偏愛的プレミアリーグ見聞録

マイケル・キャリック、マルアン・フェライニ、ルーク・ショー、ジョニー・エヴァンス、ジェシー・リンガード、ラファエウ。負傷者続出で、これだけのメンバーがピッチに立てないとわかっていたマンチェスター・ユナイテッドに、昨日、追い打ちをかけるように追加メンバーが発表されました。今季、スペインからプレミアリーグにやってきたエレーラもまた、日曜日のサンダーランドとのアウェイ戦には出られないようです。偶然が重なったというには、あまりにも多いトータル8人のリタイア。先日獲得したDFマルコス・ロホも間に合わず、ファン・ハール監督がスタメン選びで頭を悩ますことができるのは、全員元気な前線だけです。

プレミアリーグ第1節で、スウォンジーを相手に、42年ぶりとなるホームでの開幕戦敗戦を喫したマンチェスター・ユナイテッド。今週当たるサンダーランドは、昨季のキャピタルワンカップで2試合戦ってスコアで上回れず、PK戦で敗れた難敵。5月のプレミアリーグでも、ギグス監督の下で0-1のクリーンシートで敗れています。

サンダーランドがやっかいなのは、昨季プレミアリーグ終盤にゴールラッシュをみせた21歳のコナー・ウィッカムを筆頭に、フレッチャー、アダム・ジョンソンと曲者揃いのアタッカーたち。ボリーニ獲得に失敗したとはいえ、縦に速い攻撃は侮れません。カッターモールやアダム・ジョンソンをペナルティエリア外で自由にすると、スウンンジー戦でミドルを決められたキ・ソンヨンに勝るとも劣らない強烈なシュートを喰らうでしょう。序盤戦は昨季の下位クラブとプレミアリーグ昇格組ばかりで、チームを創りながら戦うファン・ハール監督にとっては恵まれたスケジュールだったマンチェスター・ユナイテッドですが、たった2試合でトップに勝ち点6の差をつけられる連敗スタートとなれば、年末を待たずして完全なるアウトサイダーという最悪のシナリオまで見えてきます。

明日のスタメンは、どんな顔ぶれになるのでしょうか。GKデ・ヘア、DFフィル・ジョーンズ、スモーリング、ブラケット。MFにはアシュリー・ヤング、ヤヌザイ、マタ、フレッチャー。セントラルMFが不足しているので、ここに評価の低いクレヴァリーか、本職ではない香川真司を使わないといけません。トップはルーニーとファン・ペルシでしょう。4バックにするなら、リース・ジェームズを左に投入。先日のアシュリー・ヤングの危なっかしい対応を見れば、ファン・ハール監督は、彼をSBに下げようとは考えないでしょう。いやー、厳しい。ウェズ・ブラウンとオシェイの「マンチェスター・ユナイテッドOBコンビ」が並ぶサンダーランドの守備を崩すのは、前線の選手のドリブルやミドルシュート、FKなどの「飛び道具まかせ」になりそうです。

新監督は否定していましたが、おそらく、急いで仕上げなきゃと焦り過ぎたのでしょう。体が出来ていないところに負荷がかかると、ケガする可能性は当然高まります。インターナショナルチャンピオンズカップで全勝し、7月という早い時期に、勝ちにいくゲームをどこよりもこなしていたマンチェスター・ユナイテッド。どうやらそのツケがまわってきた今、ファン・ハール監督に奥の手はあるのでしょうか。開幕戦で決勝ゴールを挙げたトッテナムのエリック・ダイアーのように、こんなときにチームを救う若手が出てくると、視界が開けるのですが…。監督、いかがでしょうか、リース・ジェームズなど。