイ収入はスタジアムの座席数増設で増収確実、スポンサーは毎年増えておりコマーシャル収入もUP、プレミアリーグ全体の契約更新でテレビ放映権料も増える見通しです。大物獲得で、ユニフォームもさぞや売れるでしょう。彼らに足りないのは、マンチェスター・ユナイテッドにおけるシボレーやアディダスなどの超大口スポンサーと、6万人規模のスタジアムぐらいではないでしょうか。

FFPの罰金も2014年度の会計で解決済み。単年で300億の投資をしたとしても、まったく腹は痛まないでしょう。未だに「潤沢なオイルマネーを…」などと書いている記事もありますが、それは過去のお話。マンチェスター・シティは、プレミアリーグのなかで最も経営努力をしているクラブです。営業が弱いアーセナルや、コスト改善努力が足りないマンチェスター・ユナイテッドの経営陣は彼らに対して頭が上がらないでしょう。

さて、冒頭の話に戻って、デブライネです。彼を「今、獲ることが重要」というのは、2つの意味があるのではないかと思います。ひとつは単純に、他のクラブに獲られないうちに。そしてもうひとつは、クラブ内の世代交代をスムーズにするために。ヤヤ・トゥレやダヴィド・シルヴァ、ヘスス・ナバス、コンパニ、サバレタ、コラロフなど主力が今季で30代ばかりとなるマンチェスター・シティは、ピークを過ぎた選手を放出してから次を物色するのでは遅いと考え、ダブらせてでも次世代へのモデルチェンジを進めるべし、としているのではないでしょうか。

もしそうだとすれば、ヤヤ・トゥレやダヴィド・シルヴァがこの先2~3年でクラブを去ったとき、中盤の王様として君臨するのは20代後半になりピークを迎えるデブライネという目論見なのでしょう。そしてまた、ポグバ獲得も彼らの長期的な強化におけるひとつのパーツとして組み込まれているのだと思われます。ライバルクラブのサポーターとしては、ヴォルフスブルクに「そんなにあなたたちの思い通りにはいかないよ」とささやかな抵抗を見せてほしいのですが、ハンブルクでのイベントでデブライネが司会者にのせられ「ヴォルフスブルクに残留する」と宣言した際、代理人が「ケヴィンの将来は何も決まっていない」と反発していたのを見ると、残り10日のうちに移籍発表がある可能性のほうが高いのではないかと思います。

オタメンディ獲得で「マンチェスター・シティの死角が消えた」とへこんでいたところに、デブライネまでいかれたら言葉がありません。いやー、すんなり決まってしまうのでしょうか。最終ラインがときどき不安定で、アグエロを欠くと先制ゴールを奪うのに時間がかかり、スランプに陥ると2ヵ月ぐらいはフラフラし続けるのが年中行事化していたところに彼らの付け入るスキがあったのですが…。8月の終わりには、私は白旗を掲げているかもしれません。今季のプレミアリーグ優勝はマンチェスター・シティ!と言い切るのは早計だとしても、われわれのクラブがお隣を上回るイメージは日に日に薄くなっており、あとひと押しで消え去ってしまいそうです。(ケビン・デブライネ 写真著作者/Opihuck)

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“100億円弱でデブライネ獲得合意報道⁉ マンチェスター・シティのお財布は大丈夫…?” への3件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    管理人さんが随分弱気になってるwww
    マンチェスターダービーは随分先ですが早くも楽しみですね
    お互い新戦力が多いので10月半ばというのも選手がチームに溶け込み始める時期ですし遅すぎず早すぎずという感じですし
    デブライネ あまりに高すぎる買い物ではあるもののイスコやゲッツェが獲れないのでは仕方ないのですかね?
    ぜひイスコが見たかったのですが…

    —–
    マンチェスターシティはFFPに引っかかるような計画性のないクラブでは?

  2. makoto より:

    シティズンさん>
    いやー、ライバルクラブとしてはペジェグリーニさんの契約延長とオタメンディ獲得が痛いですね。前者で選手の集中力が上がり、後者は弱点が改善されるいい契約だと思います。さらにデブライネとは…。イスコまでいくのは勘弁してください(涙)。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    FFPでアウトになったことについては、マンチェスター・シティは「解釈の違い。いいたいことはあるけど争わない」と声明を出していました。彼らの損益計算書を見ても、意志を持って改善すべき数字を良化させており、計画的に運営していたのがよくわかります。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    死角は左SBですね。去年やられたときはいつも
    ここからでした。
    今年そこの補強でクルザワかサンドロ、あるいはバークリー辺りを狙っているようでしたが、サンドロはユーヴェで確定、クルザワはPSG濃厚なので、冬までクリシとコラロフのまま行きそうな気配ですね。

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