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【Everton×Arsenal】ラムジー、ジルーの2発で追いついたアーセナル、悔やまれる前半!

「あの状態からよくぞ追いついた」という見方と、「勝ち点2をロストした」と考える向きがそれぞれありそうなゲームでしたが、 後半の攻勢を見るにつけ、アーセナルは勝てた試合だったのではないでしょうか。悔いの残る、2-2のドロー。昨季、プレミアリーグ4位を争った難敵に対して、ヴェンゲル監督は冒険し過ぎたように思います。エヴァートンのマルティネス監督が選んだスタメンは、昨季とまったく変わらない11人。対するガナーズは、エジルとメルテザッカーが復帰し、アレクシス・サンチェスをはじめてワントップで起用します。

立ち上がりから堅実にゴール前を固め、時折サイドを使った突破を狙うオーソドックスな攻撃のエヴァートンに対して、アーセナルは中央からの崩しに固執します。フラミニの前にウィルシャー、ラムジーを置き、サイドにエジルとチェンバレンが張る今季からの新しいフォーメーションは、エジルが窮屈そうです。ウィルシャーは再三、中央からダイレクトパスを使って中を崩そうとしますが、SBのコールマンやレイトン・ベインズまで中に絞り、スペースを消された状態ではなかなか裏に抜けられません。コミュニティ・シールドやプレミアリーグ開幕戦では、アレクシス・サンチェスとドビュッシーが右サイドを崩すシーンがありましたが、この日はドビュッシーの攻撃参加が少なく、アウェイチームは「守られやすい攻撃」に終始してしまいます。

19分、先制はエヴァートン。FKから左サイドに出たボールをレイトン・ベインズが中のガレス・バリーに戻すと、バリーはペナルティエリア右のコールマンをめがけて左足クロス。オフサイドぎりぎりの攻防は、チャンバースが残っていたため、ラインズマンの旗は上がりません。マークを離してしまったのはメスト・エジル。コールマンがGKシュチェスニーの左手を弾くフリーのヘッドを見事に突き刺し、ホームのエヴァートンが勢いに乗ります。

アレクシス・サンチェスは、フィジカルの強さと1対1の駆け引きのうまさがあり、ボールさえもらえれば強さをみせるものの、裏に抜ける動きが周囲と合わず、まったくシュートが打てません。ポゼッションはアーセナルでしたが、ボール奪取の後、直線的な攻撃を仕掛けてより多くのチャンスを創っていたのはエヴァートンでした。0-1で前半を終わらせて、1点の攻防に持ち込みたかったアーセナルでしたが、45分、昨季も課題だったカウンターへの脆さをみせます。

左からの攻撃をカットされ、ルカクとメルテザッカーが競ってルカクのボールになったところまではいいとしても、直後に若いチャンバースが一発でスライディングにいったプレイはいただけません。ルカクがこれを軽くかわすと、あっという間の2対2。対峙したフラミニは、ルカクについて味方の戻りを待つのか、ネイスミスをケアするのかが中途半端で、ドビュッシーも右サイドを気にして左に流れたネイスミスについていけません。ラストパスは、フリーのルカクから、フリーのネイスミスへ。映像で観ればオフサイドだった微妙な抜け出しに、またもラインズマンは動きません。エヴァートン、2-0。このとき、多くのトフィーズサポーターが自軍の勝利を確信したでしょう。

しかし、アーセナルにはこの男がいました。ハーフタイム直後、アレクシス・サンチェスを変えるという思い切った采配に出たヴェンゲル監督のカードは、エースのオリヴィエ・ジルー。背番号12は、入って間もなく、右からのチェンバレンのクロスをペナルティエリア左で受け、強烈なボレーをかまします。わずかに上に外れたこの一発を見て、エヴァートンはディスタンのサイドの守備を強化すべきでしたが、コールマンとディスタンは、最後まで綻びを修正できませんでした。

おそらく、ヴェンゲル監督の指示があったのでしょう。ウィルシャー、ラムジー、チェンバレンのプレイがシンプルになり、前半に比べてサイドをうまく使えるようになったアーセナルは、エヴァートンを圧倒し始めます。22分には、短いパスのつなぎからウィルシャーのラストパスを受けたジルーが左足でニアを狙いますが、惜しくも枠の外。このゲームをドローに持ち込んだ立役者は、ジルーとモンレアルでしょう。右で創って左からのパスで決めにいくという攻撃が徹底されると、エヴァートンの守備はさらに深くなっていきます。時折、レイトン・ベインズとコールマンが左右から突破をみせるホームチームでしたが、守りが深いため攻撃時に中が薄く、フィニッシュに至りません。

そして83分、ついにアーセナルがゴールを奪います。途中出場のカソルラ、エジル、モンレアルで数的優位を創ると、最後はカソルラがDFの股間を抜くグラウンダー。中央にたったひとりで飛び込み、ゴール前にいた6人の守りを一瞬で無力にしたのはアーロン・ラムジー!…いや、凄いです、ラムジー。DF2人を連れて、よくあそこで先に触りました。いつもに比べて彼の貢献度が低いゲームでしたが、ここ一番でのゴールへの嗅覚は並のFWより格段に上です。2-1となり、さらに攻めるアーセナル。エヴァートンの守備は中央に固まり過ぎ、サイドが完全に空いています。

