2024.09.07 移籍ニュース2024-25移籍ニュース
夏の投資は2億ポンドと1250万ポンド…チェルシーVSリヴァプール、真逆の強化戦略はどちらが正解?
夏のトランスファーマーケットで2億1900万ポンド(約411億円)を投じたチェルシーと、今季の即戦力は1250万ポンドのフェデリコ・キエーザのみのリヴァプール。プレミアリーグのビッグ6が、これほど鮮やかなコントラストを描いたことがあったでしょうか。ウェストロンドンとマージーサイドは、チーム作りのコンセプトから投資の手法まで、真逆といっていいでしょう。
デューズバリー=ホール、マルク・ギウ、オマリ・ケリーマン、アダラビオヨ、ペドロ・ネト、レナト・ヴェイガ、カレブ・ワイリー、フィリップ・ヨルゲンセン、アンセルミーノ、ジョアン・フェリックス、ジェイドン・サンチョ。10人の新戦力を獲得したチェルシーは12人を売却し、19人をローンで他クラブに預けています。
彼らのターゲットは、3つに分類できます。ひとつめは、デューズバリー=ホールやペドロ・ネトなど、指揮官が求める条件に合った即戦力。2つめは、マルク・ギウやアンセルミーノなど、将来性がある若いタレント。3つめは、ジョアン・フェリックスやサンチョなど、移籍金が暴落した「わけあり案件」。共通しているのは「将来高く売れそう」という1点です。
獲得時の条件も、クセがスゴいのひとこと。「若手は超長期契約」「サラリーを安く抑え、活躍すればインセンティブを支給」にこだわっています。ジョアン・フェリックスとサンチョにはサラリーの減額を呑ませており、コール・パルマーとニコラス・ジャクソンは骨を埋めろといわんばかりの9年契約。契約延長によるサラリーの増額を回避したいのでしょう。
「スカイスポーツ」によると、ブルーズの選手の契約期間はトータルで191年。2位トッテナムの97年と、3位ブライトンの96年を合わせても届かない狂気のNo.1です。契約延長不要、減価償却費の年額の抑制、残り年数が長ければ売却時に高く値付けできるなどのメリットはあれど、移籍金8580万ポンドで7年契約のムドリクが空転すれば、売りにくいことこのうえなしでしょう。
一方、リヴァプールの全選手の契約は64年で、アーセナルのひとつ上の15位。デッドラインデーの前日にひとりだけ押さえた彼らの移籍収支は、500万ポンドのプラスです。こちらも極端で、サラー、ファン・ダイク、アーノルドは残り1年を切っても、契約延長交渉が始まっていません。これはクラブの意志ではなく、「諸々の事情が重なってこうなっちゃいました」というお話です。
ワールドクラスの3人に加えて、コナテとロバートソンも残り2年。次の夏までに新たな契約を交わさなければ、お手頃価格で出ていかれる可能性が高まります。リヴァプールが主力を放置してしまった最大の理由は、選手の鑑定眼を高く評価されていたマイケル・エドワーズが退任した後、ジュリアン・ウォード、シュマトケと短命ディレクターが続いたことです。
この間、フェンウェイ・スポーツ・グループのマイク・ゴードン会長が組織を縮小してしまったため、手が回らなかったという事情もあったようです。マイケル・エドワーズがCEOとして復帰し、リチャード・ヒューズがSDに就任したこの夏は完全に出遅れ、主力の契約延長も新たな戦力獲得も進まないまま、今に至っています。
かつてのマイケル・エドワーズは、「わけあり案件の発掘」を強みとしていました。といっても、チェルシーのような移籍金の話ではなく、「ポテンシャルはあるのに、何らかの理由があって活かされていない選手」の狙い撃ちです。今回のフェデリコ・キエーザも、「2年半前の左膝前十字靭帯損傷から復活途上」だからこその格安移籍金でしょう。
クロップ時代のレッズは、長期的な視座に立った補強が多く、安い仕入れで獲得した後に成長した選手が目立っていました。この考え方は短命SDの頃も踏襲されており、近年のコーディー・ガクポ、フラーフェンベルフ、マック・アリスターは納得のディールです。チェルシーと比べると、最大のメリットは「長く活躍し、サポーターに愛される選手が多い」ことでしょう。
数多くの若手を獲得して選別し、伸びない選手はローン移籍と売却で資金を回収するチェルシーは、即戦力もサラリーを抑えて「チームにはまらなければ即、放出」です。対するリヴァプールは継続性重視で主力を残し、強さをキープしてきました。さらに彼らには、もうひとつ違いがあります。
「生え抜きの選手の扱い」も真逆といえるでしょう。アカデミー出身者は、移籍金を支払っていないため、売却額がそのまま利益になります。タミー・アブラハム、ロフタス=チーク、メイソン・マウント、ルイス・ホール、カラム・ハドソン=オドイ、トレヴォ・チャロバー、コナー・ギャラガーなど、近年のチェルシーは育てた選手を大量に放出しています。
リヴァプールの現在のスカッドには、アレクサンダー=アーノルド、ジャレル・クアンサー、カーティス・ジョーンズ、クィービーン・ケレハーがおり、獲得時は10代だったエリオットとブラッドリーもスカッドに定着しています。この夏、ザルツブルグに旅立ったバイチェティッチは、出場機会を得て成長してもらうためのローン移籍でしょう。
