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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【MAN.UTD×Swansea】マンチェスター・ユナイテッドが隠し通せなかった、致命的な守備の綻び

やはり、プレシーズンマッチで全勝という結果など、プレミアリーグ本番では何の役にも立ちません。昨季FAカップで、1月にホームで敗れているスウォンジーは要注意でしたが、 正直にいえば、負けるとは想像していませんでした。怖いのは、次戦アウェイのサンダーランドだとばかり思っていたのですが…。マンチェスター・ユナイテッドの敗因は、完成していない新システムの綻び。先日の記事「プレミアリーグ優勝クラブ&トップ4大予想!」でも指摘した、サイド後方の穴と、昨季から修正できていないペナルティエリア外の守り方に問題がありました。

キャプテン・ルーニーの初戦に、ファン・ペルシやウェルベック、ジョニー・エヴァンス、バレンシアなど、必要なパーツが欠けていたのは確かですが、前半20分までのマンチェスター・ユナイテッドはプレシーズンに比べて明らかにぎこちなく、開幕戦の緊張感がピッチ全体にのしかかっているようでした。スウォンジーで元気だったのは、トッテナム時代よりも自由なポジション取りができるシグルズソン。11分には挨拶代わりの強烈なミドルシュートを放ち、GKデ・ヘアを慌てさせます。

動きが悪かったホームチームが攻勢に入ったのは、24分から。マタとの高速ワンツーで右サイドを抜けたフィル・ジョーンズが、相手DFのスライディングが入る直前にゴール右隅にシュートを放つものの、これはGKファビアンスキが横っ飛びでファインセーブ。直後、右サイドからのマタのFKもファビアンスキがパンチで逃れ、26分には右からのクロスをルーニーがヘッドで叩きつけます。ようやくエンジンがかかってきたマンチェスター・ユナイテッド。この流れのなかで先制できればよかったのですが、27分、先にゴールを奪ったのはスウォンジーのほうでした。

右サイドでランヘル、ダイアーからシグルズソンへとつながったとき、エレーラが守備に戻っておらず、中央で数的優位を築いていたのはスウォンジー攻撃陣です。シグルズソンのラストパスは、サンダーランドから戻ってきたキ・ソンヨンの足元へ。シュートの強さには定評のある韓国人MFに、ぽっかり空いたスペースに入り込まれ、シュートコースを考える時間を1秒以上与えては、名手デ・ヘアといえどもひとたまりもありません。狙いすました左足シュートが右のサイドネットに突き刺さり、アウェイチームのゴールにオールド・トラフォードがどよめきます。

1点のビハインドを背負いながら、なかなか攻撃の形が創れないマンチェスター・ユナイテッドでしたが、後半に入った52分、セットプレーからようやく同点に追いつきます。マタのCKをフィル・ジョーンズが後ろにそらすと、ファーにいたルーニーが美しいバイスクルキック!新キャプテンの見事な一撃にオールド・トラフォードは盛り上がり、逆転の舞台は整ったようにみえました。65分に中央で得たFKで、ルーニーのカーブをかけたシュートがポストの内側に入っていれば、結果は逆になっていたでしょう。しかし、このボールは惜しくもポストの外に当たり、ルーニーは頭を抱えます。それでも、ゲームを支配しているのはホームチーム。勝ち越しは、時間の問題だと思っていたのですが…。

73分、決勝ゴールを決めたのは、アウェイチームでいちばん危険な存在だったシグルズソン。後半から、サイドのスペースをケアするべく、フィル・ジョーンズとアシュリー・ヤングを左右に張らせていたマンチェスター・ユナイテッドでしたが、3バックからの移行がスムーズではなく、右サイドの裏を交代出場のモンテロに突かれます。ファーサイドに上がったクロスに対応したのが本職のSBなら、ボールに気をとられてルートリッジをフリーにした上に、ヘディングをかぶるミスはしなかったでしょう。無力だったアシュリー・ヤングの裏から放ったルートリッジのボレーは、こちらもミスキックとなったものの、中央で若いブラケットがマークを離したフリーのシグルズソンの前に転がり、背番号23のシュートがゴール中央に飛び込みました。

残り時間は20分。同点に追いつくには充分な長さです。しかし、この日のホームチームは、セットプレーが唯一の希望。交代出場のナニとフェライニが機能しなかったマンチェスター・ユナイテッドに1-2をはね返す力はありません。ファン・ハール監督は、記念すべき初戦をホームで落とすという最悪の結果を甘受するしかありませんでした。

守備が綻ぶ予感はプレシーズンマッチから漂っており、修正にはそれなりの時間がかかるでしょう。むしろ残念だったのは、さほどディフェンスが強固とは思えないスウォンジーから、1点しか獲れなかったことです。後半は、全体が間延びし始め、昨季のマンチェスター・ユナイテッドに戻ったようでした。周囲とコンビネーションがとれず、個人プレイに走りがちなナニよりも、香川真司やエレーラを前で使って状況を変えたいところでしたが、前半のリンガードのケガでカードを1枚使い、後半から後ろを4人にした時点で、サイドで香川真司を使う気のないファン・ハール監督の選択肢は、ナニかリース・ジェームスしかなかったということでしょう。

