偏愛的プレミアリーグ見聞録

日々、写経をすると、邪念を振り払うことができ、心を落ち着かせることができるそうですが、3日に1回のペースでリヴァプールの負傷者リストを書き写す作業を続けると、邪念と心のざわつきが止まらなくなります。かつて、これほどのアクシデントに見舞われたクラブがあったでしょうか。昨シーズンのプレミアリーグチャンピオンは、たった1ヵ月の間に最終ラインの4枚をすべて失ってしまう可能性があります。

最初の事件は、10月17日のプレミアリーグ5節、グディソンパークで開催されたマージーサイドダービー。ピックフォードに足を挟まれたファン・ダイクが、前十字靭帯の損傷という重傷でシーズンの大半を失うことになりました。2つめは11月8日、エティハドに乗り込んだマンチェスター・シティ戦でした。60分過ぎにピッチに座り込んだのは、トレント・アレクサンダー＝アーノルド。ふくらはぎを痛めたSBは、少なくとも12月上旬までの6試合を欠場する見通しと発表されています。

その2日後に、第3のトラブルが発生しました。イングランド代表に参加していたジョー・ゴメスが、11日の朝に行われたセッションで膝を負傷。靭帯断裂という最悪の事態には至らなかったものの、左ひざの腱を修復する手術が必要となり、こちらも長期離脱が確定しています。唯一残ったアンドリュー・ロバートソンには、真ん中にコンバートされるという噂もあったのですが、レギュラーCBがリタイアした2日後にプランは立ち消えになりました。スコットランド代表としてセルビアと戦ったユーロ2020予選のプレーオフ決勝で、120分を走り抜いた第4の男のカルテには、ハムストリング痛と記されているようです。

プレミアリーグNo.1の左SBは、ネーションズリーグのスロバキア戦の登録メンバーから既に抹消されています。プレミアリーグとチャンピオンズリーグを3日おきに戦うというタイトなスケジュールをこなした後、誇りを賭けた代表戦でアップダウンを繰り返したことによって、足が悲鳴を上げてしまいました。ただし本人は、「延長戦に入ってから、足が痙攣したので心配になり、大事をとった」とコメントしており、ぎりぎりセーフの可能性が残されているようです。レッズサポーターは、不安な気持ちを抑えながら、次のニュースを待っているのではないでしょうか。

最初の事件から第4のトラブルまで、27日。プレミアリーグ9節のレスター戦のスタメンに、ネコ・ウィリアムズ、リース・ウィリアムズ、ジョエル・マティプ、コスタス・ツィミカスと記されていれば最悪の事態です。「ワイナルドゥムがオランダVSボスニア・ヘルツェゴビナ戦で2ゴール、ギニア代表のナビ・ケイタとセネガルのサディオ・マネもゴールをゲット」という明るいニュースだけ伝えたかったのですが…。

0-1で敗れたフランス戦で56分に退いたディオゴ・ジョッタと、1-1のドローに持ち込んだスペイン戦で72分までプレイしたシェルダン・シャキリは大丈夫でしょうか。例年よりもプレシーズンが短く、ユーロが控えているために5週間も短縮された今季のプレミアリーグ。「5人交代制を認めるべき」というクロップ監督の主張に、諸手を挙げて賛同の意を表したくなります。クリスティアン・プリシッチ、ナタン・アケ、チャグラル・ソユンチュ、ウィルフリード・エンディディ、ルーク・ショー、ダニー・イングス、トーマス・パーティー…。指揮官が頭を痛めているのは、リヴァプールだけではありません。