移籍市場に異変あり⁉ プレミアリーグのビッグ6が狙った選手を獲得できない理由。
1年前に補強ゼロだったスパーズと、TOP4を奪還したいマンチェスター・ユナイテッドまでも静かなのが不気味です。プレミアリーグに昇格したばかりのアストン・ヴィラは、10人の新戦力に総額1億2000万ポンド(約162億円)も投資しており、さらにもうひとり加える予定といわれています。どうした、ビッグ6。ダニエル・レヴィのやりくりセミナーでも受講したのか、クロエンケウィルスに感染したのか。彼らが動かない…あるいは動けない理由について、いくつか仮説を挙げてみましょう。
最初の理由は、「チーム運営手法の変化」です。2017-18シーズンに、マンチェスター・シティはベルナルド・シウヴァ、バンジャマン・メンディ、カイル・ウォーカー、エデルソン、アイメリク・ラポルテと守備陣を中心とした大改革を断行。これを追うように、2018年のリヴァプールもファン・ダイク、アリソン、ファビーニョ、シャキリ、ナビ・ケイタという大型補強を行っています。昨季プレミアリーグでハイレベルな優勝争いを展開した2強は、チームの完成度の向上と中長期的な強化にシフトしているように見えます。レッズのゼップ・ファン・デン・ベルグと、マン・シティが買い戻したアンヘリーノは次世代への投資のシンボルです。
チェルシーがペナルティを喰らい、アーセナルが緊縮財政を強いられているのも静かな夏が続いている直接的な理由ですが、「移籍金の高騰」も大きな要因になっています。ミリンコヴィッチ=サヴィッチが9000万ポンド、ハリー・マグワイアとザハが8000万ポンド、ブルーノ・フェルナンデスは7000万ポンド。これらは現地メディアが報じたマーケットの主役の価格ですが、以前なら5000万ポンド以内で買えたであろう選手たちの高騰には、資金力があるマンチェスター・ユナイテッドさえも二の足を踏んでいます。
ガレス・ベイルとコウチーニョの獲得について問われたクロップ監督は、「個よりもチーム」「短期的視点よりも中長期」とNGの理由を伝えつつ、両者とも獲得にかかる費用が高すぎると率直に語っていました。ディレクターのマイケル・エドワーズさんも、ハイリスクな高額選手にダメ出ししているものと思われます。この夏は積極的な補強を目論んでいると伝えられたスパーズも、同じ理由で3人目以降を決められないのではないでしょうか。
従来なら、高額選手の価格は交渉で下がるのが常でした。今季でいえば、ワン=ビサカの移籍金は直前の報道から1000万ポンドほど落ちています。他のディールにおいてこの動きがないのは、「中堅以下のクラブが売らなくても構わないと考えている」、もしくは「本気で勝ちにいっている」という状況もありそうです。ロジャース監督が上位進出にこだわるレスター、ザハを出したがらないクリスタル・パレス、着実に補強を進めているウェストハム、エヴァートン、ウルヴスから主力を剥がすには、相当な額を用意しなければなりません。
これらの仮説が妥当だとすると、プレミアリーグのビッグ6を表現する言葉は「成熟」ではなく「停滞」ということになります。2018-19シーズンにはトップのクラブが国内トレブルを達成し、2位から5位がCLとELのファイナルを独占したリーグは、苦戦を強いられるかもしれません。残り2週間、マン・ユナイテッドやアーセナル、トッテナムが対峙している重い岩は動くのか。デッドラインデーの直前にバタバタ決まるような気もしますが、このまま開幕節に突入しても驚きはありません。2019-20シーズンは、手強い中堅クラブの奮闘で混沌としたTOP4争いになりそうな雲行きです。
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更新ありがとうございます。面白い考察です。
ネイマール以降の混乱した市場が適正なところに戻ろうとしているのでしょうか。
クレイジーな資金が無いわけではないでしょうに、上位クラブが軒並み堅実な判断を下しているのであればPLの繁栄はまだまだ続きそうです。
アーセナルのペペ合意が気になります。実現したら怖すぎますよ…