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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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アンソニー・ゴードン、スビメンディ…厳選補強が失敗続きのリヴァプールは巻き返せるのか?

2022年の夏、エリック・テン・ハフ監督が獲得を熱望していたフレンキー・デ・ヨンクを断念したと伝えられたのは8月17日。その3日後、移籍金とアドオンで総額7000万ポンドといわれたカゼミーロの入団が発表されると、一部のメディアはパニックバイと評しました。この補強は失敗とはいえませんが、就任したばかりのオランダ人監督が望むタイプではなかったのは確かです。

それから2年経った今、最重要ターゲットを深追いして獲れなかったリヴァプールが、同じ状況に陥っています。アメリカに旅立つ前に、「われわれは既にいいチームでハッピーだが、誰も獲得できなかったら全員が驚くだろう」と語ったアルネ・スロット監督は、確実にいけると聞いていたスビメンディの心変わりにショックを受けているのではないでしょうか。

そろそろ、本気で心配すべきなのかもしれません。「新監督が戦力を見極めてから、補強を始める」としていたリヴァプールは、プレミアリーグの開幕直前までゼロという事態は想定していなかったはずです。リチャード・ヒューズSDは、厳選主義で動いていたディールをことごとく決められず、ボーンマス時代には体感しなかったプレッシャーを受けていると報じられています。

最初の獲り逃しは、7500万ポンドといわれていたアンソニー・ゴードン。ジョー・ゴメスを差し出して、高額移籍金の軽減を目論んだディールは立ち消えになってしまいました。PSR違反を回避しようとしていたニューカッスルは、ヤンクバ・ミンテとエリオット・アンダーソンの売却で目標達成。キーマンを出したくなかったクラブに、交渉を続ける理由はありません。

2人めはレニー・ヨロ。こちらも10代にしては高いと躊躇している間に、マンチェスター・ユナイテッドの速攻に屈しています。そして今回のスビメンディ。「アスレティック」のジェームズ・ピアース記者のインサイドレポートを読むと、リヴァプールのスタッフがいかに失敗を怖れていたかが伝わってきます。

「先週になって、リヴァプールの関心が報じられると、アンフィールドの幹部たちは慎重になった。レアル・ソシエダが彼を説得するために、自分たちの魅力を訴求する攻撃を仕掛けてくるとわかっていたからだ。地元の英雄がバスクを去ろうとするのは一大事である。サン・セバスチャンで育ち、12歳でレアル・ソシエダのユースに入団したスビメンディとファンの絆は強い」

「リヴァプールは、スビメンディが将来を考える時間が長ければ長いほど、心変わりする可能性が高まると怖れていた。レアル・ソシエダに忠誠を誓うという決断がヒューズに伝えられたのは、月曜日だった。匿名を条件に話してくれたクラブ関係者によると、残留の決め手になったのは、故郷のチームであることと、友人や家族の近くにいられることだった」

レッズの窮状を伝える記者は、「マイケル・エドワーズがCEOとして復帰したクラブは、パニックバイはしない」と予想。「チルウェルを逃した後、ミルナーを左SBに配してロバートソン獲得まで12ヵ月待ち、ファン・ダイク獲得が失敗したときも、既存の戦力で耐えて6ヵ月後に押さえた」と過去の事例を紹介し、適切なプランBがないので動かないといっています。しかし…!

彼らが後手にまわっているのは、新戦力の補強だけではありません。セップ・ファン・デン・ベルフ、ケレハー、ジョー・ゴメス、遠藤航、ボビー・クラークらにオファーはあれど、売却が決まったのはファビオ・カルヴァーリョのみ。来年の夏にフリーになるファン・ダイク、サラー、アーノルドの契約延長交渉は進んでいません。

リヴァプールの現状をレポートした「スカイスポーツ」のメリッサ・レディ記者は、「同じタイミングで3人を引き留めるのも入れ替えるのも、相当なコストがかかる」と懸念しています。課題山積の新SDは、ポジティブに説明できなくなりつつあります。「指揮官が戦力を見極めてから」は7月ならOK。「ユーロやコパ・アメリカがあった」は理由にならないでしょう。

アーセナルのカラフィオーリ、アストン・ヴィラのアマドゥ・オナナ、マンチェスター・ユナイテッドのザークツィーとデ・リフトは、全員ユーロに参加していました。「監督が新任だから」といっても、パリオリンピックに出ていたオモロディオンを獲得寸前に漕ぎ着けたチェルシーを示されれば、「やりようはあった」と認めざるをえません。

どうするリヴァプール、巻き返せるのかリチャード・ヒューズ。残り2週間のトランスファーマーケットで必要な人材を獲得できれば、これまでのチャレンジの不調はなかったことにできます。獲り逃してきた3人の持ち場が、強化したいポジション。有力なタレントの去就が取り沙汰されているポジションでもあります。


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