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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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アリソン・ベッカー、レッズ移籍決定!サラーに続いてワールドクラスを売ったモンチSDの哲学。

Negotiations are advanced and he’s over in Liverpool now(交渉は進んでいる。彼は今、リヴァプールだよ)」。こう語ったのは、2017年4月にセヴィージャからローマにやってきたモンチSDです。セルヒオ・ラモス、ダニエウ・アウヴェス、ラキティッチ、バッカ、ビダルなど、ユース出身や安価に仕入れた選手を高く売ることによって、セヴィージャを欧州のトップレベルに引き上げた伝説のディレクター。既にCLの常連となっているローマにおいても、「お手頃価格で逸材を仕入れて、商機を逃さず売り抜く」というプロヴィンチアのようなコンセプトを変える気はないようです。2016年の夏に獲得したGKアリソン・ベッカーが、レギュラーとして活躍したのはたった1年。ワールドクラスの評価を得たブラジル代表GKを、惜しげもなくプレミアリーグに放出したモンチ氏は、その決断について野心的だといい放っています。

「アリソンを売るのは、野心がないことを示すわけではない。私にとっては、すべてを考慮して正しいことを成すのが野心だ」

リヴァプールのオファーが設定したラインを越えてくれば、臆せず売って新戦力獲得で強化をめざすのが適切だと主張したいのでしょう。セリエA37試合出場の守護神は、水曜日の夕方にプライベートジェットでマージーサイドに入り、既にメディカルチェックを終えました。セヴィージャ時代の2003年にダニエウ・アウヴェスを150万ユーロで獲得し、5年後に4000万ユーロで売りさばいたモンチ氏にとっては、仕入れ値の10倍のタグを付けるのは特別なことではないのかもしれません。しかし、欧州のサッカーシーンでは、これは事件です。2年前の買い値が9億円だった選手が、GK史上最高の6680万ポンド(約98億円)というとてつもない額で売られようとしているのですから。

争奪戦における最大のハードルだったレアル・マドリードが、プレミアリーグのライバルと目されていたチェルシーのクルトワ獲得にまわったタイミングで動いた電光石火の獲得劇。リヴァプールが、要求された額に対して躊躇せず呑み込んだのが、ビッグクラブを出し抜けた最大のポイントでしょう。1年前にモー・サラーを3700万ポンド(約54億円)というバーゲン価格で売ってくれたイタリアのクラブは、CLでバルサを倒してファイナルへの道を開いてくれたうえに、懸案のGKまで提供するという「レッズの片腕」的存在感を発揮しています。とはいえ、アリソン売却は妥当と胸を張ったローマのSDにとって、後にプレミアリーグで32ゴールを挙げたサラー売却のほうは苦渋の決断だったようです。

「私がローマのSDに就任したとき、サラーには3000万ユーロのオファーが届いていた。FFP違反を回避するために、6月30日までにサラーを売るしかなかったわれわれは、ボーナスを付けて総額5000万ユーロにするのが精一杯だったんだ。(ネイマールのパリSG移籍で)昨夏のマーケットがあれだけ急激に高騰したのは予想外だった。その後の活躍を見れば、サラーはリヴァプールにとってお得な買い物になったね」(2018年4月、モンチSD)

エジプト代表FWの放出の話には顔を曇らせるモンチ氏ですが、アリソンの活躍でリヴァプールがプレミアリーグを制覇したと聞いても、「クラブの強化と財政の安定化のためには必要なプロセスだった」と主張するのでしょう。ローマFWディエゴ・ペロッティが「ビッグ・ロス」と嘆く今回のディールを経て、2つのクラブはどんな結果を出すのでしょうか。コウチーニョ資金の半額以上を吐き出したプレミアリーグのクラブだけでなく、21歳のダニエル・フサトという無名のGKを獲得したセリエAの名門の未来も大いに気になるのであります。

シェルダン・シャキリとU-17ワールドカップ得点王のリアン・ブリュースターといったこの夏の新戦力が占拠しているレッズの公式サイトは、明日の朝にはアリソン1色になっているのではないでしょうか。獲得を熱望した守護神ゲットまで、もうひと息です。

7/20 9:33追記/予想外の速さで、アリソン移籍決定のアナウンスがありました。コメント欄にて知らせてくださったみなさん、ありがとうございます。素晴らしい補強ですね!さらに前線に1枚、加えるのでしょうか。今季のレッズは、プレミアリーグもチャンピオンズリーグも楽しみです。

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“アリソン・ベッカー、レッズ移籍決定!サラーに続いてワールドクラスを売ったモンチSDの哲学。” への7件のフィードバック

  1. タムコップ より:

    今まさにオフィシャルでアリソンが話してるのを見ながら書いてあります笑
    いやあ、GKもいよいよ100億円の域に達してきたかと。
    とはいえ、モンチSDでなければ、ローマはいくら積まれてもアリソンは出さなかったんじゃなかろうか?とも思います。

  2. まさやん より:

    更新お疲れさまです。
    アリソン決まりましたね!この数年キーパー問題に悩まされてきたので一番嬉しい補強です。
    他チームのキーパーがどれだけ羨ましかったことか笑
    あとはフェキルが来たら言うことないですがもう現時点でも今年の補強には100点満点です!

  3. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    公式が出てホッとしてます。あとはどれだけ早くプレミアに馴染むかですね。ここが最初の関門かと思います。ただ長年言われていたGK補強ができたのが嬉しいですね。

  4. ローマの人 より:

    いつも更新楽しみに拝見しています。モンチの哲学は分かってはいるんです。きっとチームは良い方向に進んでくれる。でも、辛いです。ローマはスーパーマーケットではないと言いつつ売却、売り物ではないしオファーもないと言ったのに売却、ようやくFFPから逃れられたと思ったシーズン開幕前に主力を売却。。。セビージャファンも毎年こんな気持ちだったんでしょうか? アリソン、リバポでの活躍を心から祈ってます。でもリバポだって欧州の直接的ライバルで、来季は絶対にリベンジしなければいけないチーム。なのに一昨年はサラーを持っていかれて、今年もとは。このジレンマが本当に本当に辛いです。

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    ローマとサウサンプトンには頭が上がりません…
    (やばい…優勝してしまう!!!)

  6. エミリー より:

    クラブも経営するもので、これだけの差益が出るなら、まあ売るわな(笑)っていう儲けですからね。
    本当に、とうとうGKも百億の時代ですね。

    続々と補強ニュースが届きます。
    また始まるんですねー。
    ワクワク!!

  7. アイク より:

    今日も面白い記事ありがとうございます。
    片腕的存在感、笑いました笑
    既に躍進の期待感が満ちてますが、クロップ監督は相手が引いてきた時、ポストプレーが得意なCFが欲しくならないんでしょうか…

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