2024.09.01 移籍ニュース2024-25移籍ニュース
締切りオーバー、深夜のサプライズ!スターリングとサンチョの移籍を実現させた3クラブの内情と思惑。
ジェイドン・サンチョは、マンチェスター・ユナイテッドからチェルシー。ラヒム・スターリングはチェルシーからアーセナル。プレミアリーグのトランスファーデッドラインデーは、23時の締め切りを過ぎてから、2つのサプライズが勃発しました。3つのクラブの関係者を全員集めて聞いても、2日前にこの着地を予見していた人はひとりもいなかったはずです。
「アスレティック」が取材したサンチョとスターリングの獲得経緯を辿ると、48時間前の彼らは、それぞれ実際の結果とは異なる未来を描いていました。アーセナルは、デッドラインデーに入るまでスターリングを獲得する意志はなく、移籍を希望するサンチョの売却を検討していたマンチェスター・ユナイテッドは、ユヴェントスをファーストチョイスとしていました。
トラブルを巻き起こした29歳のFWを手離したかったチェルシーは、24歳のサンチョとのスワップに魅力を感じていたものの、完全移籍か買取義務付きのローンを主張するマン・ユナイテッドを切り崩す手立てはなかったようです。直前まで、ルカク、トレヴォ・チャロバーらの売却やオシムヘン獲得など多数のタスクを抱えており、この件に集中できる状況ではありませんでした。
ところが金曜日になってみると、3つのクラブの思惑は大きく変わっていました。アーセナルがスターリングに目を向けたきっかけは、ガブリエウ・ジェズスに続いてミケル・メリノが負傷してしまったことです。木曜日のトレーニングでガブリエウと接触し、肩を痛めたスペイン代表MFが骨折となれば、6週間程度の離脱を余儀なくされます。
カイ・ハヴェルツをインサイドMFにシフトする可能性が生じたガナーズは、前線の補強が必要となりました。その一方で、現実的でシンプルと楽観視されていたマン・ユナイテッドとユーヴェの交渉が決裂。イタリアの名門は買取オプション付きのローンしか提案できず、子どもの頃からチェルシーファンだったサンチョの希望はウェストロンドンだったそうです。
アーセナルはスターリングに目を向け、マン・ユナイテッドにとってはチェルシーが唯一の交渉相手となりました。2つのディールが成立した理由は2つあります。ひとつは、スターリングとサンチョをスイッチしたいブルーズが大幅に条件を緩和したこと。もうひとつは、時間がないぎりぎりの状況のなかで、3つのクラブと2人の選手の希望が完全に一致したことです。
アーセナルにしてみれば、「アルテタ監督とともに戦いたい」と高いモチベーションを示しているワールドクラスを、低リスクなストレートローンで手に入れるチャンス。「アスレティック」によると、スターリングの高額サラリーの大半はチェルシーが支払うことになっており、ガナーズが思いとどまる理由は消されていたそうです。
マン・ユナイテッドは、買取義務付きのローンをOKといわれれば、条件を確認するのみ。2026年まで契約が残っていたサンチョの移籍金を4000万ポンドと見積もっていたのですが、1年後に2000万~2500万ポンドで売れるなら、最後の年の減価償却費を相殺できます。年俸1800万ポンドといわれるサラリー負担がゼロになれば、むしろプラスといえるでしょう。
チェルシーのメリットは、サンチョがドルトムント時代のパフォーマンスを取り戻せば、激安案件に化けること。移籍を熱望していたウインガーがサラリーの減額を呑んだという話が事実なら、彼らもリスクの軽減に成功しています。スターリングに関しては、ローン移籍によって売却するタイミングを先送りできただけでも、プラスと捉えるべきでしょう。
選手は意中のクラブに移籍することができ、クラブにもメリットがあるサプライズ移籍は、こうして実現しました。「アスレティック」の取材陣は、「以前にプレミアリーグのフットボールディレクターを務めていたアーセナルのリチャード・ガーリックが、クラブ間の合意を確認する書類の監査の経験があったことも、ディール成立に大きく寄与した」とレポートしています。
