偏愛的プレミアリーグ見聞録

「ジャン＝クレール・トディボの獲得交渉を続けていたウェストハムが合意に到達」。速報を見たときは、以前にマンチェスター・ユナイテッドのターゲットだったCBをよくぞ獲得に漕ぎ着けたとテンションが上がったのですが、本人はユーヴェに行きたがっているようで、イーストロンドンには来ないでしょう。

ウェストハムとニースが合意した契約の内容は、2024-25シーズンのレンタル料が420万ポンドで、1年後に2700万ポンドの移籍金が発生する買い取り義務付きのローンです。250万ポンドのアドオンとセルオン条項が付くとはいえ、ユヴェントスから完全移籍のオファーがあれば、一気に話が進みそうです。

セリエAの名門がが資金調達できずに断念したら、ようやくチャンスがまわってくる心細い状況。当初は「獲得合意！」と盛り上げていた「スカイスポーツ」のライブブログは、ファブリツィオ・ロマーノさんが「トディボはユーヴェ最優先」とポストすると自らの速報を削除し、「ユーヴェは資金を用意する必要がある」とトーンダウンしています。

24歳のワールドクラスを獲り逃しそうなハマーズですが、この夏のトランスファーマーケットでは、フラムやクリスタル・パレスに負けじと積極的に動いています。パルメイラスのU-20ブラジル代表MFルイス・ギリェルメに2500万ポンドを投じた後、マックス・キルマンに4000万ポンド。フレン・ロペテギ監督がウルヴスで信頼を寄せていたキャプテンは、7年の長期契約です。

現在、彼らのターゲットといわれているのは、アストン・ヴィラのFWジョン・デュランと、アーセナルで出場機会を得られなかったリース・ネルソン、右サイドの守備力を高めるアーロン・ワン＝ビサカ。34歳になったマイケル・アントニオの後継者として期待されているジョン・デュランは、ヴィラが要求する4000万ポンドの移籍金がネックです。

リース・ネルソンは契約が3年残っており、2500万ポンドが妥当かどうかでしょう。ハマーズは、新たなターゲットに高額の移籍金を投じることができるのでしょうか。既に余剰戦力の整理は進んでおり、べン・ジョンソンとオグボンナはシーズン終了後に退団。ベンラーマ、ケーラー、トロット、フリン・ダウンズの売却で、3700万ポンドを獲得しています。

この先、戦力を強化するとなれば、PSRを気にする必要がありそうです。デヴィッド・モイーズの下で速攻主体のフットボールを展開していたチームに、ハイプレスを導入しようとしているロペテギ監督は、前線の運動量と薄い選手層という課題を解決しなければなりません。1年後の買取など、やりくりが求められるウェストハムの立ち回りに注目しましょう。