偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Mikel Arteta trying to persuade Pierre-Emerick Aubameyang to stay at Arsenal（ミケル・アルテタは、ピエール＝エメリク・オーバメヤンにアーセナルに残るよう説得しようとしている）」。プレミアリーグNo.1のストライカーをチームの軸に据えようとしている若き指揮官が、自ら口説き落とそうとしているようです。オーバメヤンの契約は、残り13ヵ月。アーセナルが、移籍金ゼロでエースを手離すという無念の結末を回避したければ、早期に新たな契約を締結するか、夏が終わる前に売却するかの二択を迫られます。

冒頭の見出しを掲げた「テレグラフ」を追うように、「メトロ」「デイリー・メール」「ミラー」など現地メディアがアーセナルの本気を一斉に報道。アルテタ監督は、本人に加えて代理人の父親とも直談判する腹づもりのようです。公式戦97試合61ゴール、プレミアリーグ通算75試合49ゴールのガボン代表と同等の数字を叩き出せる逸材を獲りたければ、7000万ポンド以上の出費を覚悟しなければなりません。レアル・マドリードやパリ・サンジェルマンへの移籍が噂されているキャプテンの残留こそが、チャンピオンズリーグに復帰するためのファーストステップです。

このタイミングでガナーズが動き出したのは、トランスファーマーケットの相場が下落すると察知したからではないでしょうか。3週間前には4500万ポンド（約61億5000万円）と報じられていたオーバメヤンの移籍金は、「2000万ポンド（約27億3000万円）以上」という信じられない数字で語られるようになりました。

月曜日に、契約延長に向けて準備を始めると伝えられると同時に、「オリンピック・リヨンでプレイするムサ・デンベレの代理人とコンタクトを取った」「ナポリのポーランド代表FWアルカディウシュ・ミリクを狙っている」といった代役に関するゴシップも急増。「ザ・サン」「デイリー・メール」などいくつかのメディアは、「2000万ポンドを超えるのオファーがなければ、契約満了までキープする可能性もある」とレポートしています。

メディアのヒートアップは、サポーターや同僚の心も動かしたようです。立ち上がったばかりのファンアカウント「AFC.TALK」が、「われわれを失望させないで」とInstagramで嘆願すると、アレクサンドル・ラカゼットがすかさず「Like」。記者が挑発し、グーナーが応じて熱くなる憶測と論争の渦のなかで、「フットボール・ロンドン」が本人かがInstagramストーリー残した6つのワードを紹介しています。

「Don’t listen ‘em, listen music better」

彼らのいうことは聞かなくていい、ミュージックでも聴いてるほうがマシだろ？…いや、確かに、真偽のほどがわからない話にやきもきするぐらいなら、好きなバンドでリラックスしたほうがいいのかもしれませんが、プレミアリーグファンとしては、「残留か？」「いや出ていくでしょ？」とやっているほうが気が紛れるときもあるのです。

ヴェンゲル時代の落胆を忘れていないグーナーは、アシュリー・コールが移籍したクラブやファン・ペルシをさらっていったクラブだけは、ぜひとも避けてほしいところでしょう。気もそぞろにAmazonプライムでお気に入りをヘビロテするより、あなたのうれしいひとことが聞きたいのですが、いつ頃になりますでしょうか…⁉　近々、ボスがそちらに行かれるようですので、何卒よろしくお願いいたします。