偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグのトランスファーマーケットは今、ロンドンが激アツです。主役となっているのは、ウェストハム、フラム、クリスタル・パレス。フレン・ロペテギ監督を引き入れて上位進出をめざすウェストハムは、懸案だったマイケル・アントニオの後継者と右のフルバックを一気に決めにいっています。

アストン・ヴィラのジョン・デュランは、以前にチェルシーのターゲットといわれており、バーミンガムのオーダーは4000万ポンド以上と見られていました。ハマーズのオファーは、3000万ポンドと18歳のMFルイス・オーフォード。昨季のプレミアリーグ2とEFLトロフィー、FAユースカップで27試合5ゴール5アシストの有望株を差し出して、話をまとめようとしています。

2023年の冬に、MLSのシカゴ・ファイアーから移籍したジョン・デュランは未だ20歳。アストン・ヴィラではオリー・ワトキンスのバックアッパーで、2023-24シーズンのプレミアリーグでは先発3試合ながら、23試合で5ゴールをゲットしています。一見、凡庸なスタッツですが、90分あたりのゴール数0.97はリーグTOP。今回の移籍は、ブレイクするチャンスです。

「ビッグチームの候補として名前が挙がっていることは、自分のキャリアにとって重要なことだと思っている。噂になっているのはうれしいことで、何かが起こるのを期待したい」。活躍の場を求めていたコロンビア代表のヤングスターは、ハマーズと5年契約で合意しており、ディールは成立に近づいているといわれています。

ストライカーの目処が立ったハマーズは、ベン・ジョンソンの退団で手薄になっていた右SBもクラブ間合意に漕ぎ着けているようです。バイエルン・ミュンヘンのヌサイル・マズラウィは、移籍金1350万ポンドとアドオン300万ポンド。「BBC」のサイモン・ストーン記者は、「個人条件に関する交渉は継続中」と報じています。

ライバルと目されていたマンチェスター・ユナイテッドは、ワン＝ビサカの売却が獲得の前提となっており、到底間に合いそうにありません。「スカイスポーツ」のダルメシュ・シェス記者は、「数日中に契約がまとまれば、マズラウィはアメリカでのプレシーズンツアーに参加する可能性がある」といっています。

バイエルンの主力がハマーズとは…。サプライズといえば、フラムのスミス・ロウ獲得も話題になっています。「テレグラフ」のクリス・バスコム記者とサム・ディーン記者によると、3000万ポンドのオープニングオファーを拒否したアーセナルは、総額3500万ポンドという数字を見て交渉のテーブルに着いたそうです。

「現在、水面下でいろいろなことが起こっており、彼を試合から遠ざけるのが最善と判断した」。ボーンマスとのプレシーズンマッチで、スミス・ロウを起用しなかったアルテタ監督は、決着間近といわれるディールの存在を認めています。昨季のプレミアリーグで346分の出場に留まった10番は、フラムへの移籍に乗り気で、ディールを停滞させる材料は見当たりません。

アダラビオヨ、パリーニャ、ボビー・リードを手離し、ウィリアンも退団といわれているフラムは、クラブレコードの移籍金でプレーメイカーを押さえつつ、フリーエージェントとなったライアン・セセニョンを復帰させています。スパーズで5シーズンを過ごしたレフティは、度重なるケガに悩まされ、プレミアリーグの出場は38試合に留まっています。

フラムとの契約は2年で、2027年までの延長オプションがあるとのこと。短期契約でリスクヘッジし、モンスターといわれていた頃の輝きを取り戻せば、契約をアップデートするという話になっているようです。17歳だった2017-18シーズンに、チャンピオンシップで46試合15ゴール6アシストと猛威を振るった早熟の天才は、古巣で復活を遂げられるでしょうか。

スミス・ロウの争奪戦で敗れたクリスタル・パレスも、オリンピック・マルセイユのイスマイラ・サールとのディールが決まりそうと報じられています。ファブリツィオ・ロマーノさんによると、移籍金は1260万ポンドでアドオンが80万ポンド。間もなくメディカルチェックがスタートといわれており、無事にパスすれば2年ぶりのプレミアリーグ復帰となります。

以上、激動ロンドンの最新トピックスを紹介しました。マックス・キルマン、ルイス・ギジェルメ、フォデリンガムにジョン・デュラン、マズラウィまで決まったら、ハマーズは相当やっかいなチームになりそうです。ああ、スミス・ロウ…。おそらく決まりですね。クレイヴン・コテージで真価を発揮し、ビッグクラブの注目を集める存在になるのを期待するしかありません。