偏愛的プレミアリーグ見聞録

「RBライプツィヒのディレクターは、チェルシーとは、5400万ポンドのヴェルナー譲渡の契約を結んでいないと主張」（Goal.com）
「チェルシーのティモ・ヴェルナーへの大胆な一撃が爆弾で破壊された。RBライプツィヒが移籍完了を否定」（ザ・サン）
「ティモ・ヴェルナーは、過去数週間に渡ってフランク・ランパードから毎日電話を受け、チェルシーに加わるように説得された」（ザ・タイムズ）
「フランク・ランパードとペトル・チェフは、ロックダウン直前にドイツに出かけ、リヴァプールとマンチェスター・ユナイテッドを出し抜いてスタンフォード・ブリッジに来るようにティモ・ヴェルナーを説得」（テレグラフ）
「チェルシーは、ティモ・ヴェルナーの移籍を確定させた後、多くの選手の放出に直面する」（デイリー・スター）
「ティモ・ヴェルナーに加えて2名の移籍資金を清算するため、チェルシーのスター7人が放出される」（ミラー）

ヴェルナーとチェルシーが請人合意に至ったというニュースは、この時期には珍しく「BBC」がプレミアリーグカテゴリーのTOPニュースとして報じたため、決まりかと腰が浮いたのですが…。現地メディアの続報は、大音量で不協和音を奏でています。フランク・ランパードの情熱がドイツ代表ストライカーの心を動かしたとする説がある一方で、ライプツィヒのオリヴァー・ミンツラフMDの否定コメントを根拠に不成立とするメディアも出現。チェルシーはヴェルナーに費やした移籍金のマイナス分を補填するために、大量放出を画策中と伝える記事もあります。

ちなみに、「ミラー」の見出しにある「ヴェルナーに加えて2人」とは、既に獲得が決まっているアヤックスのツィエクと、6000万ポンドといわれているレスターのベン・チルウェル。放出候補の7人は、ペドロ、ウィリアン、ズマ、ロス・バークリー、バチュアイ、ジョルジーニョ、マルコス・アロンソです。ウイングと最終ラインには納得したとしても、ロス・バークリーとジョルジーニョがダブルで抜けるときついのではないかと思います。カンテとコヴァチッチがアンカーを務め、今季プレミアリーグで出場ゼロのロフタス＝チークの復活と、ビリー・ギルモアの成長に期待するということでしょうか。

いや、失礼しました。そもそもの「決定か否か」が錯綜しているのに、各論にツッコミを入れて話をややこしくするのはやめましょう。個人合意！という報道から足並みが乱れたのは、ドイツ側の窓口であるオリヴァー・ミンツラフ氏が強いトーンで「聞いてないよ」と否定したからです。「われわれはリーグに集中している。ティモと話しているのは、チャンピオンズリーグの出場権を獲得することだけだ」と語ったマネージングディレクターの主張も紹介しておきましょう。

「チェルシーとは話していないので、報告することは何もない。ティモ・ヴェルナーは、RBライプチヒの選手だ。数週間前から移籍しようとしている兆候はあったけど、これまでのところは成立した取引はない。ヴェルナーが変わるとすれば、ソリューションは新しいクラブにあると確信している。しかし彼は、ブンデスリーガのシーズンをわれわれとともに最後までプレイすることができる。一方、チャンピオンズリーグについては、いつ開催されるかがわかるまで議論できない。6月中旬まで決まらないだろうね」

冷静に考えると、バイアウト条項が存在する選手の移籍については、個人合意に漕ぎ着ければOKです。クラブと「交渉」する必要はなく、契約書に記載されている5400万ポンド（直近の報道では4900万ポンド？）を払うと「通達」すれば、ディールは成立します。多くのメディアが移籍決定のごとく報じているように「選手とチェルシーは合意済み、ライプツィヒへのコンタクトはこれから」なのか、一部メディアが指摘するように個人合意には至っていないのか…。

ドイツのクラブを取材した「スカイスポーツ」は、こう記しています。「RB Leipzig managing director Oliver Mintzlaff says Werner’s release clause has not yet been triggered, but insists the forward is “in the driving seat” for a potential move（RBライプツィヒのマネージングディレクター、オリヴァー・ミンツラフは、ヴェルナーの放出条項は未だ引き金に指がかかっていないといいつつ、しかしフォワードは移籍する可能性がありドライビングシートにいると主張している）」。クラブを出ていくのが既定路線であることは間違いなさそうですが、選手自身の意向で契約を解除できる6月15日に決まっているかどうかが最初のチェックポイントですね。残り12日、続報を待ちましょう。