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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「大事な試合で外されるのが嫌だった」フリアン・アルバレスはマン・シティに別れを告げるのか?

コナー・ギャラガーの獲得交渉を進めているアトレティコ・マドリードは、マンチェスター・シティのアタッカ―にもアプローチしていると伝えられています。アルバロ・モラタとメンフィス・デパイを手離したクラブは、ビジャレアルのアレクサンダー・セルロートと4年契約を結んでもなお、前線の強化が課題となっています。

「アスレティック」のサム・リー記者とギレルモ・ライ記者によると、フリアン・アルバレスのために用意した移籍金は5900万ポンド。これに対して、主力の流出を食い止めたいプレミアリーグ王者は、7000万ポンドとアドオン2000万ポンドを要求しているそうです。総額9000万ポンド(約170億円)が下がらなければ、スペインのクラブはターゲットを変えざるをえないでしょう。

2022-23シーズンに、トレブルとワールドカップ制覇を同時に果たした世界で唯一の男は、なぜ移籍に乗り気なのでしょうか。リーヴェルプレートから、マン・シティに移籍したのは2022年の夏。初年度は公式戦49試合17ゴール5アシスト、昨シーズンは54試合19ゴール13アシストで、出場機会を満足に得られていないと主張するような数字ではありません。

最初の年は、プレミアリーグの先発が13試合に留まっていたものの、ハーランドの負傷リタイアがあった2023-24シーズンは、31試合をスタメンで戦っています。これ以上、出場時間が増えるのは、彼自身にとってもチームにとっても得策ではないでしょう。あるいは彼が問題にしているのは、先発の回数や時間ではなく、「ファーストチョイスではないこと」なのかもしれません。

フリアン・アルバレスが未来を悲観したとすれば、昨シーズンの終盤戦の起用法に原因がありそうです。チャンピオンズリーグ準々決勝のレアル・マドリードとのホーム&アウェイは、いずれもラスト5分を過ぎてからの登場で、プレミアリーグの最後の4試合は、17分しかプレイしていません。ハーランドとデブライネが揃うと、ベンチでストレスを溜める時間が増えてしまいます。

元より彼は、繊細な完璧主義者です。2023年4月1日、マン・シティは宿敵リヴァプールを4-1で下しました。選手たちもスタッフも歓喜に沸いたロッカールームで、ひとり沈んでいたフリアン・アルバレスは、コーチ陣に歩み寄って謝罪したといいます。苦し気な表情を浮かべていたのは、17分に喫したサラーの先制ゴールに責任を感じていたからです。

ビルドアップするレッズにプレスをかけたアタッカーは、少し引いて自身の左へのパスコースをカットするより、アリソンに詰め寄ってコースを狭めたほうがベターと判断しました。これによってファビーニョが空き、右サイドでパスを受けたアーノルドの絶妙なロングフィードを許したのは事実です。しかし、何度見ても、彼のミスが失点につながったとはいいづらいシーンです。

ハーランドがいなければワントップ。デブライネを欠いたゲームはトップ下。3人が揃うときは、エースが近くに見える右の後方がメインのプレーエリアです。ペップ・グアルディオラは、ユーティリティーの高さを活かして持てる力を発揮させているといえますが、「チームの主軸の状況によってポジションを変えられている」という表現も成立します。

ハーランドがいないビッグ6のどこにいっても、ワントップとして絶対的な存在になれそうです。とはいえ、この夏の移籍は、本人強い意志がなければ叶わないでしょう。「スカイスポーツ」は「アーセナルも興味あり」と報じています。「大事な試合で外されるのが嫌だった」「オリンピックが終わったら、じっくり考えるつもり」というアタッカ―の決断に注目しましょう。(フリアン・アルバレス 写真著作者/pantkiewicz)


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