チェルシーのやり方は乱暴に見えますが、「数多くの若手を獲れば、大成功する選手が出現する確率が上がる。獲得する際の移籍金を抑えれば、失敗時のリスクが下がる」という考え方は合理的ではあります。今後、成功するのはどちらでしょうか。売買のサイクルが早すぎるブルーズは、「毎年ゼロからスタート」となっている感があるのですが…。
デューズバリー=ホール、マルク・ギウ、オマリ・ケリーマン、アダラビオヨ、ペドロ・ネト、レナト・ヴェイガ、カレブ・ワイリー、フィリップ・ヨルゲンセン、アンセルミーノ、ジョアン・フェリックス、ジェイドン・サンチョ。10人の新戦力を獲得したチェルシーは12人を売却し、19人をローンで他クラブに預けています。
彼らのターゲットは、3つに分類できます。ひとつめは、デューズバリー=ホールやペドロ・ネトなど、指揮官が求める条件に合った即戦力。2つめは、マルク・ギウやアンセルミーノなど、将来性がある若いタレント。3つめは、ジョアン・フェリックスやサンチョなど、移籍金が暴落した「わけあり案件」。共通しているのは「将来高く売れそう」という1点です。
獲得時の条件も、クセがスゴいのひとこと。「若手は超長期契約」「サラリーを安く抑え、活躍すればインセンティブを支給」にこだわっています。ジョアン・フェリックスとサンチョにはサラリーの減額を呑ませており、コール・パルマーとニコラス・ジャクソンは骨を埋めろといわんばかりの9年契約。契約延長によるサラリーの増額を回避したいのでしょう。
「スカイスポーツ」によると、ブルーズの選手の契約期間はトータルで191年。2位トッテナムの97年と、3位ブライトンの96年を合わせても届かない狂気のNo.1です。契約延長不要、減価償却費の年額の抑制、残り年数が長ければ売却時に高く値付けできるなどのメリットはあれど、移籍金8580万ポンドで7年契約のムドリクが空転すれば、売りにくいことこのうえなしでしょう。
一方、リヴァプールの全選手の契約は64年で、アーセナルのひとつ上の15位。デッドラインデーの前日にひとりだけ押さえた彼らの移籍収支は、500万ポンドのプラスです。こちらも極端で、サラー、ファン・ダイク、アーノルドは残り1年を切っても、契約延長交渉が始まっていません。これはクラブの意志ではなく、「諸々の事情が重なってこうなっちゃいました」というお話です。
ワールドクラスの3人に加えて、コナテとロバートソンも残り2年。次の夏までに新たな契約を交わさなければ、お手頃価格で出ていかれる可能性が高まります。リヴァプールが主力を放置してしまった最大の理由は、選手の鑑定眼を高く評価されていたマイケル・エドワーズが退任した後、ジュリアン・ウォード、シュマトケと短命ディレクターが続いたことです。
この間、フェンウェイ・スポーツ・グループのマイク・ゴードン会長が組織を縮小してしまったため、手が回らなかったという事情もあったようです。マイケル・エドワーズがCEOとして復帰し、リチャード・ヒューズがSDに就任したこの夏は完全に出遅れ、主力の契約延長も新たな戦力獲得も進まないまま、今に至っています。
かつてのマイケル・エドワーズは、「わけあり案件の発掘」を強みとしていました。といっても、チェルシーのような移籍金の話ではなく、「ポテンシャルはあるのに、何らかの理由があって活かされていない選手」の狙い撃ちです。今回のフェデリコ・キエーザも、「2年半前の左膝前十字靭帯損傷から復活途上」だからこその格安移籍金でしょう。
クロップ時代のレッズは、長期的な視座に立った補強が多く、安い仕入れで獲得した後に成長した選手が目立っていました。この考え方は短命SDの頃も踏襲されており、近年のコーディー・ガクポ、フラーフェンベルフ、マック・アリスターは納得のディールです。チェルシーと比べると、最大のメリットは「長く活躍し、サポーターに愛される選手が多い」ことでしょう。
数多くの若手を獲得して選別し、伸びない選手はローン移籍と売却で資金を回収するチェルシーは、即戦力もサラリーを抑えて「チームにはまらなければ即、放出」です。対するリヴァプールは継続性重視で主力を残し、強さをキープしてきました。さらに彼らには、もうひとつ違いがあります。
「生え抜きの選手の扱い」も真逆といえるでしょう。アカデミー出身者は、移籍金を支払っていないため、売却額がそのまま利益になります。タミー・アブラハム、ロフタス=チーク、メイソン・マウント、ルイス・ホール、カラム・ハドソン=オドイ、トレヴォ・チャロバー、コナー・ギャラガーなど、近年のチェルシーは育てた選手を大量に放出しています。
リヴァプールの現在のスカッドには、アレクサンダー=アーノルド、ジャレル・クアンサー、カーティス・ジョーンズ、クィービーン・ケレハーがおり、獲得時は10代だったエリオットとブラッドリーもスカッドに定着しています。この夏、ザルツブルグに旅立ったバイチェティッチは、出場機会を得て成長してもらうためのローン移籍でしょう。
チェルシーのやり方は乱暴に見えますが、「数多くの若手を獲れば、大成功する選手が出現する確率が上がる。獲得する際の移籍金を抑えれば、失敗時のリスクが下がる」という考え方は合理的ではあります。今後、成功するのはどちらでしょうか。売買のサイクルが早すぎるブルーズは、「毎年ゼロからスタート」となっている感があるのですが…。
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