2025.07.03 移籍ニュース2025-26移籍ニュース
「ザ・サン」のゴシップが「ラシュフォードがバイエルンへ!」という衝撃のニュースに膨らんだ件。

こう書くと信ぴょう性が高い情報に見えますが、発信源を辿っていくと何のことはありません。はっきりいいましょう。「ザ・サン」が煽っただけです。7月1日の10時57分に配信された最初の記事について、ラシュフォードに関する記述の全文を引用してみます。一読すれば、「shock move」などと騒ぐ状況ではないとご理解いただけるでしょう。
「バイエルンは、ヴィラ・パークで活躍したイングランド代表のスター選手に感銘を受け、興味を示しているという。27歳のラシュフォードは、ウナイ・エメリ率いるチームで27試合で4ゴールを挙げ、6アシストを記録した。バイエルンは今夏、このウイングの獲得をめざしてオファーを提示する可能性がある」
「複数のクラブがラシュフォードに興味を示しており、ユナイテッドは移籍金として4000万ポンドを要求している。バルセロナも関心があると噂されており、ラシュフォードは海外移籍を優先している。レッド・デヴィルズは、アカデミー出身選手をローン移籍やスワップの一環として放出する可能性も示唆している」
この後にリヴァプールのルイス・ディアスの名前が出て、別な話に飛んでいきます。バイエルンのスカウトがリストアップしたというだけで、具体的な情報は「移籍金4000万ポンド」のみ。この金額は、「バルセロナへの移籍は難航している」という最近の記事でよく見かける数字で、新しい話ではありません。
「ザ・サン」の3時間後に、「ミラー」がフォローしているのですが、「衝撃の新クラブが明らかに」はいいすぎでしょう。「ドイツの強豪バイエルン・ミュンヘンによってマンチェスター・ユナイテッドでの悪夢から逃れる道を得られるかもしれない」と煽った後は、ルーベン・アモリムとのトラブルの経緯とヴィラが買取オプションを行使しなかったことが書かれているだけです。
さらに1時間後、「バイエルン・インサイダー」が同じテーマの記事をリリースしました。こちらはドイツメディア「ビルト」のフットボール部門を統括するクリスティアン・フォルク氏で、バイエルンのスカウトのロングリストに載っていると伝えつつ、「27歳がリストのトップではないことは明らか」といい切っています。
「ブラッドリー・バルコラ、ニコ・ウィリアムズ、ラファエル・レオン、ルイス・ディアスら有力候補に後れを取っている」という一文を読めば、「なるほど」で終わるでしょう。「BBC」はゴシップのコーナーに「ザ・サン」の記事のリンクを載せただけで、「ESPN」も「移籍の噂」で「クリスティアン・フォルク氏によると」と軽く触れる程度です。
この流れをそれっぽくまとめると、冒頭の数行になります。「BBC」が入っていると、何かが起こっている雰囲気が漂いますが、何もありません。スプレッドシートか何かに「ラシュフォード」と書かれているらしいという話です。複数のメディアが絡んで拡散されたこのネタを、日本で伝えているのは「サッカーキング」と「スポーツ報知」ですが…。
ドイツの「ビルト」が報じたという「サッカーキング」は、ラシュフォードについて「長らく動向を注視していた選手の一人」という記載に留めており、バイエルンの他の候補についても触れています。対して「スポーツ報知」には「何でやねん」とツッコミを入れたくなります。「ザ・サン」の記事に「コンパニ監督がラシュフォードの獲得を希望」などという話はありません。
指揮官について書かれているのは1ヵ所だけで、「バイエルン・ミュンヘンのヴァンサン・コンパニ監督は攻撃陣の強化に熱心で、リヴァプールのルイス・ディアスも視野に入れている」。元の記事が確信犯の煽りなのに、膨らますどころか曲げるとは…!「バイエルン ラシュフォード獲得へ!移籍金は80億円!!」という見出しは、もはやフェイクです。
というわけで今回は、「大間のクロマグロか!と追いかけてみたら川に迷い込んで、そこにいたのはフナでした」的な話をお届けしました。「ラシュフォードがバイエルンとは!」とテンションが上がった方には、つまらなくしてしまったことをお詫び申し上げます。「ゴシップはゴシップとして、無邪気に楽しみましょう」と思いつつ、さすがに「獲得へ!」は…(困惑)。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
コメントを残す