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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】さよなら、王者スペイン。あの時代を思い出させる、F.トーレス&ビジャ最後のゴール

既にオランダとチリの突破が決まっていたグループBは、直接対決を地力に勝るオランダが2-0で制して1位通過。避けたかったブラジルとの対戦にまわったのは、チリとなりました。同時刻開催の消化試合は、スペインがオーストラリアに3-0完勝。マタ、カソルラ、F.トーレス、ダヴィド・シルヴァといったプレミアリーグ勢を、ひとつの試合のなかでこれだけ同時に観られる機会は、今までなかなかありませんでした。このゲームを観た方の多くは、こんなことを思ったのではないでしょうか。

「このBチームのほうがいいじゃないか」
「何でビジャではなくジエゴ・コスタだったのか」
「デル・ボスケ監督は、完全に選手起用を間違えた」

オランダやチリとの、決勝トーナメント進出を賭けた緊張感の高いゲームと、相手も淡々と試合を進めるだけの、格下オーストラリアとの「ほぼ親善試合」を同列に語るのは難しいですが、マタ、カソルラ、セスクを、世界一クオリティの高いベンチに塩漬けにしたまま、勝負を終えたのは無念ですね。そしてまた、大会直前に絶好調が伝えられていたビジャを使わず、リーガ・エスパニョーラでビジャの2倍のゴールを記録しながらもケガにあえいでいたジエゴ・コスタにこだわったのは、ディフェンディングチャンピオンの重圧で、柔軟な判断ができなくなっていたデル・ボスケ監督のミスなのでしょう。しかし私は、スペインの敗因云々よりも、こちらを強く思いました。

2008年のユーロ優勝時は怪物だったF.トーレスと、2010年の南アフリカで輝いていたビジャが、
世界の舞台でゴールを重ねるのを観るのはこれが最後なんだな…。

ビジャは体が切れており、プレイを楽しんでいるようにみえました。36分に、いわゆるラボーナで決めたおしゃれなゴールは、好調の証でしょう。F.トーレスは、プレミアリーグでの逸機や今大会のオランダ戦、チリ戦のような迷いを吹っ切り、シャープなシュートを叩き込みました。

長く守備の要だったプジョルは不在。初戦で守護神であり、主将のカシージャスが信じられないミスを連発して大敗。2戦めからはチームの支柱であるはずのシャビと、セルヒオ・ラモスと連携が取れなかったピケを外すという非常事態。ダヴィド・シルヴァは中盤で何度もインターセプトされ、自陣へ戻る姿ばかりが目立ったブスケツ。黄金時代を築いたメンバーが今まで見せなかった衰えや不振に襲われ、あまりにも悲惨な結果で大会を終えたスペイン。そんな彼らにとって、チャンピオンチームのシンボルだった2人のFWが最後に決めたゴールは、ひとつの時代の終わりに明るく幕を下す役割として、悪くないイベントだったのではないでしょうか。

さよなら、王者スペイン。ビジャ、F.トーレスの最後のゴールは素晴らしかった。彼らは、これからも世界王者を争う国であり続けるのかもしれませんが、そこにいるのは今までとは別のチーム。今日のゲームで、ここ7~8年続いた黄金時代に、ようやくピリオドが打たれたように思います。スペインは、最後に「らしさ」を少しだけ披露して、短かったワールドカップブラジル大会を終えました。(ダヴィド・ビジャ 写真著作者/Carlos Delgado)

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