さて、ここまでは、あくまでも経済合理性のお話です。戦力という観点では、どうでしょうか。マン・ユナイテッドは、ベンチに置いておくのが難しい4~5番手のウインガーを手離しただけで、多少負傷者が出たとしても、キープしておけばよかったと後悔することはないでしょう。注目すべきは、アーセナルとチェルシーの前線です。
アーセナルにとっては、前線ならどこでもこなせる快足アタッカーの加入はメリットだらけです。年中無休だったサカの休暇取得、停滞気味のマルティネッリの代役、トロサールをセンターで起用する際の左サイド、カイ・ハヴェルツを中盤に下げたときの偽9番など、彼の存在によってできることが広がります。
出場機会が減ったとき、不平不満をこぼさなければ、最適な補強といえるようになるかもしれません。一方、チェルシーでサンチョの出番はあるのか。4-2-3-1の両サイドは、ノニ・マドゥエケ、ムドリク、ペドロ・ネト、デューズバリー=ホールと頭数は揃っており、コール・パルマーをトップ下に固定するなら、ジョアン・フェリックスとエンクンクも競争に加わります。
左サイドが好きなサンチョが復活すると、ムドリクとジョアン・フェリックスの使い方が難しくなりそうです。寝坊と遅刻という悪癖も心配なテクニシャンは、「成功すればスペインやサウジに倍額以上で売れるし、失敗しても2500万ポンド程度の仕入れなら同額以上で手離せる」という判断でゴーサインが出たのでしょうか。
いろいろ考えると、経営の話に戻ってきます。ジョアン・フェリックスとサンチョについて、「アスレティック」のレポートは「世界的なスターダムへの旅が計画通りに進んでいたら、トッド・ベーリーとクリアレイク・キャピタルの財政では手が届かなかっただろう」と指摘しています。サラリーを大幅に減額した2人は、どちらかが活躍するだけでも成功なのかもしれません。
「アスレティックは、3つのクラブの内幕をそれぞれ記事にしており、読み比べるとラスト24時間の実情が見えてきます。マン・ユナイテッドの売却益は、クリスティアーノ・ロナウドがワールドレコードの移籍金でマドリードに行った年を越えたそうです。あまりにもひどかった選手の売却が改善し、1億ポンド超の売上を得ただけでも、実りある夏だったといえるでしょう。
「アスレティック」が取材したサンチョとスターリングの獲得経緯を辿ると、48時間前の彼らは、それぞれ実際の結果とは異なる未来を描いていました。アーセナルは、デッドラインデーに入るまでスターリングを獲得する意志はなく、移籍を希望するサンチョの売却を検討していたマンチェスター・ユナイテッドは、ユヴェントスをファーストチョイスとしていました。
トラブルを巻き起こした29歳のFWを手離したかったチェルシーは、24歳のサンチョとのスワップに魅力を感じていたものの、完全移籍か買取義務付きのローンを主張するマン・ユナイテッドを切り崩す手立てはなかったようです。直前まで、ルカク、トレヴォ・チャロバーらの売却やオシムヘン獲得など多数のタスクを抱えており、この件に集中できる状況ではありませんでした。
ところが金曜日になってみると、3つのクラブの思惑は大きく変わっていました。アーセナルがスターリングに目を向けたきっかけは、ガブリエウ・ジェズスに続いてミケル・メリノが負傷してしまったことです。木曜日のトレーニングでガブリエウと接触し、肩を痛めたスペイン代表MFが骨折となれば、6週間程度の離脱を余儀なくされます。
カイ・ハヴェルツをインサイドMFにシフトする可能性が生じたガナーズは、前線の補強が必要となりました。その一方で、現実的でシンプルと楽観視されていたマン・ユナイテッドとユーヴェの交渉が決裂。イタリアの名門は買取オプション付きのローンしか提案できず、子どもの頃からチェルシーファンだったサンチョの希望はウェストロンドンだったそうです。
アーセナルはスターリングに目を向け、マン・ユナイテッドにとってはチェルシーが唯一の交渉相手となりました。2つのディールが成立した理由は2つあります。ひとつは、スターリングとサンチョをスイッチしたいブルーズが大幅に条件を緩和したこと。もうひとつは、時間がないぎりぎりの状況のなかで、3つのクラブと2人の選手の希望が完全に一致したことです。