90分、右からのクロスをフォローしたのはモンレアル。左足の完璧なクロスは、体でディスタンをブロックしたジルーの頭にピンポイントで届きます。エースのヘッドはゴール左隅。名手ハワードも、これは止められません。アーセナルが土壇場で追いつき、昨季のプレミアリーグでも名勝負を演じたこのカードを、何とか勝ち点1で終えました。

ヴェンゲル監督が、あまりよくなかったエジルを代えなかったのは、早くコンディションを上げさせたかったのか、あるいは一発で世界を変えるパスに期待したのか。ジルー投入はいいとしても、アレクシス・サンチェスを諦めるのは早かったように思います。また、エジルがいるときは、ラムジーとアルテタないしはフラミニ、ウィルシャーを横に並べて、11番を中央に持っていったほうがよさそうですね。サンチェスのワントップとジョエル・キャンベルの効果的な起用は、今後チームとしての熟成が進んで、オプションとして定着させられるといいと思います。それにしても、もったいなかった最初の45分間の空回り。スタメンであれほど「初めて」を重ねず、エジルとメルテザッカー復帰以外は今までのフォーメーションを踏襲していれば、勝てる相手だったと思います。

後半のサッカーができれば、チャンピオンズリーグプレーオフでは、エミレーツでベジクタシュに敗れたりはしないはず。プレミアリーグでは、来週のレスター戦の後、早くも4節でマンチェスター・シティと当たります。コミュニティ・シールドで完勝したプレミアリーグ王者を返り討ちにするべく、来週の2試合でエジルとアレクシス・サンチェスがさらにフィットしてくれることを期待しましょう。タイムアップの後、足を押さえて倒れていたジルーが気になりますが…。

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“【Everton×Arsenal】ラムジー、ジルーの2発で追いついたアーセナル、悔やまれる前半!” への10件のフィードバック

  1. 明日エコト より:

    両者痛み分けでありがたい

  2. リバサポ より:

    アーセナルはイエローの多さが後々影響してこなければいいのですが。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    う〜ん、今回の記事は珍しく同意できない点が多すぎる。この試合を「勝てる試合でした」と思う人はあまりいないはず…

  4. londres nord より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    試合はエヴァートンペースで進んだと思いますが、「サンチェスワントップ」という冒険を難敵相手のこの試合にぶつけなければ、アーセナルはもっと優位にゲームを進められたのではないか、と思いました。

    リバサポさん 明日エコトさん>
    他クラブのサポーターからすれば、両方怖いので、ドローは悪くない結果ですね。アーセナルは、コンディション的にも結構無理して戦っていると思われるので、ケガ人とカードに要注意です。

    —–
    ウィルシャーとチェンバレンの同時先発は止めたがいいでしょう。ボールの無駄な持ち過ぎとボールロスが多すぎです。後半開始から、サンチェスoutではなく、チェンバレンout、ジルーinですよね。
    チャンバースはバックアッパーの域を出ていないので、本職のCBとサイズのあるDMFの獲得を望みます。そして出来ればジルーと競争の出来るCFの獲得も。。。

  5. makoto より:

    londres nordさん>
    私はジルーinでウィルシャーoutがいいかと思っておりましたが、趣旨は一緒です。londres nordさんとの違いは、チェンバレンのほうが調子がよさそう、という1点。チェンバレンoutでも異論はありません。

  6. アーセナル より:

    こんなひどい試合でよく引き分けたわ・・・
    負けてたら明らかにヴェンゲルの采配のせいですわ

  7. 蒙古gooner より:

    サンチェスをワントップにしなさいという一部のGooner(しかもSNSとかで一番うるさい)に対してのWenger監督の回答だったと思われる試合でしたね。。。Evertonの2点目がオフサイドだったが、ManCity、Liverpool、Chelseaなら3,4点も入れてもおかしくない守備(とくにカウンターに対して)でしたね。Champions Leagueになんとか(?)いけそうですが。9月13日のManCに大敗したら怖い状況になりそうです。

  8. makoto より:

    蒙古goonerさん アーセナルさん>
    スタメンといい交代といい、疑問の残る試合でした。アレクシス・サンチェスのワントップはぜひチャレンジすべしだと思ってましたが、何もエヴァートン戦で初めてやらなくても、ですね。

  9. 蒙古gooner より:

    こんな実験、Leicester戦でもよかったのに。。。Ross Barkelyがいなく、Lukakuが本調子じゃないEvertonはいける、Giroudは温存してBesikats戦でと思ったかもしれません、うちのプロフェッサーは。。。

  10. makoto より:

    蒙古goonerさん>
    私が問いたいのはそれです!ロス・バークリーがいないエヴァートンは、ルカクやミララスもまだまだエンジンがかかってない状態で、今なら叩きやすいのに、実験要素を増やしすぎて難しいゲームにしてしまったのでは?と思いました。

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