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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】劣勢のフランスに打ち手なし!ドイツが「いつもの場所」4大会連続のベスト4到着!

ドイツとフランスといえば、1982年のスペイン大会を思い出します。プラティニとルムメニゲの対決。延長戦で3-1とされてから追いついた西ドイツ。PK戦で外して泣き崩れたシュティーリケ。…激戦を制して、決勝に駒を進めたのは西ドイツ。フランスとしては、負けたこともさることながら、西ドイツGKシューマッハの危険なタックルでバチストンが傷つき、ピッチを去ったシーンを忘れてはいないでしょう。

ドイツはクローゼをトップに据え、ラームは右SB。シュバインシュタイガーとケディラが中央を固めます。フランスは、ラウンド16の後半で機能した、ベンゼマ1トップでグリーズマンとバルブエナがサイドを突破する布陣。劣勢となれば、後半からジルーが登場するでしょう。GKロリス、サコ、エヴラ、ドビュッシーとプレミアリーグ勢が並ぶDF陣は、攻撃に枚数を割いたドイツを止められるでしょうか。

開始早々からドイツが攻勢。トマス・ミュラーを中心とした積極的な仕掛けに、フランスはラインを下げざるをえません。しかし7分、バルブエナとグリーズマンがペナルティエリア内でしショートパスをかわし、落としたところをベンゼマ。このシュートはわずかに左に外れ、フランスの先制はありません。これで勢いがつくかと思われた13分、ドイツがリードを奪います。左からのFK、キッカーはトニ・クロース。ゴール前に出た長いクロスを頭で合わせたのは、ヴァランのマークを振り切ったフンメルスでした。

1-0となると、ゲームは完全にドイツペース。25分には、ケディラのスルーパスにトマス・ミュラーが右から抜け出しますが、ぎりぎりで追いついたエヴラが体を入れてブロックし、事なきをえます。フランスはペナルティエリアのすぐ外を空けてしまいがちで、トマス・ミュラーやクローゼにこのスペースを使われてピンチになるシーンが目立ちます。一方、攻撃では無理なスルーパスで一発を狙って簡単にボールを獲られてしまい、なかなかシュートに持ち込めません。34分、久しぶりにフランスのチャンス。カバイエのロングパスを受けたグリーズマンのクロスを、ゴール左で合わせたのはバルブエナ。丁寧な左足ボレーがゴールを襲うも、GKノイアーがセーブ!フォローしたベンゼマのシュートもブロックされ、同点はなりません。42分にもクロスを受けたベンゼマがフリーでヘッドを狙うものの、フンメルスがコースに入ってカットします。前半は1-0。フランスが追いつくためには、カバイエのロングボールで前線を走らせる攻撃以外に、何らかの工夫が必要です。

後半は、形勢互角。グリーズマンのドリブルでチャンスを創ろうとするフランスと、トニ・クロース、トマス・ミュラー、シュバインシュタイガーらがダイレクトパスを使って中央を崩そうとするドイツ。どうも、エジルが冴えません。香川真司のように、プレミアリーグでの悩みをそのままブラジルに持ち込んでしまったのでしょうか。ラストパスが味方に通らず、ドイツのフィニッシュはほとんどがミドルシュートです。

60分、マチュイディが左サイドを抜け出し、中央に走り込んだベンゼマの裏のスペースにグラウンダーを通そうとしますが、シュバインシュタイガーがカット。直後のCKが流れたボールを右サイドでカバイェが拾い、クロスに競り勝ったヴァランのヘッドはノイアーがキャッチ。打開策が見出せないフランス。ジルーはまだでしょうか。先に動いたのはドイツです。69分、クローゼを下げ、ラウンド16でキレキレだったシュールレ。フランスは、不用意に前がかりになれば、背番号9に背後をとられるでしょう。直後、右サイドでパスを受けたトマス・ミュラーが、DFの足の間を通すきわどいシュート。ドイツは追加点を奪って逃げ切ろうとしています。

フランスの打ち手は、ジルーではありませんでした。73分にピッチに登場したのは、同じプレミアリーグのロイク・レミー。同時に、ケガをしているといわれていたサコをコシールニーに代え、いよいよフランス、最後の勝負です。77分、マチュイディの左からのシュートはノイアーがセーブ。81分、フランスのCKからの攻撃をかわしたドイツは左サイドからカウンターを仕掛け、グラウンダーに反応したのはフリーで入ってきたシュールレ。決定的な左足インサイドは、ロリスが足でブロック!「プレミアリーグ・ロンドン対決」はトッテナムGKに軍配が上がり、1-0のまま残り5分。ここで、デシャン監督最後のカード、ジルーです。

引かずに攻めながら時間を遣うドイツ。フランスはシュートが打てません。追加タイムの4分もラスト60秒を切り、FKからフランス最後の攻撃。クライマックスは、94分に訪れました。左サイドをワンツーで抜け出したベンゼマが、左足で強烈なシュート。同点と思われたこの一撃を、体勢をまったく崩さずに右手で弾くノイアー!これで、勝負あり。レーヴ監督のチームが1枚上手です。ドイツがフランスを順当に下し、ベスト4一番乗りを果たしました。

FWを2枚以上にすると、バランスが崩れて機能しないフランス。デシャン監督は、ロイク・レミーとジルーを投入したものの、プレミアリーグのFWたちが「らしさ」を発揮するシーンはほとんどありませんでした。シュールレをはじめ、途中出場の選手が試合を変えられるドイツの強さをあらためて感じた一戦でした。アルジェリア戦ではSBのムスタフィとヘヴェデスがやられ、守備の不安を露呈したドイツは、この日はラームが踏ん張り、グリーズマンとベンゼマに決定的な仕事をさせませんでした。ワールドカップではここ3回を2位、3位、3位。「いつもの場所」まで着いたドイツは、いつも以上に盤石にみえます。次戦、南米の壁を突破できるか。準決勝は、9日の夜です。(マッツ・フンメルス 写真著作者/Michael Kranewitter)

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