偏愛的プレミアリーグ見聞録

フランスに1-0で惜敗し、ラウンド16で敗退。ベルギー代表として、大きな仕事を終えたケヴィン・デブライネは、「近いうちに、代表での将来について決断を下すつもり」といっています。代表デビューから13年11ヵ月、105戦28ゴール。33歳のキャプテンのリタイアは、国民にとっては大ニュースですが、メディアの記者の関心は来季のクラブのほうにあるようです。

3週間の休暇を得たプレーメイカーは、エティハドに戻ってくるのでしょうか。「マンチェスター・イブニングニュース」「Goal」をはじめ、複数のメディアが「アル・イテハドと個人条件合意」と報じています。ユーロ2024を終えた後、「夏は静かに過ごすつもり」と語っていたデブライネは、「シティに戻る。数ヵ月以内に交渉があると思う」といっていたのですが…。

マンチェスターで過ごした9年で、プレミアリーグ260試合68ゴール。112アシストは、ライアン・ギグスに次ぐ歴代2位です。クラブにもたらしたタイトルは、プレミアリーグが6回、カラバオカップ5回、FAカップ2回。2022-23シーズンにチャンピオンズリーグを制覇すると、昨季はFIFAクラブワールドカップとUEFAスーパーカップのトロフィーを加えています。

デブライネの言葉をそのまま受け入れると、今後の流れはこうなります。2023-24シーズンは居場所を変えず、プレミアリーグ5連覇にチャレンジ。早いタイミングで契約を1年延長し、来年の夏に移籍してもクラブにフィーが入るようにしてから、サウジプロリーグへ。しかし、これが既定路線なら、今のうちにアル・イテハドと個人条件を握る理由が見当たりません。

そもそもの発信源は、「TEAMtalk」でトランスファーマーケットの情報を配信しているルディ・ガレッティ記者のようです。7月6日のポストをあらためて確認すると、「ケヴィン・デブライネが退団する可能性が出てきた。アル・イテハドと個人合意に達している。マン・シティは既に後任候補のショートリストを作成している」。どう見ても、1年後の話ではありません。

この話を受けた「TEAMtalk」のハリー・ワトキンソン記者は、「サウジアラビアのPIF基金の代表団とクラブの代表が、デブライネの代理人らと会談したと見られる。ベルギー代表は承諾しており、移籍金を合意に導くのはマンチェスター・シティとアル・イテハドの責任となっている」と伝えています。

「マン・シティは、将来的に彼をフリーで失うより、今のうちに高額の移籍金で売却したいと考えている」という話は本当でしょうか。フリーエージェントとなるリスクを避けたければ、契約を延長すればいいだけです。「この夏に売れば、1年後より多額のフィーが手に入る」と考えているのなら、納得ですが…。

「TEAMtalk」の記者は、30歳になったエデルソンも、サウジに旅立つ可能性があるといっています。こちらは、水曜日にアル・ナスルと個人条件合意と伝えられており、マン・シティとサウジのクラブは移籍金について交渉しているとのこと。契約が残り2年となったGKは、3000万ポンド以上ならディール成立と目されています。

最強のプレーメイカーと絶対的守護神が、ダブルで退団という衝撃的な事件は起こりえるのでしょうか。「マンチェスター・イブニングニュース」のジャック・フリンタム記者は、エデルソンのほうがリアルと捉えているようです。代表での仕事を終えた彼らが、バカンスを楽しんでいる間は、マン・シティの後任探しに注目するしかありませんが…！