アーセナルにしてみれば、「アルテタ監督とともに戦いたい」と高いモチベーションを示しているワールドクラスを、低リスクなストレートローンで手に入れるチャンス。「アスレティック」によると、スターリングの高額サラリーの大半はチェルシーが支払うことになっており、ガナーズが思いとどまる理由は消されていたそうです。
マン・ユナイテッドは、買取義務付きのローンをOKといわれれば、条件を確認するのみ。2026年まで契約が残っていたサンチョの移籍金を4000万ポンドと見積もっていたのですが、1年後に2000万~2500万ポンドで売れるなら、最後の年の減価償却費を相殺できます。年俸1800万ポンドといわれるサラリー負担がゼロになれば、むしろプラスといえるでしょう。
チェルシーのメリットは、サンチョがドルトムント時代のパフォーマンスを取り戻せば、激安案件に化けること。移籍を熱望していたウインガーがサラリーの減額を呑んだという話が事実なら、彼らもリスクの軽減に成功しています。スターリングに関しては、ローン移籍によって売却するタイミングを先送りできただけでも、プラスと捉えるべきでしょう。
選手は意中のクラブに移籍することができ、クラブにもメリットがあるサプライズ移籍は、こうして実現しました。「アスレティック」の取材陣は、「以前にプレミアリーグのフットボールディレクターを務めていたアーセナルのリチャード・ガーリックが、クラブ間の合意を確認する書類の監査の経験があったことも、ディール成立に大きく寄与した」とレポートしています。
さて、ここまでは、あくまでも経済合理性のお話です。戦力という観点では、どうでしょうか。マン・ユナイテッドは、ベンチに置いておくのが難しい4~5番手のウインガーを手離しただけで、多少負傷者が出たとしても、キープしておけばよかったと後悔することはないでしょう。注目すべきは、アーセナルとチェルシーの前線です。
アーセナルにとっては、前線ならどこでもこなせる快足アタッカーの加入はメリットだらけです。年中無休だったサカの休暇取得、停滞気味のマルティネッリの代役、トロサールをセンターで起用する際の左サイド、カイ・ハヴェルツを中盤に下げたときの偽9番など、彼の存在によってできることが広がります。
出場機会が減ったとき、不平不満をこぼさなければ、最適な補強といえるようになるかもしれません。一方、チェルシーでサンチョの出番はあるのか。4-2-3-1の両サイドは、ノニ・マドゥエケ、ムドリク、ペドロ・ネト、デューズバリー=ホールと頭数は揃っており、コール・パルマーをトップ下に固定するなら、ジョアン・フェリックスとエンクンクも競争に加わります。
左サイドが好きなサンチョが復活すると、ムドリクとジョアン・フェリックスの使い方が難しくなりそうです。寝坊と遅刻という悪癖も心配なテクニシャンは、「成功すればスペインやサウジに倍額以上で売れるし、失敗しても2500万ポンド程度の仕入れなら同額以上で手離せる」という判断でゴーサインが出たのでしょうか。
いろいろ考えると、経営の話に戻ってきます。ジョアン・フェリックスとサンチョについて、「アスレティック」のレポートは「世界的なスターダムへの旅が計画通りに進んでいたら、トッド・ベーリーとクリアレイク・キャピタルの財政では手が届かなかっただろう」と指摘しています。サラリーを大幅に減額した2人は、どちらかが活躍するだけでも成功なのかもしれません。
「アスレティックは、3つのクラブの内幕をそれぞれ記事にしており、読み比べるとラスト24時間の実情が見えてきます。マン・ユナイテッドの売却益は、クリスティアーノ・ロナウドがワールドレコードの移籍金でマドリードに行った年を越えたそうです。あまりにもひどかった選手の売却が改善し、1億ポンド超の売上を得ただけでも、実りある夏だったといえるでしょう。
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