偏愛的プレミアリーグ見聞録

先日、アトレティコ・マドリードのジョアン・フェリックスが退団したがっているというレポートを書いたのですが、アーセナルがいいポジションにいるという報道に違和感を拭い去れずにいます。最大の理由は、ミハイロ・ムドリク。ウクライナプレミアリーグで18試合10ゴール8アシストのアタッカーは、渦中のポルトガル人より安く獲得できそうです。

アトレティコ・マドリードの希望額は、1億1300万ポンド（190億円）。獲得した際の支出をそっくり回収しようとしているのでしょうか。これまでのエドゥSDなら、タグをチラ見しただけでスルーするレベルです。

一方、さまざまなお値段が報じられているウクライナ人のほうは、シャフタール・ドネツクのスルナSDが「ムドリクとの契約には、多額の費用が必要。ジャック・グリーリッシュは1億ポンドで売却されたが、ムドリクは劣っていない」とビッグクラブをけん制。報じられていた6000万ポンドを超える可能性がありますが、ジョアン・フェリックスよりは安く妥結できるでしょう。

ファブリツィオ・ロマーノさんは、「アーセナルは依然としてムドリクをプッシュ」とツイート。マドリードの高額案件におけるポジショニングは、疑ったほうがよさそうです。あらためて、前線の選手に関する移籍ゴシップをチェックしてみると、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーがぶつかるケースが目立っています。

実はこの3つのクラブには、共通項があります。ひとつは、センターフォワードの離脱。マンチェスター・ユナイテッドはクリスティアーノ・ロナウドと袂を分かち、アーセナルはガブリエウ・ジェズスが手術でリタイア。チェルシーのアルマンド・ブロヤは、既にシーズンアウトと報じられています。

もうひとつは、左ウイングとセンターの両方で機能するタレントがいること。ラシュフォード、オーバメヤン、マルティネッリがどちらでもいけるので、3つのクラブのターゲットは「センターかウイング、あるいはユーティリティが高い選手」となっているようです。

3つめの共通項は、ウイングにも不安を抱えていることです。マン・ユナイテッドはサンチョが負傷。チェルシーのプリシッチとツィエクは放出候補といわれています。アーセナルも、復帰したばかりのスミス・ロウのフィット感が不安材料で、ブカヨ・サカを休ませるバックアッパーも必要といわれています。

彼らの本命は誰でしょうか。クラブが売る気がない選手を、シーズン途中に連れ去るのは困難でしょう。ベンフィカのゴンサロ・ラモス、ACミランのラファエル・レオンは、ゴシップのネタとして消費されるだけで終わりそうです。冬に動くとすれば、退団希望もしくは移籍に前向きと報じられている選手に絞られるのではないでしょうか。

夏にマンチェスター・ユナイテッドに行きたかったと公言しているコーディー・ガクポ、アーセナル移籍に前向きといわれるムドリク、ユーヴェとの関係が怪しくなったといわれるドゥシャン・ヴラホヴィッチ、そしてジョアン・フェリックス。ドルトムントと契約延長していないユスファ・ムココも候補のひとりです。

ムココを狙っていると報じられていたチェルシーは、ノルウェーのモルデで活躍しているダヴィド・ダトロ・フォファナの獲得を目前にしていると伝えられています。19歳のコートジボワール代表のお値段は、900万ポンド程度。ブライトンとの争奪戦を制したら、少なくともこの冬のムココはスルーするのではないかと思われます。

あらためて整理すると、獲得の可能性充分といえるのは、マンチェスター・ユナイテッドのコーディー・ガクポ、アーセナルのムドリク。夏にオーバメヤンを引き入れたチェルシーは、このうえロナウドにはいかないでしょう。ツィエクやプリシッチなど、現有戦力を売却できる目処が立ったら、ジョアン・フェリックスがリアルな候補になるかもしれません。

得点力不足を解消したいマンチェスター・ユナイテッドとチェルシー。プレミアリーグの首位をキープしたいアーセナル。年が明けてからしばらくは、大陸を舞台にした争奪戦が繰り広げられそうな雲行きです。それぞれの動向を、引き続きウォッチしたいと思います。エドゥがジョアン・フェリックス…いやー。