偏愛的プレミアリーグ見聞録

FAカップ4回戦のドローを見て、思わずため息が漏れてしまいました。マンチェスター・ユナイテッドVSレスター。アーセナルに何とか勝ったと思ったら、またもやプレミアリーグ対決です。リヴァプールはチャンピオンシップで最下位のプリマス・アーガイル、マンチェスター・シティはレイトン・オリエントとダービー・カウンティの勝者。ともにアウェイとはいえ、サブのメンバーを活用して戦えるでしょう。

敵地でブライトンとなったチェルシーよりはマシですが、彼らの初戦はリーグ2（4部相当）のモアカムです。2戦連続でプレミアリーグ勢と戦うのは、ウェストハムとトッテナムを引いたアストン・ヴィラとわれわれのみ。今季めざせる唯一のトロフィーゆえ、与しやすい相手を引きたかったのですが、クジ運の悪さを嘆くしかありません。しかもファン・ニステルローイですか…。

マンチェスター・ユナイテッドとアストン・ヴィラといえば、それぞれ新戦力獲得に近づいているようです。ヴィラがクラブ間合意と報じられたのは、ドルトムントのFWドニエル・マレン。2021年の夏にPSVアイントホーフェンから加わった25歳のウインガーは、ブンデスリーガ通算94試合30ゴール、公式戦トータル132試合39ゴールという数字を残しています。

最大の強みは加速力で、かわした相手を一気に置き去りにするスピードは、長短のカウンターで大きな武器になるでしょう。2023‐24シーズンは公式戦38試合15ゴール5アシストで、ユーロ2024のオランダ代表に選出され、ラウンド16のルーマニア戦で2ゴールを決めています。レオン・ベイリーが停滞気味の右サイドを、活性化する存在になるのではないでしょうか。

「アスレティック」によると、ヴィラがドルトムントに支払う移籍金は1940万ポンドとオプション250万ポンド。既にチームから離れており、個人条件は問題なしといわれています。昨夏のマーケットで、サウジプロリーグに向かったムサ・ディアビの穴を埋める即戦力を慌てて獲らなかったヴィラにとって、納得の補強といえるでしょう。

一方、マンチェスター・ユナイテッドが引き入れようとしているのは、パラグアイのセロ・ポルテーニョに所属するディエゴ・レオン。17歳の左SBは、昨年の7月にトップチームデビューを果たしたばかりですが、すぐにレギュラーに定着してリーグ戦19試合2ゴールという戦績を残しています。「テレグラフ」によると、昨日のメディカルチェックは無事に完了したそうです。

移籍金は330万ポンド、追加の支払いが82万ポンド、さらにオプションが287万ポンド。すべてがうまくいったら700万ポンドという契約なのでしょう。この補強は、マリのグイダルスFCから獲得した18歳のMFセク・コネや、アーセナルのプロ契約のオファーを断ったチド・オビ＝マルティンに続く次世代を見据えた先行投資と思われます。

今回のマーケットでサインに至った後、2024‐25シーズンの後半戦はセロ・ポルテーニョに留まり、正式な入団は7月1日になります。3‐4‐2‐1にフィットするWBの本命は、スポルティングCPでアモリムとともに戦ったヌーノ・メンデスでしょうか。ウガルテの移籍交渉以来、パリとの関係は良好ですが、噂になっている移籍金5400万ポンドが事実ならアウトでしょう。

スカッドをアモリム仕様にしたいマンチェスター・ユナイテッドは、マラシアの退団とアントニー＆ラシュフォードのローン移籍を容認するといわれています。セリエAのレギュレーションにより、非EUとなるイギリス人選手をひとりしか獲れないミランは、カイル・ウォーカーよりラシュフォードを優先と伝えられていますが、決まるかどうかはサラリーに関する条件次第でしょう。

以上、アストン・ヴィラとマン・ユナイテッドの最新トピックスを紹介しました。3人の交渉を同時に行っているマンチェスター・シティは、それぞれ難しい状況になっているようで、新たな動きが動きがあればレポートします。2025年も、あっという間に2週間。昨年と同様に、静かな冬になるのでしょうか。チェルシーは…？（ドニエル・マレン　写真著作者/Steffen Prößdorf）