続・ラスト10分を他力に委ねた西野采配をあらためて振り返る~いただいたご意見を受けて。
前者については、「西野監督にとってグループステージ突破でOKではなかったのではないか」という指摘に共感し、後者は「毎試合あんな試合してるなら分かるけど、突破がかかった10分間だけだから。その程度で価値を貶めるなんて言われたらターンオーバーも守備固めも許されないじゃん。 ホントに批判のピントがずれてる」という声に深くうなずきました。ご意見に対して、この稿でお返事をさせていただければと思います。
まず、スタメンについては、変えるべきではなかったという方も多いのだと思います。私は率直に驚き、「ベスト8、ベスト4を狙う国が、小国を相手に戦うようなスタメン」とレポートしました。勝利する可能性は、コロンビア戦、セネガル戦と同じ顔ぶれのほうが高かったのかもしれませんが、西野監督は今回の11人でいけると踏んだのでしょう。「まずは失点しないことが大事。岡崎、宇佐美、武藤のカウンターでゴールを決めて1-0、2-0でTOP通過」というのが、指揮官が描いたシナリオだったのではないかと思われます。決して勝ちにいかなかったわけではなく、ラウンド16以降で勝つことまで視野に入れた決断だったのでしょう。
左サイドが強力だった相手に対して酒井高徳を当て、レヴァンドフスキ対策には槙野のハードマークというプランは、ベドナレクの先制ゴールで苦しくなりました。リードされたことに対して罵詈雑言を浴びせる向きもあるようですが、世界の強豪国でもプレミアリーグのビッグクラブでも、こういった失点を100%回避することはできません(ましてや大会前に酷評していた方は、たったひとつの失点を咎めたりはできないでしょう)。問題は、この後です。私が、今回のスタメンはやりすぎだったと感じたのは、リードされた後に押し返す術が乏しかったのを確認してからでした。
2戦めまでの香川真司は、サイドアタックをスムーズに展開するうえで、大事な役割を果たしていました。一方、この日の2トップは相手の最終ラインを混乱させるアイデアが少なく、ゴールの期待値を上げることができませんでした。西野監督は、ただ後ろを固めようとしていたわけでなく、先手必勝を目論んでいたはずですが、彼我のレベルの見積もりを誤り、1-0とされてからも苦しい戦いを強いられたのだと思います。ただし、2戦めまでのメンバーなら崩せていたかといわれれば、それも疑問です。ポーランドの攻撃は、カウンター以外は迫力を欠いていたものの、ファビアンスキとグリクを中心とした守備はやっかいでした。ベストメンバーに明確にプラスがあったとすれば、「負けたときに納得がいく」、この1点だと思います。決勝トーナメント進出がゴールなら、最高のメンバー投入が正解ですが、ゴールを先に置いていた西野監督はそうは考えなかったということでしょう。
3-0にされたのなら、誹りは免れませんが、事実は「残り10分まで1-0で、苦しいながらも希望は充分残されていた」のです。セネガル戦で1度もリードできなかったチームとしては、想定内の状況です。この時点で、指揮官を罵倒することはできないでしょう。
あのメンバーで勝てたのか、答えが出る18分前に状況が変わりました。ここからは、最後の10分を他力本願にしたことの是非です。攻撃が機能しているとはいえず、カウンターに慌てさせられていたあの状況で、西野監督が出した結論は最も確率が高い方法ではあったのでしょう。プレミアリーグのガチンコ勝負を見続けてきた者としては、ジョーカー本田圭佑で勝負をしてほしいという気持ちもあったのですが、やられるリスク、カードをもらう危険性は多分にあったのだと思われます。もっと巧妙にやれれば、よかったですね。ポーランドのお手伝いは、スコアを変えずに畳むうえではありがたかったのですが、世界に叱られやすい光景を創り上げるパートナーでもありました。
他力本願という選択であり、1-0で負けることをよしとしたために非難されましたが、「両会場とも1-1」であれば、何もいわれなかったでしょう。しかしこれも、260分間戦った後、最後の10分で迎えたぎりぎりの状況下でのギャンブルです。攻めるか守るか選べる立場にいただけでも、指揮官と選手たちには感謝したい。そして、戦前には考えられなかったラウンド16進出という果実を手に入れた今、少なくとも非難することはできません。
「ベルギー引いた時点で敗戦。なぜ与し易いイングランドを狙い1位通過しなかったのか不明」というご意見もありましたが、これは時制が完全にずれています。試合前だったグループGは、フェアプレーポイントで勝るイングランドが首位で、2位を狙えるのはゴールを奪わなければ逆転しないベルギーだけでした。両者合わせてスタメンを17人入れ替えた微妙な試合で、リードを奪われたサッカーの母国が、プレミアリーグ30ゴールのハリー・ケインを出さないという「負けてもOK」なチョイスをするなどという想像はできなくても仕方ないでしょう。ラクに1位通過できたかのような批判や、主力選手が溜めていたであろう疲労を軽視するような主張には、与することはできません。
西野監督は、ノックアウトラウンドをにらみながらぎりぎりのチョイスで首位通過を狙い、失点を喫して苦しみながら、最後に得たチャンスを手離さずに次の戦いのステージを手に入れた。これが、あの日に起こったことです。ベルギーと戦える喜びを、あらためて今、かみしめています。心から湧き起こる高揚感、感謝の気持ち、そしていくばくか残る後ろめたさが、みなさんのご意見に対する私の返信です。
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「ラスト10分で、他力本願で0-1キープのパス回しをしたのは是か非か」という論点に対して、「毎試合あんな試合してるなら分かるけど、突破がかかった10分間だけだから。その程度で価値を貶めるなんて言われたらターンオーバーも守備固めも許されないじゃん。」という意見を持ち出す方がずれているのだと思いますよ。ターンオーバーも守備固めも、他力本願ではありません。
