イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Aston Villa×Saints】クラインお見事!しかし遅かった…ドローに終わったセインツの強さと脆さ

フランス代表で負傷したと伝えられていたシュナイデルランは元気にピッチに姿をみせ、ワニャマとセントラルMFコンビを組んでいます。GKはイングランド代表フォースター、最終ラインに並ぶクライン、アルデルヴァイレルト、フォンテ、バートランドもいつものメンバー。攻撃陣は、ペッレを最前線に置いて、右にシェーン・ロング、左にマネ、真ん中にタディッチ。ベストメンバーのサウサンプトンが、敵地ヴィラ・パークとはいえ、アグボンラホルの一発でアストン・ヴィラに先制を許しました。

大量に主力選手を放出しながら、クーマン監督のサッカーが早期に浸透し、プレミアリーグで2位に躍進。ここまで5失点は、2番めに少ないチェルシーの半分以下という鉄壁の守備。直近4試合は、すべてクリーンシート。点をやらないセインツは、それゆえに追いかけるゲームの経験が少なく、先制を許した3試合のうち、リヴァプールとトッテナムには競り負け。逆転勝利はシュナイデルランがスーパーだった3節のウエストハム戦のみです。この試合で、セインツは劣勢をひっくり返してプレミアリーグの優勝争いに残るのか。あっけなく敗れて、マンチェスター・シティの追撃を許すのか。後半が始まっても、マネのドリブルはことごとくアストン・ヴィラのDF陣がカット。苦し紛れのクロスは簡単にゴールラインを割ってしまい、シュートを打てる態勢に持ち込めません。次の1点の匂いがするのは、攻め上がるSBクラインの裏を突いたカウンターで、たびたびフォースターを慌てさせているホームチームのほうです。

66分、クロスのクリアの落下点にいたワニャマがボレー。後半が始まってから20分以上を費して、セインツはやっとまともなシュートが打てました。これを機に、プレミアリーグ2位にやっとエンジンがかかったようです。72分、右に流れたワニャマのスルーパスを受けてサイドをえぐったフォンテが、きわどいグラウンダーを通すも誰も触れず。直後のタディッチの右からのクロスは、GKグザンの前にいたペッレの頭を捉えるも、枠の上。75分、タディッチがドライブをかけて狙った強烈なFKはグザンがパンチ。こぼれ球を左に展開して、グラウンダーの落としをもらったアルデルヴァイレルトの強引なボレーはDFがブロック。焦るセインツは、77分にヴァイマンにカウンターを許し、かろうじてシュートミスに救われます。残り時間は、10分しかありません。

しかし、セインツはここから勝利への執念を見せました。82分、後半になって初めて、アウェイチームが左サイドを攻略します。縦パスを受けてDFに競り勝ったのは、ここまで効果的なオーバーラップを仕掛けられなかった左SBバートランド。中に入ったペッレらをおとりに使い、その後ろのスペースに転がした彼のラストパスは最高でした。中央に走り込んだのは、イングランド代表で売出し中のSBナサニエル・クライン。強烈なシュートがグザンの右手を越えてサイドネットに刺さり、1-1、同点です。

追加タイム3分を入れた、最後の10分はイーブン。追いつかれたアストン・ヴィラは巻き返しを図ろうとラインを上げ、今度はセインツがカウンターで対抗。中盤でのせめぎ合いが続き、時計は90分を回ります。右サイドに出て、祈るようなクロスを再三入れたタディッチの奮闘及ばず、ゲームはドローのままタイムアップ。セインツにとっては「痛い」という形容詞が適切でしょう。サポーターの声援に応える選手たちの表情は能面のようで、失った勝ち点を悔いる気持ちが伝わってきました。

かえすがえすも、29分の縦パス1本に判断を誤り、アグボンラホルに抜かれてしまったGKフォースターのミスが残念です。一度飛び出しを躊躇したGKは、DFがついていたにも関わらず、なぜ再び前に出てしまったのでしょうか。ペッレのポストプレイを徹底的に狙ったアストン・ヴィラの守備がよかったので、ドローという結果には驚きませんが、カウンター以外の攻撃に迫力が感じられなかったヴィラゆえ、前半を0-0でたためていれば、セインツ優勢で試合を進められていたでしょう。

セインツについて、気になったことがもうひとつあります。スティーブン・デービス、ジェイ・ロドリゲス、ウォード=プラウズを欠いた彼らのベンチのオプションは、実質ジャック・コークのみ。79分にマネと代わったFWマユカは、今季のプレミアリーグに14分しか出ていない選手。ジャック・コークが入ったのは89分になってからで、それまでのセインツは、スタメンががんばり続けるしかありませんでした。攻撃的な選手がもう1~2枚ベンチにいれば、クーマン監督は不調だったシェーン・ロングをもっと早く代えたでしょう。早期に負傷者が復帰したうえで、夏の大量放出で蓄えた貯金をもう少し補強に使わなければ、年明けのサウサンプトンはプレミアリーグ4位から脱落しているのではないかと思います。リヴァプールやトッテナムよりも明確な攻撃のスタイルがあり、最後に追いつく粘り強さを見せつつも、不調の選手がひとりいただけで途端に停滞し、交代で修正できない。今季プレミアリーグにおける最大のダークホースであるセインツの、強さと脆さを両方感じたドローゲームでした。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す