偏愛的プレミアリーグ見聞録

ヴィクトル・バルデス、エスピノーサ、デローン、ヴィクトル・フィッシャーと精力的に補強しているミドルスブラについて、サプライズなストライカー獲得と残念なニュースが前後して飛び込んできました。既に1000万ユーロ(約11億8000万円)で話がついていたネヴェン・スボティッチは、メディカルチェックを通らなかったようです。痛めていたのは肋骨で、手術が必要となるため年内絶望。プレミアリーグでプレイすることに意欲を示していたCBは、ドルトムントに残って治療に専念することになります。

一方で、得点力が課題のボロが懸案としていたストライカーは、バレンシアのアルバロ・ネグレド獲得が決まりました。リーガ・エスパニョーラで264試合112ゴールの元スペイン代表FWは、2度めのプレミアリーグ挑戦です。2013-14シーズンにマンチェスター・シティに入団したネグレドは、すぐにチームに溶け込み、前半戦は18試合8ゴール。アグエロとのコンビもよく、エースの座を手中にするかと思いきや、なぜか年明けから失速してしまいました。後半戦はスタメン6試合、わずか1ゴール。翌シーズン、巻き返しを図ろうとしていたネグレドに、立て続けに不運が襲います。プレシーズンマッチで右足骨折。チームはFFPのペナルティを受けて、CL登録人数削減。ペジェグリーニ監督は、使える見込みのないネグレドをメンバーから外しました。前季のプレミアリーグで徐々に出場機会が減り、ストレスを溜めていたストライカーは、これをきっかけにスペイン復帰を懇願。移籍最終日にバレンシア入団が決まったネグレドの最初の挑戦は、プレミアリーグ32試合9ゴール、公式戦通算48試合23ゴールで幕を閉じました。数字は悪くなかっただけに、2年めのつまずきが悔やまれます。

あれから2年。30歳になったネグレドは、ボロでどんなプレイを見せてくれるのか。バレンシアではレギュラーポジションを奪えず、ヌーノ監督との確執、ガリー・ネヴィル監督時代の混乱もあって2シーズン連続5ゴールと低迷。信じて使えば復活するのか、セヴィージャ時代の輝きを失ってしまったのかはわかりません。カランカ監督がめざすサッカーが堅守速攻型だとすれば、フィットするかどうか不安ですが、色眼鏡で見ずにリベンジを期待したいと思います。

さて、30代ストライカーのプレミアリーグ復帰といえば、彼は結局どこにおさまるのでしょうか。フェネルバフチェが契約を切りたがっているといわれるロビン・ファン・ペルシ。プレミアリーグで2年連続得点王という実績を誇る32歳のレフティは、トルコで先発の機会を減らしながらも31試合16ゴールとなかなかの数字を残しており、衰えたと決めつけるのはまだ早いでしょう。「デイリー・メール」がクリスタルパレス、ウェストハム、ミドルスブラが狙っていると報じた後、ネグレドを獲ったチームが抜ければロンドンダービーですが、ここにきてストークが手を挙げたようです。

ストークは一方で、WBAのサイド・ベラヒーノに2000万ポンド（約28億円）のオファーを提示したとも伝えられており、「BBC」によるとクリスタルパレスはこちらでもライバル、ワトフォードも興味を示しているとのこと。ベラヒーノの移籍話は、ラカゼット同様に夏の風物詩となりつつありますが、昨季プレミアリーグで31試合4ゴールと振るわなかった22歳は、希望通り環境を変えられるのでしょうか。クラブと選手が入り乱れるエキサイティングな椅子取りゲームの決着がつくまでには、もうしばらく時間がかかりそうです。

そんなこんなでストライカーを取り損ねたクラブの奥の手は、フリーで獲得できる大物ベテランコンビではないでしょうか。35歳のベルバトフと、32歳のアデバヨル。前者はギリシャのPAOKサロニカで14試合4ゴール。前でキープしてくれるベルバトフが、下位クラブにとってありがたい存在になる可能性は充分です。片やアデバヨルは、最近2年のプレミアリーグで3ゴールしか決めておらず、さすがに限界かもしれません。巻き返したいストライカーと、テコ入れしたいクラブの幸せな出会いも楽しみにしながら、「BBC」「スカイスポーツ」「デイリー・ミラー」あたりを夜な夜な巡回する今日この頃であります。