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【Chelsea×WBA】「別次元だった」…自軍のプレイもサポーターの応援も、モウリーニョ監督大満足!

土曜日に行われたプレミアリーグ第12節のWBA戦は、大腿部負傷で一時は全治3週間といわれたセスク、ハムストリングを痛めていたジエゴ・コスタといった代表辞退&離脱組が元気にスタメンに名を連ね、前半開始直後からWBAを圧倒。11分のオスカルのクロスとジエゴ・コスタの完璧なトラップ&ボレーに感じたのは、プレイにみなぎる自信です。オスカルは、相対するDFを「いつでもかわせるぞ」とばかりにのんでかかっており、クロスのタイミングもコースもおそらく計算どおり。これを受けたジエゴ・コスタは、慌てもせず力みもなく、GKが届かないコースに軽くボレーを叩き込みました。オスカルが蹴る瞬間に、オフサイドトラップをかけるというCBベアードの判断は無謀でした。これだけ早い時間にスタンフォードブリッジで失点をすれば、強力な攻撃陣を擁するマンチェスター・シティでも逆転は至難の業です。

2点めは、25分。アザールのこの一発で、この試合は事実上終わったようなものでした。セスクがグラウンダーのCKをニアにいるアザールに通すと、ベルギー代表の大黒柱は軽く左に出してMFガードナーをかわし、そのまま左足で強烈なシュート。ガードナーの足先に触れたシュートはGKフォスターの脇を抜け、あっけなく2-0です。試合後のモウリーニョ監督のトークが、いつになく軽やかだったのが印象的でした。

「前半は素晴らしかったね。われわれはとても美しかったし、クオリティーが高かった。これは別次元のものだ。スピードがあって流れるようにプレイできたし、ピッチをワイドに使って攻めるためのスペースを創りだした。前半は2ゴールを決めたが、もっと多くのゴールを決めるべき展開だった」

これだけ手放しで自軍をリスペクトすることなど、なかなかないでしょう。4分にセスク、アザールとつないでテリーが至近距離からシュートを放ったシーンや、18分にイヴァノヴィッチのプラスのクロスにジエゴ・コスタが飛び込み、GKフォスターの目の前でコースを変えたプレイ。42分のアザールのロングボールにジエゴ・コスタが抜け出し、GKと交錯してこぼれたボールをオスカルまでフォローしたシーンなど、チェルシーはもう2~3点奪っていてもおかしくありませんでした。彼らの攻撃の素晴らしさは、裏に走り込んだ選手に必ずいいタイミングでパスが出ること。セスクやマティッチ、ウィリアンがボールをキープしたときに、常に複数のパスコースがあるように周囲が動いていたのが、攻撃が切れない理由だと思います。対して、WBAはほぼノーチャンス。ヤコブが27分に危険なプレイで退場したのが痛かったのは確かですが、この45分はチェルシーの中盤の仕切りが完璧でした。モウリーニョ監督の自画自賛は、決して大げさではないと思いました。

後半早々の49分、セスクのCKをテリーが強烈なヘッド。GKフォスターが素晴らしい反応でこれを弾くと、モウリーニョ監督が「代表戦で疲れている選手もいたので、前半のようには戦えなかった」と語っていたように、チェルシーは完全にペースダウン。しかしこれは、チーム全体が一様に縦への速いチャレンジを控えていたので、「ボールをキープしてペースを落とし、セーフティに戦え」というモウリーニョ監督の指示があったのではないかと思いました。それでもプレミアリーグ首位チームは、70分にマティッチの浮き球でフリーになったイヴィノヴィッチがシュート、72分にはセスクのスルーパスからアザールがフォスターと1対1と、決定的なシーンを創っています。WBAは後半多少は盛り返したものの、CK15対0が示すように、チェルシーDF陣にシュートをブロックさせるシーンすらほとんど創れず、大量失点を回避しただけでスタンフォード・ブリッジを後にしました。2-0、チェルシー完勝です。

