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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

投資総額31億ポンド!プレミアリーグのトランスファーマーケットが史上最高額に膨らんだ理由。

Liverpool’s record-breaking summer has surely made title a formality(リヴァプールの記録破りの夏は、間違いなく優勝を確実にした)」。ずいぶん気が早い話ですが、「BBC」のフィル・マクナルティ記者が昨季王者の連覇を当確といい切っています。ヴィルツとイサクで2度も移籍金のレコードを繰り替えたリヴァプールは、史上最高額となる4億1500万ポンドを投じています。

「アスレティック」のリサーチによると、プレミアリーグのトランスファーマーケットは、移籍金の総額31億1000万ポンドというとてつもないレコードを叩き出したようです。これまでのギネスは、チェルシーが4億ポンドを突っ込んだ2023-24シーズンの24億ポンド。セリエA、ブンデスリーガ、ラ・リーガ、リーグアンの投資額をすべて足しても、プレミアリーグには及びません。

リヴァプール、チェルシー、アーセナル、ニューカッスル、マンチェスター・ユナイテッド、ノッティンガム・フォレストの「ビッグ6」は2億ポンドを超える額を費やしており、リーグ全体の52,4%を占めています。1億ポンドまでラインを落とすと、20クラブ中14クラブがクリア。この夏のマーケットがこれほど膨らんだのは、なぜでしょうか。

「イサク、ヴィルツ、エキティケ、ケルケズ、フリンポン、レオーニを獲得したクラブがライバルを刺激した」というだけでは、全体を語り切れないでしょう。ただし、6月20日という早い時期にヴィルツが1億1600万ポンドでレコードを更新したのは、その後の相場に影響を与えたはずです。そんななかで、最大の要因は「ストライカーとウインガーのニーズが高かった」ことでしょう。

リヴァプールはイサクとエキティケ、アーセナルはギョケレス、エゼ、ノニ・マドゥエケ、チェルシーはエステヴァン・ウィリアン、デラップ、ジョアン・ペドロ、バイノー=ギッテンス、ガルナチョ。マンチェスター・ユナイテッドはマテウス・クーニャ、エンベウモ、シェシュコを引き入れており、スパーズはマティス・テル、シャビ・シモンズ、クドゥスを獲得しています。

最前線の争奪戦で負け続けたニューカッスルも、ヴォルテマーデ、ウィサ、ジェイコブ・ラムジー、エランガをゲット。スリム化を進めたマン・シティ以外のトップクラブがすべて、移籍金が高騰しやすい前線を強化したために総額が膨らんだのです。興味深いのは彼らの獲り方で、「プレミアリーグ経験が豊富な選手」「海外の有望株」のセットがトレンドとなっています。

その狙いはリスクヘッジで、チャレンジと保険ということでしょうか。国内のディールが活発化になると、売却で得た資金をさらなる新戦力獲得にまわすクラブが増えていきます。レコード達成の2つめの理由は、「主力の売却を成功させたクラブが多かった」。ダルウィン・ヌニェスとルイス・ディアスを手離したレッズは、8人を売って1億9100万ポンドを手に入れています。

FFP違反のペナルティで、移籍収支をプラスにすることを求められたチェルシーは、2億8400万ポンドを投じながら1000万ポンドの利益を出しています。ニューカッスルとノッティンガム・フォレストも、イサクやエランガで得た資金を補強にまわし、スパーズとマン・シティを超える投資額を記録しました。彼らがアグレッシブだったのは、欧州の大会に出場するからでしょう。

「チャンピオンズリーグに6チームが出場」という快挙も、チームの強化を後押ししたのだと思われます。出場するだけで4000万ポンドが約束され、頂点に立てば1億3000万ポンドとなれば、多くのクラブは「補強費用の何割かは回収できる」と強気になるでしょう。チェルシーとマン・シティは、クラブワールドカップによる収益も予算に組み込んでいたはずです。

このほかにも、「PSR対策が必要だったのはアストン・ヴィラだけだった」「テレビ放映権料が増額となった」といった理由があります。「BeINスポーツ」は、中東と北アフリカの24ヵ国で全試合を放映するために、昨シーズンより10%増加となる5億5000万ポンドの3年契約を新たに締結しました。アジアのテレビ局も、試合数を増やすために契約を見直しています。

「アスレティック」は、「今シーズンの海外放映権の価値は27%上昇しており、分配率の向上が保証されている。これによって、各クラブのスポンサーも順調に増えている」とレポート。「サンダーランドは14人の新戦力獲得のために1億5300万ポンドを費やした。これはスペイン、イタリア、フランスのどのクラブより巨額の支出だった」といわれると、絶句するしかありません。

あらためて振り返ると、さまざまなプラスの要素が重なった結果、とんでもないレコードが生まれたということがわかります。プレミアリーグのクオリティが上がり、優勝争いが盛り上がってくれればと期待しているのですが、リヴァプールがやばすぎます。アーセナルもチェルシーも、納得の補強だと思うのですが…。


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