偏愛的プレミアリーグ見聞録

ウィリー・カンブワラのビジャレアル移籍が決定。移籍金とオプションの総額は970万ポンドで、買い戻し状況とセルオンが両方とも付いています。メイソン・グリーンウッドは、クラブ間合意に達したマルセイユへの移籍を口頭で承諾したそうで、間もなくメディカルチェックを受けるために南仏に渡ると報じられています。

こちらは初期費が2330万ポンド、オプションが340万ポンド。マルセイユがグリーンウッドを売却した際のセルオンは、40～50％という好条件です。2人の売却で3000万ポンドを超える利益を得たマンチェスター・ユナイテッドは、いよいよ懸案のCB獲得に本腰を入れるはずです。しかし…！

レニー・ヨロ、マタイス・デ・リフト、ジャラッド・ブランスウェイト、ヨナサン・ター。4人のCBに関する報道をチェックしていると、真犯人がわからなくなった探偵のような気分になってきます。「スカイスポーツ」のダルメシュ・シェス記者が、リールのレニー・ヨロと4250万ポンドで基本合意と伝えたときは、レアル・マドリードを揺さぶりたいだけと見ていたのですが…。

「スカイスポーツ」の続報は、「オプション込みで5040万ポンド」。これで、わからなくなりました。5000を1発で出せるなら、デ・リフトに突っ込まないのはなぜか。「マンチェスター・イブニングニュース」は、バイエルンの要求額は4200万ポンドと伝えたうえで、「現在はあらゆる選択肢を検討しているようで、正式なオファーは提示していない」といっているのです。

デ・リフトは個人合意済みで、レニー・ヨロはレアル・マドリードが第一希望。確実に獲れそうなほうは動かず、選手を口説くのが難しそうなディールに景気のいいオファーを提示する狙いがわかりません。ここに、ブランスウェイトの4500万ポンドとオプション500万ポンドという2度めのオファーをかぶせると、思考停止に陥りそうになります。

エヴァートンが6500万ポンド以上を主張している選手に、レニー・ヨロより低額は不可解です。状況をふまえると、オファーの額はブランスウェイト、レニー・ヨロ、デ・リフトの順が妥当で、順番はエヴァートンの次にデ・リフトでしょう。レニー・ヨロがデ・リフトと同等以下の額なら、先に出すのもわかるのですが、わざわざ高額を先にして安く獲れそうな選手が後とは…！

報道がすべて正しいとしてフラットに見ると、最高額のオファーでリールとクラブ間合意に至ったレニー・ヨロが本命。バイエルンにアプローチすれば一気に話が進みそうなデ・リフトも本気の候補で、ブランスウェイトはフリーズと見ますが、果たして…？突如現れたレヴァークーゼンのヨナサン・ターが、本命たちが破談になった際の押さえであることは間違いないでしょう。

マーケットの事情に詳しいイタリア人ジャーナリストのマッテオ・モレット氏は、「リールと交渉中のレアル・マドリードは、合意にはほど遠い。しかし彼らは、ヨロがマドリードに来たがっているとわかっている。契約は残り1年なので、必要以上の金額を投じたくないと考えている」と伝えています。これに対して、状況は変わりつつあるという向きもあるようです。

「リールは6200万ユーロのオファーを快諾。レニー・ヨロはマンチェスター・ユナイテッドとサラリーなどの条件を交渉中。レアルは後手に回っている」とレポートしているフランス在住のジャーナリスト、ナビル・ジェリット氏は、オールド・トラフォード行きの可能性が高まっていると主張しています。

高額のフィーがほしいリールは、もちろんマンチェスター推し。2対1の厳しいプレスによって、18歳の逸材が心変わりという展開はあるのでしょうか。レニー・ヨロとデ・リフトが両方獲れたら大成功です。ヴァラン退団の後、カンブワラを早々に売却し、リンデロフまで放出しようとしているクラブが、ダブルを狙っているのも事実とみていいでしょう。いや、それにしても…？