偏愛的プレミアリーグ見聞録

複数のメディアの報道が事実であれば、ヴェロニク・ラビオはアーセナル、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッドに息子を売り込んだということになります。アドリアン・ラビオは、プレミアリーグでプレイしたがっているのでしょうか。いくつかの記事を読む限りでは、彼らはビッグ6のお財布に注目しているようですが…。

29歳になったフランス代表MFは、ユーヴェに別れを告げてバカンスを悠々と過ごした後、フリーエージェントのままで秋を迎えています。「フットイタリア」によると、母親であり代理人のヴェロニクさんは、ユーヴェからの700万ユーロ（590万ポンド）の契約延長オファーを蹴り、ACミランが差し出した550万ユーロ（460万ポンド）の2年契約もスルーしたそうです。

ガラタサライの高額のオファーは、ハイレベルなクラブにしか興味がないご本人が拒否したのでしょうか。フランス代表のディディエ・デシャン監督が、「早く居場所を決めてほしい」といっているようですが、親子ともに妥協する気はないようです。いや、それにしても…。アーセナルとトッテナムは、動かないでしょう。

アルテタ監督のチームは、夏のマーケットでミケル・メリノを獲得。カイ・ハヴェルツ、ジンチェンコと、中盤でプレイできるレフティは揃っています。オリヴァー・スキップとホイビュルクを放出したスパーズのほうが、うまくはまりそうですが、チームNo.1のソン・フンミンを上回る週給20万ポンドという要求は呑まないのではないかと思われます。

経営ボードがフリートランスファーをメリットと捉えたとしても、ポステコグルー監督はアーチー・グレイとルーカス・ベルヴァルを育てるほうを選ぶのではないでしょうか。そうなると、ターゲットはひとつです。「ミラー」のベン・クロフォード記者は、「マンチェスター・ユナイテッドとは良好な関係にある」というヴェロニクさんのコメントを紹介しています。

エリック・テン・ハフが就任した2022年の夏、マンチェスター・ユナイテッドは1500万ポンドで獲得寸前に漕ぎ着けていました。突如破談となったのは、「ワールドカップに集中したかったラビオが環境の変化に懸念を抱いたから」といわれていますが、「ヴェロニクが900万ポンドのマージンを要求した」という噂も流れていました。

「すべて嘘です。ユナイテッドはアドリアンに興味があり、私に会いたがっていたけど、彼がすぐにトリノに残ると決めたので、お金のディテールについては話していません」。話してたら要求してました？と聞きたくなりますが、それはさておき。プレミアリーグ開幕から1勝2敗と苦しい立ち上がりになったチームは、オファーを検討するのでしょうか。

マンチェスター・ユナイテッドは、これまでフリーエージェントで12人を獲得していますが、半分はまずまずの補強でした。イブラヒモヴィッチ、 ブラン、カバーニ、エリクセン、リチャードソン、セルヒオ・ロメロ、出戻りのジョニー・エヴァンス。若手をサポートしてくれたトム・ヒートンにも、ありがとうといえるでしょう。

巧みなパスワークとフィジカルの強さで、中盤に落ち着きをもたらすラビオは、現状の課題を解決してくれそうです。悩ましいのは高額のサラリーと、息子を好きすぎるお母様のほうです。ユーロ2020のスイス戦で、ミスが目立ったポグバとPKを外したムバッペに激昂し、彼らの家族に長々と説教した事件は、簡単に忘れられる話ではありません。

パリを出ていくときの罵詈雑言が、こちらに向けられると思うと心臓がバクバクします。「彼はPSGの人質だ。すぐに乾パン、水、地下牢。アドリアンは囚人だ！試合前の9時にテレビの前でパジャマを着て、11時には寝ろといわれる！」。現地の記事によると、知り合いのみなさんは「息子の幸せを願う正直な人。悪い人じゃない」といっているそうですが…。

そういう方のほうがこじれるとタチが悪い…という一般論はさておき。ターンオーバーで、ときどきスタメンから外れるのをお母様にご了承いただけるなら、悪い話ではないように思います。この記事は、いじっているように見えるかもしれませんが、ビビッているだけです。グリーンウッドやアントニーの話があってから、生来の心配性がバージョンアップしてまして。