【Brazil2014】メッシ、ミドル、セットプレー。飛び道具頼りのアルゼンチンは、果たして優勝できるのか!?
アルゼンチンとナイジェリアは、攻撃陣にタレントが多く、オデムウィンギー、ミケル、サバレタ、アグエロといったプレミアリーグ勢にはついつい注目してしまいます。おっと、プレミアリーグといえば、ボスニア・ヘルツェゴビナにはGKベコヴィッチとジェコがいますね。ジェコはイランとの最終戦で、うれしい初ゴールをゲットしました。応援しているクラブの選手でもないのに、自分のことのようにうれしくなってしまうのは、プレミアリーグ中毒が相当進んでいる証拠ですね。いかんいかん、彼はライバルクラブであるマンチェスター・シティの選手でした。
さて、イランが負けたために最終戦を落としたナイジェリアがグループリーグ突破を決めましたが、アルゼンチンと接戦を演じた彼らが、イランとボスニア・ヘルツェゴビナを抑えるという結果は、数字だけみれば「順当」といっていいでしょう。アルゼンチンとナイジェリアは、実は「腐れ縁」状態。1994年からの20年間で行われたワールドカップ6大会で、実に4回もグループリーグで同居しています。しかもワールドカップにおいては、すべて1点差でアルゼンチン勝利(94年2-1、2002年1-0、2010年1-0、今回が4回め)。今回、アルゼンチンが2位通過となるという軽いサプライズはあるのかとテンションを上げていたのですが、好調のエースが甘い期待を粉砕しました。
前半3分、ディ・マリアの強烈なシュートがGK、ポストと当たり、こぼれたところに走り込んだのはリオネル・メッシ。このところのワールドカップで、クリスティアーノ・ロナウド、ルーニーとともに、ゴール欠乏症候群に陥っていたメッシでしたが、今回は絶好調です。この1分後、ナイジェリアがムサのゴールで追いつき、前半は1-1のまま折り返しそうな雲行きでしたが、もう一発きました。前半46分、FK、メッシ!これは、すごい。ゴール右隅にきれいなカーブを描いて吸い込まれていったゴールは、今大会のプレースキックで、いちばん美しい弾道でした。運動量はあるもののなかなかシュートが決まらないイグアインと、プレミアリーグでもケガが多くてこの日も負傷でピッチを去ってしまったアグエロに、アルゼンチン人の不安とストレスが高まっていたと思われますが、メッシがすべてを解消してしまいました。ネイマールと並ぶ、大会トップの4ゴール。「ワールドカップのために、バルサのゲームでさぼっていた」という噂は、当たらずとも遠からず、なのかもしれません。
後半開始直後に、ナイジェリアのムサが決めて、ゲームは再度、2-2のイーブンとなりますが、わずか3分後にはラベッシのCKにロホが合わせて文句なしの3点め。ドローでもいいアルゼンチンは、63分にお役御免でメッシを下げ、結局今回も3-2で「ナイジェリアには1点差勝ち」という伝統を守り切りました。
さて、アルゼンチンは、どこまで勝ち進めるのでしょうか。組織力は高いとはいえず、連携も今ひとつ。チャンスの多くはメッシの中に斬り込むドリブルとセットプレーです。DF陣の混乱は、未だおさまらず。普通に考えたら、ブラジル、フランス、オランダより下とみるのが妥当でしょう。しかし私は、今回のアルゼンチンは、ブラジルに劣らず過去優勝した国にあった武器を持っていると評価しています。この30年、ワールドカップを優勝した国は、「FWが強くて決定力がある国、DFがとにかくいい国、開催国」のいずれかで、例外は90年のイタリア大会を制した西ドイツと、前回のスペインのみ。総合力は高いものの、すべてが85点の国や、中盤の組織力や構成力が秀でている国より、「決められる国・決めさせない国」が勢いで頂点に立つのだと思います。
アルゼンチンが優勝するには、メッシに加えてもうひとり、「決勝トーナメントになったら、突然大暴れを始めたストライカー」がほしいですね。1982年のパオロ・ロッシ、1986年のディエゴ・マラドーナ、1994年のロベルト・バッジョのような存在です。イグアイン、アグエロ、ディ・マリアあたりから、メッシへのハードマークを尻目にゴールを重ねられるスターが出てくれば、守備の弱点を攻撃でカバーして優勝を勝ち取ることも可能だとみます。1986年にブルチャガ、バルダーノ、マラドーナの3人だけで攻めて優勝したアルゼンチンや、ロナウド、リヴァウド、ロナウジーニョの「3R」でオリバー・カーンのドイツを撃破した2002年のブラジルと、2014年のアルゼンチンには同じ匂いを感じますね。論理的な根拠はなく、過去履歴と直感が頼りの危うい予想ですが、私の優勝候補は、大会前と変わらずアルゼンチンです!
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