移籍市場でもピッチでも勝利⁉モウリーニョ初年度のチェルシーが過去最高の黒字計上を発表!
売上はクラブの好業績、利益は移籍市場での的確な売買による効果が大きいのではないでしょうか。2013-14シーズンにおける、チェルシー最大のトピックスはモウリーニョ監督の復帰でしたが、名将2度めのスタートにおける新選手獲得は、チームの不足を補うのみに留めるマイナーチェンジ。それなりにお金をかけたのは、シュールレ、ウィリアンぐらいで、その他の獲得選手はシュウォーツァー、クエバス、ファン・ヒンケル、アツ、ペリカなど小粒。ウィリアンと同じアンジ・マハチカラより獲得したエトーには、さほどお金はかかっていないはずです。
一方、放出のほうは大胆で、1月には前年のエースだったファン・マタを3710万ポンド(約68億円)、シーズン終了後にはブラジル代表でバリバリのレギュラーCBであるダヴィド・ルイスを5000万ポンド(約91億円)で売却しています。バック会長が、「FFP時代において、われわれは成功を持続させながらチームに投資し、経済的・商業的な進化を実現させていかなくてはならない」と語り、モニタリング初年度から2年連続でファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の基準を遵守・クリアしたと発表していることからも、相当緻密な計画を立てて黒字に持っていったことが窺えます。
バック会長のコメントを読み、チェルシーの数字を見ていると、昨季、モウリーニョ新監督が「われわれは優勝候補ではない」としきりに語っていたのを思い出します。ディ・マッテオ監督、ベニテス監督が指揮を執っていた2012-13シーズンのチェルシーは、UEFAスーパーカップ、コミュニティシールド、FIFAクラブワールドカップを合わせて4回ファイナリストになっており、本意ではなかったにしてもヨーロッパカップを制覇。対して翌シーズンは、プレミアリーグでは前年と同じ3位で、チャンピオンズリーグを除くすべての大会で前年実績を下回っています。しかしこの結果は、利益を創出しながら結果を出すことをめざしたアブラモヴィッチオーナー、バック会長、モウリーニョ監督にとって、「最高ではないが想定内」だったと思われます。冒頭に「半ばは」と書いたのは、プレミアリーグの順位とチャンピオンズリーグ上位進出だけは、アブラモヴィッチオーナーもバック会長もモウリーニョ監督に託すしかなかった、という意味合いです。おそらく、監督復帰1年めの経営陣からの評価は「制約条件が多い中でよくやった!」なのではないでしょうか。
もう少し踏み込んだ見方をすれば、既にチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、プレミアリーグを手に入れていたアブラモヴィッチオーナーが望んだのは、「とにかく勝てる監督」ではなく、「クラブに利益をもたらしながら確実に勝てる監督」であり、それがジョゼ・モウリーニョを再度選んだ理由だったのかもしれません。
マタを出したにも関わらず、プレミアリーグではチャンピオンズリーグ本戦ストレートインとなる3位を悠々とキープし、さらにダヴィド・ルイスを売却しながらチーム強化に成功しつつあるモウリーニョ監督を、あらためてリスペクトしたいと思います。しかしまあ、現代のサッカークラブの監督は、大変ですね。テクニカルディレクターのいないクラブでは、監督が選手の獲得や放出に関わるウエイトが高いので、オーナーのポケットマネーまかせとはいかなくなったお金の計算と戦力計算という2つのソロバンをはじきながらチームづくりを進めていかなければなりません。
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