偏愛的プレミアリーグ見聞録

「今年の2月、私のエージェントがアムステルダムに入った。クラブを去りたいという希望を伝えるために。新しいチャレンジ、興味があるクラブ、あまりにも素晴らしいオファーがあるとアヤックスに伝えた」

「6月にはバケーションを中断し、アヤックスの新しいコーチやマネージャーたちに個人的に会っている。退団希望と、実現の可能性を認識してもらおうとしたんだ。そもそもこれは、2シーズンのプロジェクトだったのだから」

「今日もクラブとのミーティングで、以前から伝えている退団について話した。今回は、かなりの額のオファーを提示された。他の選手はもう決まっているのに！アヤックスは、後任を決めるのに5日しかないといって断ってきた」

「アヤックスには、放出してくれと頼んでいるわけではない。エールディヴィジの史上最高額で売ってほしいといっているんだ。2月から、ずっと主張してきた。クラブが安心してチームを立て直せるように」

発言の主は、アヤックスのアントニー。独占インタビューを行い、YoutubeとTwitterで彼のコメントを紹介したのはファブリツィオ・ロマーノさんです。ブラジル代表のウインガーが、練習を欠席したのは20日。マンチェスター・ユナイテッドのオファーをアヤックスが拒否した翌日です。21日のエールディヴィジ3節、スパルタ戦は「Not in squad」。プレミアリーグのクラブとオランダの名門の交渉は、現在も続いています。

トランスファーマーケットに精通したジャーナリストのインタビュー記録を読むと、オランダメディア「テレグラーフ」の取材に応じたアントニーの真意を理解できます。「今いえるのは、家族やビジネスパートナー、アヤックス、全員にとって最善の決断を下したいということ」。22歳のレフティは、自分の移籍はクラブにとってもメリットが大きいと主張しているのです。

そして、昨日。「スカイスポーツ」のライブブログが、「マンチェスター・ユナイテッドの7600万ポンド（約123億円）のオファーを、アヤックスが断った」と速報を配信しました。ダルメシュ・シェス記者は、「アントニーは、ユナイテッドに移籍したいと明言している。両クラブは友好的な関係ではあるものの、アヤックスは8500万ポンド（約137億円）まで押し上げようとしている」とコメントしています。

昨季の公式戦33試合で12ゴール10アシストというスタッツを残したドリブラーは、プレミアリーグ一択。慰留は難しいとわかっているアヤックスは、着地ポイントを探りつつ、後任を物色し始めているのではないでしょうか。

マタ、カバーニ、リンガードを手離したマンチェスター・ユナイテッドは、「PSVがCLに出場できれば残留」といわれていたコーディー・ガクポも押さえようとしているようです。「テレグラフ」によると、こちらは3400万ポンド（約55億円）。アントニーと合わせて1億2000万ポンドのビッグディールですが、ロナウドのサラリーを払わなくてすめば問題なしと考えているのかもしれません。

移籍を熱望といえば、レスターのウェズレイ・フォファナもチェルシーしか視野に入っていないと伝えられていました。「スカイスポーツ」によると、3回のオファーを拒否したクラブは、7000万ポンド（約113億円）とアドオンで妥結する姿勢を見せているとのこと。おお、3時間ほど前に、フランスの「RMCスポーツ」がチェルシーとレスターが口頭合意と報じています。渦中のCBは、本日開催されるプレミアリーグ4節の直接対決は当然欠場でしょう。

アントニーもフォファナも、選手の熱意にクラブが負けて高額ディール成立間近というストーリーですが…。まさか、アヤックスと彼のミーティングは、「移籍金を吊り上げるための寸劇のリハーサル」じゃないですよね!?　疑惑は、証拠不十分。チャレンジしたかったという本人の情熱を信じるしかありません。今日はとりあえず、「ようやくメイソン・グリーンウッドを忘れられそうだ」とつぶやいて終わりにしましょう。