偏愛的プレミアリーグ見聞録

ミケル・メリノの獲得交渉が決着しないなかで、エディ・エンケティアが先に発表されるかもしれません。アーセナルが要求する3000万ポンドに近づいているのは、ノッティンガム・フォレスト。アヤックスのサンティアゴ・ヒメネスも同時に検討していたクラブは、2210万ポンドとアドオンを拒否されており、プレミアリーグで実績があるストライカーに傾いているようです。

25歳になったエンケティアが、ノッティンガム行きを受け入れたのは、出番が増える可能性が高いからでしょう。昨季プレミアリーグで31戦14発のクリス・ウッドは、手強いライバルですが、既に32歳。直線的なアタックを志向するヌーノ・エスピーリト・サント監督は、エランガとともに速攻の軸となりそうなストライカーを獲得できれば、重用するのではないかと思われます。

エンケティアが希望の価格で売れたら、アーセナルはかねてから噂のゴールゲッターにアプローチするのでしょうか。バイアウト条項の8500万ポンドをクリアすればOKのヴィクトル・ギョケレスや、パリへの移籍話が暗礁に乗り上げたヴィクター・オシムヘンは、本人を口説き落とせれば、充分間に合うでしょう。

しかし今、メディアから伝わってくるアーセナルの移籍関連ニュースを整理してみると、ストライカー獲得についてはトーンダウンしているように感じられます。「スカイスポーツ」のサム・ブリッツ記者は、「カイ・ハヴェルツは、新しいストライカーを必要としないことを証明した」と見出しを掲げ、開幕戦で1ゴール1アシストのレフティを絶賛しています。

「昨季プレミアリーグにおけるアルテタ監督の最大のミスは、2ヵ月半もの間、ゴールがなかったガブリエウ・ジェズスをアストン・ヴィラ戦で9番に据えたこと」。記者が指摘する通り、直前までの7試合で5ゴール4アシストだったカイ・ハヴェルツをトップに配していれば、エミレーツで0-2という痛恨の敗戦は回避できたかもしれません。

昨季プレミアリーグで、ストライカーとしてプレイした14試合で9ゴール8アシスト。38試合で換算すると、24ゴール21アシストという驚異的な数字になります。14試合でシュート37本、オンターゲット19本は多いとはいえませんが、シュートが枠内に収まる確率は51.4％と高く、ジェズスにはない打点の高いヘッダーという武器があります。

「われわれにできる最善のことは、選手たちを信頼し、向上させようと努めること」。カイ・ハヴェルツとブカヨ・サカのゴール＆アシストでウルヴスに快勝したアルテタ監督は、新たなストライカーは必要ないと示唆しているようでした。エンケティアとリース・ネルソンを手離すとしても、前線の枚数は足りています。

左サイドはマルティネッリとトロサール、センターはカイ・ハヴェルツとガブリエウ・ジェズス、右はブカヨ・サカとファビオ・ヴィエイラ。トロサールもトップでプレイできるので、高額のゴールゲッターは諦め、より安い移籍金で獲得できる即戦力のウインガーを引き入れるほうがベターなのかもしれません。

「フットボールロンドン」が、サカのバックアッパー候補として挙げているアタランタのアデモラ・ルックマンと、ブレントフォードのブライアン・エンベウモなら、左利きのエンベウモでしょうか。昨季プレミアリーグで25試合9ゴール6アシストのウインガーは、EL決勝で史上初のハットトリックを決めて値段が上がったルックマンより、お手頃価格で獲れそうです。

エンケティア、リース・ネルソン、ラムズデールを売却し、個人条件合意といわれるエスパニョールのGKジョアン・ガルシアとミケル・メリノを押さえたら、シャッターは悠々と閉まるのかもしれません。デッドラインデーまで、残り8日。ゴシップに登場するウインガーの動向を気にしつつ、エドゥSDの立ち回りに注目しましょう。