この日、ベンチにいた中央のバックアッパーは、放出候補のフェライニのみ。マタを下げてエレーラを前に出そうと考えても、代わりに入る選手がいません。3-4-1-2のサイドには、激しい上下動ができる、SBの心得のある選手がいいのですが、ケガでリタイアしているルーク・ショーとバレンシア以外は誰をとっても不安です。うーん、3バックにシフトするには適材が足りない。これから9月までは下位との対戦が続くマンチェスター・ユナイテッドは、首位で秋を迎えるぐらいじゃないと、プレミアリーグ優勝どころか、5位に入るのも厳しくなります。いきなりのつまずきで前途多難ではありますが、ファン・ペルシの合流を待ち、プレシーズンマッチでは以前より確実によくなっていた攻撃力の復活に期待しましょう。

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“【MAN.UTD×Swansea】マンチェスター・ユナイテッドが隠し通せなかった、致命的な守備の綻び” への12件のフィードバック

  1. ぷれみあふぁん より:

    負けましたね
    内容も悪かったと思います
    ロジャースが言ったように
    プレミアは簡単にはいきませんでした
    開幕戦だけで判断するのは早いですが
    厳しい戦いになりそうですね

  2. makoto より:

    ぷれみあふぁんさん>
    おっしゃるとおり、厳しいですね。いいサッカーやってて点が獲れなかっただけなら「はい、次」でいいのですが、守備にあれだけ課題が多いと、時間がかかりそうです。

  3. 爪楊枝 より:

    マンユナイテッドはひどい出来でした。
    及第点以上をあげられるのは、ルーニーとジョーンズくらいでしたね。
    攻撃はオフザボールの動きがなさ過ぎて、スウォンジーの守備網に絡め取られていました。また、守備では連携の低いプレスでスウォンジーのパス回しの前に走らされるばかり。挙句の果てに整備されていないパワープレーで、焦ってフェライニを狙ってロストするという悪循環。負けるのは必然でした。
    攻めのアイデアが少ないため、お得意のセットプレー頼みで、非常に試合内容は悪く、このままでは勝利はおぼつかないですね。
    ファン・ハール監督が、ここからどれだけチーム力を向上できるかお手並み拝見です。個人技だけのゴリ押しでは、今季も期待出来ませんからね。
    それにしてもスウォンジーはいいサッカーしてましたねぇ笑

  4. 本城 より:

    スウォンジーはマルティネス〜ロジャースっぽさがほぼなくなりましたね笑
    でも、今のは今で良いチームだと思います

  5. makoto より:

    爪楊枝さん>
    守備の問題が改善してませんね。それなりに選手は揃っている攻撃に関しては、ファン・ハール監督が早期に修正してくれるはずです。

    本城さん>
    確かに。2年前と別のチームです。

  6. リバサポ より:

    後半から4バック気味になったユナイテッドに対して、スウォンジーは対応できてなかったので、2点目は割とラッキーパンチだと思います。それにしても、ビハインド背負ってからの落ち着きのなさは根深そうですね。

  7. Uボマー より:

    今日のゲーム見てたらユナイテッドが更なる補強に動いても文句言う人は誰もいないでしょうね。
    まあ怪我人の復帰次第でしょうけれども、現状では今年も最終的には戦術ペルシになることは避けられそうにありません。
    ただPSMを見たかぎりではシーズンが進むにつれて戦術面の約束事が増えていきそうな感じはするんですよね。
    モイーズは年明け後も単調なフットボールに終始してましたが、ファンハールは如何に、というところでしょうか。

  8. shu より:

    アーセナルファンとしてはファビアンスキ良くやったという感じでしたね笑

  9. makoto より:

    リバサポさん>
    確かに、ルーニーの惜しいFK前後はマンチェスター・ユナイテッドが優勢だったのですが、失点シーンは2人をフリーにしてしまったので、「獲られて当然」ではあったかなと思います。ほんとうに、なぜあんなにバタバタしてしまうのでしょうね。

  10. makoto より:

    Uボマーさん>
    「ワールドカップで指揮をとっていた監督をアサインした動き出し遅延料」を支払っている感じですね。昨季就任したモウリーニョ監督とペジェグリーニ監督は、7月頭からチームに入っており、それでも序盤はもたつくゲームがありました。ファン・ハール監督は、彼らより3週間以上遅れています。来週のサンダーランド戦も、勝ち点3は難しいかもしれないと覚悟しておりますが、新監督の力量をもってすれば、9月には立て直せるでしょう。

  11. プレミアリーグ大好き! より:

    ブラケットは足が上手いですね。守備はアカンでしたけど。
    マタがこの調子だと香川にもチャンスがあってよさそうなんですけどね。ファンハールは香川を評価してないのかな?
    昨季の香川はチームに馴染もうとしてないように見えました。自分のプレースタイルを崩そうとしないみたいな。そういうとこかな?

  12. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    香川真司は、パサーとしての評価が高くないのかもしれません。ファン・ハールさんがトップ下に求めているのは、スナイデルのような選手なのではないでしょうか。ダイヤモンド型の3-4-3とは違って、3-4-1-2はトップが2人いるので。

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