偏愛的プレミアリーグ見聞録

ストライカー不在の布陣でクリスタル・パレスに敗れた日曜日、マーカス・ラシュフォードのローン移籍が決まりました。週給32万5000ポンドの75％を支払うアストン・ヴィラは、シーズンオフに4000万ポンドで完全移籍に切り替えるオプションを手に入れています。現地記者の多くは、マンチェスター・ユナイテッドと本人の両方にとってポジティブな結論と受け止めているようです。

アカデミー出身の10番と袂を分かつことになれば、アレクシス・サンチェスの週給39万ポンドに端を発したクレイジーな高額サラリーの連鎖を打ち止めにできます。クリス・サットンは、「ロッカールームの混乱が収束する」と見ているようです。アモリムの下では未来がないストライカーは、かつての得点力を取り戻せば、イングランド代表復帰の可能性を高められるでしょう。

ビッグニュースから一夜明けて、冬のトランスファーマーケットも、いよいよデッドラインデーとなりました。ラシュフォードのローン移籍の経緯を振り返った「BBC」の「デッドラインデーLIVE」は、「ジョン・デュランをアル・ナスルに売却したアストン・ヴィラは、パリのマルコス・アセンシオもローンで獲得しようとしている」と伝えています。

現地時間の朝7時、サイモン・ストーン記者が「ベン・チルウェルがクリスタル・パレスにローン移籍」という噂について、背景を語っています。モロッコ代表のシャディ・リアドが膝の負傷でシーズンアウトとなったため、左サイドを任せられるレフティはタイリック・ミッチェルのみ。オリヴァー・グラスナー監督は、手続きの完了を心待ちにしているようです。

アーセナルの契約延長オファーを拒否した18歳のCBエイデン・ヘヴンと、レッチェのSBパトリック・ドルグをダブルで獲得したマンチェスター・ユナイテッドは、前線を強化する余裕はなさそうです。10時になると、「過去1時間のニュース」として、4つのディールが挙がっています。ヴィラはアセンシオ、マン・シティの獲得候補はポルトのMFニコ・ゴンザレスです。

チェルシーのチュクウェメカは、ドルトムントへのローン移籍を決めるためにドイツへ。デッドラインデーの最初の「DONE DEAL」はブライトンでした。ニュルンベルクから獲得したギリシャU-21代表のFWステファノス・ツィマスは、19歳の新鋭です。11時過ぎには、「クリスタル・パレスはマーク・グエイに対するトッテナムのオファーを拒否」という話が流れてきました。

12時をまわり、ウルヴスがCBを獲得。ツルヴェナ・ズヴェズダのナセル・ジガの移籍金は、1000万ポンドだそうです。22歳のブルキナファソ代表は、チャンピオンズリーグでの活躍によって欧州のクラブの注目を集めていました。守備の立て直しが急務だったウェスト・ミッドランズのクラブにとって、会心の補強といえるのかもしれません。

ノッティンガム・フォレストで振るわなかったウォード＝プラウズは、ハマーズに復帰。クリストファー・エンクンクはブルーズ残留と報じられています。14時過ぎには、ブライトンのエヴァン・ファーガソンがハマーズにローン移籍決定。その直後、「バイエルンの19歳の逸材、マティス・テルが代理人とともにロンドンに向かっている」という驚愕のニュースが配信されました。

行き先はノースロンドン、ガナーズではなくスパーズのようです。初報の40分後、「マンチェスター・シティがニコ・ゴンザレス獲得でポルトと合意」「トッテナムとバイエルン・ミュンヘンがマティス・テルの移籍で合意」という2つの話がほぼ同時に入ってきました。完全移籍か、ローンか。続報を待つしかありません。

15時30分には、ジョアン・フェリックスがACミランにローン移籍と報じられました。チェルシーがアトレティコ・マドリードに支払った移籍金は4500万ポンド。前線の激しいポジション争いに食い込めなかった25歳のアタッカーは、プレミアリーグ12試合1ゴールという厳しい数字に甘んじており、片道切符になってしまう可能性があります。

ウルヴスのマリオ・レミナは、250万ポンドでガラタサライへ。17時30分になると、チェーザレ・カサデイをトリノに1250万ポンドで売ったチェルシーが19歳のMFを加えるというニュースが舞い込んできました。サンテティエンヌのマティス・アムグは、1200万ポンド。獲得と同時に、ストラスブールにレンタルされるという話があるようです。

18時35分、マンチェスター・ユナイテッドのタイレル・マラシアがPSVアイントホーフェンにローンと報じられました。デッドラインまで5時間を切ったこのタイミングで、ファブリツィオ・ロマーノさんがガセネタを飛ばすなどということはないでしょう。この稿、長くなりましたので、残り4時間の攻防は【後編】でレポートします。最初のトピックスは、ヴィラの新戦力です。