早くも5億ポンド超え!プレミアリーグの移籍金総額はレコード更新間違いなし!
「BBC」は、「プレミアリーグのクラブの出費が5億ポンド(約730億5000万円)を超えており、8月31日までに新記録を達成する見通し」と語った監査法人デロイトのリリースを紹介。昨季の同時期は3億4000万ポンドで、150%近い伸びを示しています。フットボールにおけるファイナンスの専門家であるロブ・ウィルソン氏も、「ハイパーインフレ。イングランドのクラブに選手を売る際は、少なくとも40%、もしかすると50%では足りないほどの金額が乗っかっている」と指摘。補強が思うように進まないラファエル・ベニテス監督が、この状況について「ちょっとクレイジー」とこぼしましたが、負け惜しみでも何でもなく率直な感想なのでしょう。昨年の夏、プレミアリーグのクラブが叩き出した移籍金総額のレコードは11億6000万ポンド(約1700億5200万円)。1月のマーケットが締まった後、トータル13億8000万ポンドに伸びているのですが、レコードはプレミアリーグ開幕を待たずに塗り替わるかもしれません。
総額よりもまず気になるのは、個別の選手の価格高騰です。背景について、デロイトスポーツビジネスグループのシニアコンサルタントであるクリス・ステンソン氏は「テレビ放映権料が上昇したこと」と語っています。「すべてのプレミアリーグのクラブに多額の資金があり、選手獲得に費やそうとしている。世界で最も豊かなリーグであり、その価値を高めていくことによってスポンサーや商業的なパートナーにとって魅力的な環境が生まれる」。「BBC」は、これを証明する2つのデータを並べています。
2014年、すなわちテレビ放映権料によるクラブの収入が現在の2/3だった頃、ロメウ・ルカクはチェルシーからエヴァートンに2800万ポンドで売却されました。この夏、マンチェスター・ユナイテッドに移籍したベルギー代表にかかった金額は7500万ポンド。前回の移籍金に168%が乗った計算になります。同じ2014年の夏にトッテナムのシグルズソンがスウォンジーに復帰した際は、680万ポンドしかかかりませんでした。昨季プレミアリーグで38試合9ゴール13アシストと出色の数字を残したとはいえ、635%も上乗せされた5000万ポンドにはため息が漏れます。しかも、アイスランド代表MFを狙っているのは、レスターとエヴァートンです。「ルカク資金」を得たクーマン監督のチームは、ここまでリーグTOPの9000万ポンド(約132億円)を補強に遣っているのですが、まだまだ財布の紐を堅く結ぶ気はないようです。
見ているほうとしては、「さすがに高すぎないか?」「こんなに払って大丈夫なのか?」と漠然とした不安を覚えますが、この先2年は現在のテレビ放映権料が支払われることになっており、価格高騰の流れが続くものと思われます。最大の懸念は、2019年3月。Brexitがハードランディングとなり、FAが思い切った外国人選手抑制策を取れば、プレミアリーグのクラブが経営的に混乱するのは必至でしょう。以前に「Sportie」で、「Brexitに危機感を高めるプレミアリーグのクラブ経営陣たち」という記事を書かせていただきました。ご興味ある方は、ぜひ目を通していただければと思います。ともあれ、当面は大物ストライカーの名前とともにデカデカと見出しを飾る打ち上げ花火のような移籍金の数字にハラハラドキドキしながら過ごすことになります。オーバメヤン、ムベッパ…パリやマドリードがライバルでは、獲得は難しそうではありますが。
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本当に移籍金高いですね。5000万ポンドがごろごろ。
2800万で買って7500万で売るとは、どんだけバブルやねんと突っ込みたくなります。
先進国のインフレ率が2%にも達しないなか、3年で168%!
今、5000万~7500万で買った選手が、2~3年後に8000~1億5000万で売れる気はさすがにいたしません。
ブレグジットもありますしね。さらに2017年、中央銀行のお金ジャブジャブ供給路線が蛇口を絞る路線に変化していますので心配です。
中堅以下のクラブが無謀な買い物をしはじめている今夏は、高い移籍金と高給の選手が数年後の不良債権にならないことを祈ります。リーグがおかしくなったり、放映が無くなるのは嫌ですからね。
だしまるさん>
政治・経済に流動的な要素が多いのがいちばんのリスクですね。プレミアリーグの繁栄第一で物事を決められればいいのですが。