中には守備固めが嫌いな過激派もいますけど、自分の周りのサッカーファン(twitter)は時間稼ぎというより、他会場の不確定な結果を前提とすることに失望してた意見が多かったです。
特に自分は欧州クラブの監督は我の強い人、監督の権限を認識している人が多く、「監督として、自分の力の及ばない試合が自チームに進退(=これは最終的に監督自身の進退にもつながる)を決めるという状況に耐えられない」人が多いのかなと思いましたし、日本人にしかできない采配だったと思います。個人主義が強くない日本人監督だったからこそできたのでしょう。
グループリーグなんだから、他試合の結果が影響するのはどこも一緒ですよ笑 本当に批判する人は頭が悪いな
そもそもコロンビアとセネガルという格上相手に自力で結果を残したからこそ出来た試合展開。恥じる必要なんて何一つない。
更新お疲れ様です。
あの試合についての賛否は、結果を重視する人、結果の出し方を重視する人、夫々の好みの問題だと思います。
正直、他会場の結果なんか当てにできないから攻めろ!の方が楽な判断だと思います。私はグループリーグ突破の可能性が最も高いと信じて他力を選択した西野監督の決断力を尊敬します。
大会前は「全敗だろ」「勝ち点1取れればいい方」とか言ってたのに予選突破の可能性が出ると手のひら返して期待し始めて、最後時間稼いで結果にこだわってベスト16決めたのに急に要求の質高くなってフェアプレーだなんだでディスり始めるもん。
そんなんできひんやん、普通。
賛成派の皆さんは、野球で恐縮ですが、高校野球での清原全打席敬遠(高知の明徳義塾高校)は「勝利に徹した結果」として許容出来る、というわけですね?
まさかあれは高校野球だから、、とか今回は全打席ではなく10分だけだから、、、みたいな稚拙な反論じゃないですよね?笑
あの敬遠の時は日本中が反対派で批判の嵐でしたが、
自分たちの応援するチームなら許せる、とは極めて幼稚な気がしますが。。。
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野球に全く興味がないし、世代が違うのでそんな議論は知りもしませんが、ルールに乗っ取ったプレーだったなら全く問題ないでしょう。批判してた人がいるなら感情論のバカ。
今回の議論の賛成派と清原氏の議論の反対派が同じ人物と考えている、とは極めて幼稚な気がしますが。。。
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清原ではなく松井秀喜です
どうでもよすぎ笑笑
反論してください
7番目のコメントの方、?さんとはもしかして別人ですか?
だとしたら失礼しました
甲子園は高校生の部活動。教育の一環ですよね?
比較するのは間違いだと思います。
野球で話すなら、日本シリーズで4番が全打席敬遠されても全く問題無いと思います。
その状況を許した前後の打線やチーム力の問題です。個人的な考えですが。
普段からここに来る人ならプレミアオールースターのベルギーと日本がガチンコ勝負出来るだけですでにワクワクしていることでしょう!
巷ではデブライネ、ルカク、アザールが言われてますが、プレミアファンなら後ろのスパーズコンビもとんでもなく凄いぞ!って声を大きくして言いたいことでしょう
こんなベルギー史上最強と言われるチームとの試合が見れるので日本代表には感謝です
きっと批判したい方々はベルギー戦に日本が負けるのを手ぐすね引いて待っていることでしょうが、こんなベルギーとの試合を純粋に楽しめないのは本当にもったいない
日本が本当にグループ突破できると信じていたのか、そうでなかったのかによってもかなり変わりますね。
私は正直無理だと思ってたので、素直にすごいなと思いました。
(レッズサポとしてはまあクロップは理想主義者だから真逆の決断をするだろうなと思いつつ)
確かに自力という選択肢もありましたが、確率を考えて西野監督はあの決断をしたのでしょう。
結果にこだわるという点ではそれもプロだと個人的に思います。
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日本が本当にグループ突破できると信じていたのか、そうでなかったのかによってもかなり変わりますね。
私は正直無理だと思ってたので、素直にすごいなと思いました。
(レッズサポとしてはまあクロップは理想主義者だから真逆の決断をするだろうなと思いつつ)
確かに自力という選択肢もありましたが、確率を考えて西野監督はあの決断をしたのでしょう。
結果にこだわるという点ではそれもプロだと個人的に思います。
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他試合の結果が影響するのは大なり小なり真理ですが、他試合の結果しか影響しない(自分の試合より他試合の結果の方が大事になる、もしくはそれを選ぶ)は結構レアケースのような気がします。
別に他試合の結果が影響しないとは言っていないので、きちんと読んでから反論してほしいものですね。
1発勝負の世界の野球トーナメントとグループリーグで戦うサッカーを比べる事が間違っています。
一試合の重さが全く別物です。
負けたらそこで終わりの甲子園
負けてもグループリーグ突破ができるワールドカップ
そもそも比較対象が間違っていませんか?
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みなさま
「全打席敬遠」のたとえは、必死で戦った80分を無視する乱暴な話だと思います。こういった感情的かつネガティブなデフォルメが、スポーツをつまらなくするのではないでしょうか。スタメンや戦い方の話を別とするなら、論点は「他力本願で試合を畳むという判断が是か非か」というだけでしょう。
案の定「あれは高校野球だから」「ラスト10分だけだから」という反論だけがきました。笑笑