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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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補強総額1億8000万ポンド超、スカッドは総勢43人…チェルシーのチーム構築の狙いとリスク。

スカッドは総勢43人!チェルシーの夏のオープンセールは、充実の品揃えとなっています。ロメウ・ルカクとトレヴォ・チャロバーは、バリバリの即戦力。アルマンド・ブロヤとダトロ・フォファナも、中小クラブにとっては魅力的なタレントです。ヨルゲンセンが加わってGKは7人となり、ケパ・アリサバラガとペトロヴィッチの将来は不透明といわれています。

今週になって、ショーウインドウはますます華やかになると伝えられています。サム・オモロディオンの移籍が破談となり、ジョアン・フェリックスが来ると、15人のアタッカ―からさらなる売却候補をピックアップしなければなりません。スターリングはユヴェントスのターゲット。アルミロンの後継者がほしいニューカッスルは、ノニ・マドゥエケに注目しているようです。

アダラビオヨ、デューズバリー=ホール、マルク・ギウ、ペドロ・ネトら新戦力10人のお値段を足し込むと、トータル1億8540万ポンド。ジョアン・フェリックスが4300万ポンドなら2億ポンドを突破し、トッド・ベイリーとベハダ・エグバリがクラブを買収してからの投資額は15億ポンド超に膨らみます。

一方、売却完了リストを見ると、イアン・マートセン、ツィエク、ルイス・ホール、ハッチンソンで8800万ポンド。コナー・ギャラガーが3600万ポンドで無事に決まれば、1億2400万ポンドを手に入れることになります。ルカクをほしがっているナポリへの要求額は、3500万ポンド程度。ここまでで、この夏の純粋な収支はマイナス6940万ポンドです。

スターリング、トレヴォ・チャロバー、ノニ・マドゥエケが全員売れれば、プラスマイナスゼロに持ち込めるでしょう。さらにニューカッスルが6000万ポンドでマーク・グエイを獲得すれば、クリスタル・パレスと締結したセルオン条項が発動し、20%の1200万ポンドが転がり込んできます。最終的には、「収支プラスでバージョンアップに成功」といえる夏になるかもしれません。

さて、次はチームの人数と構成を見てみましょう。スカッドが43人といわれると、早々にダイエットが必要と感じる人が多いのではないかと思われます。しかし、先に挙げた3人とGK2人を放出し、シュツットガルトにローン移籍という噂があるアルマンド・ブロヤと、レスターと交渉中といわれるダトロ・フォファナまで手離せば、36人に絞られます。

そのうち、U-21の別枠で登録できる選手が13人。つまり、放出候補7人から5人を出せれば、プレミアリーグの登録メンバーの上限となる25人に収められるというわけです。ローレンス・スチュワートとポール・ウィンスタンリーのSDコンビはアバウトに見えますが、枠組みを意識しながらチーム作りを進めているようです(当たり前か)。

現状のプレーヤーのリストを掲載している「スカイスポーツ」によると、オーナーとSDが実現したいのは、「週給30万ポンドを超える選手もいた賃金体系を解体し、過去の実績によるヒエラルキーよりパフォーマンスによるボーナスを重視したフェアな体系を確立すること」。最近18ヵ月の若手シフトは、サステナブルなクラブ運営を推進するための施策ということになります。

なるほど。経営的には、巷間伝えられているような刹那的な投資ではないとしても、フットボールチームの強化と魅力創出という視点ではどうでしょうか。2年で6人の指揮官招聘、活躍できなければ不良債権となる高額移籍金&長期契約、伸び悩みリスクがあるティーンエイジャーの大量獲得は、継続的な成長なきチームづくりに陥るリスクがあります。

サポーターのなかには、アカデミー時代から応援してきた有望株が続々とチームを離れ、実績がない無名の若手が大量に加わる現状に不満を唱える向きもあるようです。プレミアリーグ8位、6位と2年連続で低迷したチームが、3年めも同じようなポジションに留まれば、方針を見直すべきという声のボリュームは格段に上がるでしょう。

過去2年は、インターナショナルクラスに育った若手の売却と、サウジプロリーグの高額なオファーに助けられながら、多大な投資を続けてきました。しかし、油田は枯渇しつつあります。トレヴォ・チャロバー、コルウィル、アチャンポンを売ったら、まとまった移籍金がそのまま利益になるおいしい売却案件はなくなりそうです。

これまでに引き入れたU-23のなかで、売却で収益を得られるといい切れるのは、マロ・グスト、チュクエメカ、ニコラス・ジャクソン、マルク・ギウ、コール・パルマーぐらいでしょう。「長期的な視座に立ったクラブ運営改革と若手の育成が結果につながった」といえる日は、来るのでしょうか。期待よりも不安が先立つ補強が目立つチームが気になる今日この頃であります。


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