偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Who is Savio?」。プレミアリーグのトランスファーマーケットの動向を注視していた「スカイスポーツ」のアダム・ベイト記者も、マンチェスター・シティの新戦力獲得は寝耳に水だったようです。昨季のジローナで頭角を現したサヴィオ・モレイラ。「サヴィオ」「サヴィーニョ」と呼ばれるウインガーは、コパ・アメリカのブラジル代表で4試合1ゴールの注目株です。

アトレティコ・ミネイロからフランスのトロワに移籍したのは、2022年6月。18歳だったレフティの移籍金は、550万ポンドでした。入団と同時にPSVアイントホーフェンにレンタルされ、序盤戦で2アシストを決めるも、10月にはリザーブチームのヨングPSVへ。エールステ・ディヴィジ（オランダ2部）で9試合2ゴール2アシストは、目立つ数字ではありません。

オランダでは右ウイングでプレイする機会が多かった20歳のドリブラーは、ジローナの左サイドで才能を開花させています。公式戦41試合11ゴール10アシスト。ドリブル成功64回は、あのニコ・ウィリアムズを8つも引き離すリーグTOPです。3月にブラジル代表初選出で、一気にコパ・アメリカ出場という流れは、ユーロで評価を高めたメイヌーと同様のハイスピードです。

ジローナからマン・シティと聞くと、「両クラブともアブダビ・ユナイテッドグループ（ADUG）の資本で、CLに出場するのに移籍できるの？」と思う人もいるかもしれません。2023-24シーズンのジローナはローン移籍で、所属クラブはトロワのままです。こちらもADUG資本ですが、リーグ・ドゥ（フランス2部）所属で、直接的な絡みはないのでお咎めはありません。

それにしても、移籍金2100万ポンドとアドオンで、総額3360万ポンド（約68億円）はお買い得価格です。右にフォーデン、左にグリーリッシュ、両方できるジェレミー・ドク＆オスカー・ボブとタレントが揃っているペップのチームは、どういう狙いで彼を獲得したのでしょうか。誰かが売りに出されるのか、左サイドを突破したいときのオプションか、あくまでも将来投資か…？

昨日は、マンチェスター・ユナイテッドもグリーンウッドとレニー・ヨロの移籍が正式に決まったと伝えられています。「アスレティック」によると、マルセイユに旅立つグリーンウッドは、移籍金総額2660万ポンド。リールから加わったレニー・ヨロの移籍金は5200万ポンドで、オプションが670万ポンドだそうです。

今週の現地メディアにおける最大のトピックスとなったレニー・ヨロについて、「アスレティック」が総力取材でレアル・マドリードとの争奪戦の舞台裏をレポートしています。マン・ユナイテッドの5200万ポンドに対して、エル・ブランコは2500万ポンドでリールが激怒したことと、プレミアリーグのクラブが必死に口説いたことが、逆転の要因となったようです。

レニー・ヨロに対するリールのプレッシャーについて、選手に近い関係者は「リールに残って、1年後にフリーエージェントで移籍しようとすると、プレイさせてもらえないのではないかと思った」と述懐しています。一方のマン・ユナイテッドは、マン・シティ出身のオマール・ベラダCEOが「打倒レアル・マドリード」を掲げて陣頭指揮を執ったといわれています。

新任コンビのダン・アシュワースSDとジェイソン・ウィルコックスTDも獲得に関わり、ウィルコックスTDは早い段階で本人に会いにいったそうです。マン・ユナイテッドがいかに彼をほしがっているか、どのように育成に取り組むかを伝えたことが、最後の決断につながったとのこと。クラブの偉大なる歴史は、直接口説いたリオ・ファーディナンドのネタだったようです。

ゴシップ急増中のマンチェスター勢は、主力の移籍が囁かれています。マン・ユナイテッドは、カゼミーロ、サンチョ、マクトミネイ、ワン＝ビサカ、リンデロフ。エデルソンとデブライネが残留濃厚となったマン・シティは、フリアン・アルバレスにパリという噂があります。彼らが出ていけば、補強のスピードはさらに上がりそうです。引き続き、動向に注目しましょう。