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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】イグアインの大会初ゴールでアルゼンチン辛勝。遅かったベルギーのパワープレイ!

1986年メキシコ大会準決勝で、マラドーナの2発でアルゼンチンが勝って以来の顔合わせとなった準々決勝・アルゼンチンVSベルギー。「本職はCBの左SB、フェルトンゲンを狙えばベルギーは崩れる」「メッシ、ディ・マリアに続いてもうひとり、点を獲れる存在が出てくれば…」。戦前、アルゼンチン勝利という予想のなかで、私はポイントとして右サイドからの攻撃を挙げましたが、アルゼンチンの最初の10分は理想的な攻撃。右サイドでメッシがドリブルを始め、彼の周辺を縦にフォローの選手が走ると、ベルギーのマークが緩くなります。

2分、左でフリーになっていたラベッシにメッシからパスが通り、ラベッシから惜しいグラウンダークロス。6分にはディ・マリアのミドルをDFがブロック。そして8分、あっさりアルゼンチンが先制です。メッシからパスを受けたディ・マリアが前線に出したパスは、DFに当たってコースが変わりますが、出た先はイグアインの足元という絶妙のポジション。イグアインが迷わずダイレクトボレーをゴール左隅に蹴り込むと、ハードマークを誇るプレミアリーグナンバーワンCBコンパニも何もできず。いきなりベルギーが1点を追いかける展開です。

元プレミアリーグのデブライネまで入れれば、スタメンの半分以上がプレミアリーグで戦っているベルギー。先制点を奪われてからは、アザールやミララス、フェライニを中心に目が醒めたかのように攻撃的になり、「速いパスワークで攻めるベルギーVSアルゼンチンのカウンター」という図式です。デブライネが中央で仕切り、アザールがチェルシーの試合同様、左サイドからドリブルで仕掛けるシーンが増えますが、中盤のマスチェラーノとビリア、そしてアルゼンチンのプレミアリーグコンビ・サバレタ&デミチェリスがハードにチェックし、ベルギーはいい形でシュートの体制に入れません。32分、アルゼンチンに痛いアクシデント。ここまでチームを引っ張ってきた、ディ・マリアが負傷退場です。代わって入ったベンフィカのエンソ・ペレスには、ディ・マリアのような攻撃力は期待できません。

37分、メッシが中央にドリブルで持ち込むと、3人に囲まれるも粘ってファールをもらい、FKをゲット。中央からGKクルトゥワの読みの逆をついたキックは、わずかにゴール右上を超えていきます。縦パスがうまく前線に入らず、攻めの形が創れなかったベルギーは、40分にボールを奪われると守備をしないメッシにチャージし、速攻からフェルトンゲンのアーリークロスをミララスがヘッド。しかしこれはわずかにポストの脇にそれ、同点はなりません。

前半は1-0で終了。メッシを早く止めればベルギーのショートカウンターがはまり、メッシに侵入を許せばラベッシやイグアインへのマークが空きやすくなるという「メッシを巡る攻防」が、ラスト45分の勝負を左右しそうです。今大会、すべてのゴールを70分以降に挙げているベルギー。アルゼンチンDFの疲労がたまったところで、ヴィルモッツ監督の奥の手、ルカクとメルテンスが登場するはずです。

後半は、アルゼンチンが攻勢。この試合は左に入ったラベッシが再三、縦への突破を図り、51分にはイグアインが強烈なシュートをDFに当てます。54分にも、中央からコンパニを抜き去ったイグアインが、フリーで放ったシュートでクルトゥワを破りますが、これはバーを直撃。ゴールの匂いがするのは、リードしているアルゼンチンです。ベルギーは、ビツェルとデブライネのパスの精度が今ひとつ。最初のカードは、メルテンス投入による中盤の活性化でしょう。59分、ヴィルモッツ監督が動きます。ミララスをメルテンス、オリギをルカク。アルゼンチンDF陣は、昨季のプレミアリーグで15ゴールを奪った快速ストライカーに前を向かせてはいけません。

この交代が功を奏し、60分を過ぎるとベルギーの時間。ハーフライン付近を歩いているだけで完全にゲームから消えたメッシを尻目に、敵陣中央でボールを支配できるようになり、ここから左右に展開。危険なクロスがゴール前に入り始めます。さあ、70分を過ぎました。解説の岡田さんが「ベルギーはここからエンジンを入れると決めていたかのようだ」と評していましたが、同点をめざすベルギーの最終ラインはハーフライン付近まで上がり、プレッシャーを強めます。ヴィルモッツ監督は、アザールを諦めシャドリ。まだ、ルカクにこれといったシュートチャンスはありません。アルゼンチンは、中盤の選手が高い位置でチェックするようになり、DFラインが不必要に下がらないように対応します。普段守備をしないメッシも、前線でベルギーの選手をチェック。奪うとスローに、セーフティにボールを動かし、うまく時間を遣います。

CKの対応も万全。守備に問題のあるはずのアルゼンチンが集中して守り、残り5分を過ぎてもベルギーはシュートを打てません。87分、CKからのDFバサンタのシュートも弱く、GKロメロが難なく抑えます。ベルギーは、ルカクとフェライニのヘッドに合わせた放り込みを始めるのが遅かった!追加タイムを含めて10分を切ってからのパワープレイでは、同点に必要なシュートの数を稼げませんでした。48分、アルゼンチンのカウンターが作動し、メッシがドリブルでひとり旅。GKと1対1に持ち込んだものの、今季プレミアリーグに復帰するGKクルトゥワが読み切ってブロック。そして94分、ルカク唯一の輝きは、左サイドからの突破。中央への折り返しはクリアされますが、こぼれ球をペナルティエリア外から思いっきりシュートしたのはビツェル。この一発がゴールの上に外れると、ベルギーのワールドカップは終わりを告げました。

ここまですべて1点差ゲームで勝ち進んできた両者の戦いゆえに、接戦になるのは予想通りでしたが、ベルギーは想像以上に攻めあぐみました。中盤が専守防衛モードになると、アルゼンチンは意外としぶといですね。ただし次戦は、今まで当たったチームとは比べ物にならないぐらいの強力なストライカーとドリブラーと戦うことになるはずです。ファン・ペルシとロッベンを、アルゼンチンDFは抑え切れるでしょうか。さすがに、コスタリカのジョエル・キャンベルが準決勝に顔を出すことはないとは思いますが…気の早い話は、今はここまでにしておきましょうか。準々決勝最後の一戦の結果は、4時間後にははっきりしているはずです。

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“【Brazil2014】イグアインの大会初ゴールでアルゼンチン辛勝。遅かったベルギーのパワープレイ!” への3件のフィードバック

  1. Joe より:

    こんなに調子の悪いアザールを見たのは初めて。。。

  2. 通りすがり より:

    調子の悪いアザールを変えれるベルギーとエースを変えれない日本の違いは選手層なのか、監督の差なのか…ふと思いました。
    スパーズファンとしてはベルギーが負けて選手のコンディションを整える期間が増えて嬉しいですが、やはりモヤモヤしてしまいますね。

  3. makoto より:

    Joeさん 通りすがりさん>
    アザール、厳しかったですね。通りすがりさんの問いでいえば、監督の差ということになるでしょう。ファン・ハールさんが5つぐらいのフォーメーションを使い分けるのに対し、ザッケローニさんはひとつですから。

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