かなり機嫌がよかったモウリーニョ監督は、先日、「客席は埋まっているのに、空っぽのスタジアムでプレイしているかのようだ」と盛り上がりに欠けるサポーターを批判したことを、謝罪までしています。「雰囲気は大きく変わった。私はサポーターについてもう何もいいたくない。彼らは、勝利のために声を挙げ、監督である私のサラリーを払ってくれている。数週間前の発言を申し訳なく思う。われわれのファンが見せた変化には驚いている」。インテル時代には、スタンドに向かって「もっと選手を鼓舞してくれ」というジェスチャーを連発していた指揮官も、TVを通じてでも熱さが感じられるこの日の雰囲気には満足したのではないでしょうか。

グアルディオラのバイエルン・ミュンヘンや、クリスティアーノ・ロナウドが絶好調のレアル・マドリードをもしのぐ12戦10勝2分け、勝ち点32は、モウリーニョ監督にとっても想定外の好成績でしょう。彼らが引き分けたマンチェスターの2チームも、0-1で負けていた状況から終了直前にやっと同点ゴールを決めただけ。チェルシーが負ける可能性は感じられなかったゲームでした。今季のプレミアリーグでモウリーニョ監督が敗戦を意識した試合があったとすれば、クルトワがビッグセーブを連発して、後半途中まで0-0の均衡を保ち続けた2節のレスター戦だけではないでしょうか。

昨日、トッテナムを書くかチェルシーにするか迷って、トッテナムを先にしたのは、若手選手が必死に走って終了直前に決勝ゴールをもぎ取ったKCスタジアムの興奮を早くお伝えしたかったのもありますが、チェルシーがあまりにも強すぎて、ただ試合の経過を書き連ねることにおもしろさを見出せなかったのが最大の理由です。これだけの一方的かつ完璧な試合運びをモウリーニョ監督がどう表現したのかを聞いて、まとめ方を考えたい。そんなことを思わせるような、非の打ちどころのない一戦でした。セスクとマティッチが同時にいなくなるぐらいのアクシデントがなければ、今季のチェルシーは崩れないでしょう。

このうえは、彼らにはぜひ、2回めのチャンピオンズリーグ優勝を実現してもらえればと思います。プレミアリーグを独走するチームが、チャンピオンズリーグでスペインやドイツに敗れる姿を見るのは悲しいですから。モウリーニョ監督の最高のチームが欧州戴冠を実現したときは、心からの拍手で偉業を称えたいと思う次第であります。がんばってください、チェルシーのみなさん。(ジエゴ・コスタ 写真著作者/CFC Unofficial)

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“【Chelsea×WBA】「別次元だった」…自軍のプレイもサポーターの応援も、モウリーニョ監督大満足!” への4件のフィードバック

  1. モウ より:

    チェルシーの記事は今回は書いてもらえないのかと思ってました(笑)

    前半はとてもよかったですけど、後半は記事にもある通りチェルシーもペースダウンして相手の脅威もあまりないって感じで、ちょっと退屈でしたね〜

    相手のレッドはイエローでよかったかなって感じでかわいそうでした。
    あの時点で試合が完全に終わった感が(^_^;)

    あと自陣で魅せるようなパスワークは、リスクを嫌うモウリーニョは怒ると思いましたけど、前半のことは普通にべた褒めでした(笑)

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    退場のタックルですが、はじめは可哀想だと思ってたのですが、
    MotDの別アングルからのシーンを見ると、レッドが妥当だと思いました。
    明らかにジャンプして両足で踏みつけようとしてますから。あり得ないタックルです。

    それと、チェルシーのヒヤヒヤする心臓に悪いサッカーに慣れてしまってるのか、圧勝しても逆に物足りなく感じてしまうのは私だけでしょうか?(笑)

  3. かきたに より:

    チェルシーファンです!
    こんな完璧な試合を魅せてもらえて最高です!
    セスクとマティッチのコンビが離脱したらまずいと思いますけど、プラスセンターバックの層が少し薄いのも少し不安です!

  4. makoto より:

    モウさん プレミアリーグ大好き!さん かきたにさん>
    いやー、強かったですね。土曜日も、昨日も。スルーパス、くさびと、縦にいいボールが入るのが、チェルシーの強さのひとつだと思います。昨季は、攻めあぐむと横、横、横だったんですよね。

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