偏愛的プレミアリーグ見聞録

チャンピオンズリーグに引き続き、ヨーロッパリーグのラウンド32の組み合わせ抽選結果を紹介します。エヴァートン、リヴァプール、トッテナムのプレミアリーグ勢は、三者三様という言葉がぴったりでしょう。最終戦を残して、グループHの首位通過を悠々と決めていたロベルト・マルティネス監督のエヴァートンは、久保裕也が所属するスイスのヤング・ボーイズと対戦。ヨーロッパリーグには予選3回戦から登場し、プレーオフを勝ち上がって、ナポリ、スパルタ・プラハとの激しい殴り合いの末に2位に滑り込んだチームです。スイス・スーパーリーグでは、開幕4戦勝利なしという最悪のスタート。直近の5連勝で、何とか2位チューリヒと勝ち点で並ぶところまでは上がってきたものの、首位バーゼルはまだまだ遠い勝ち点8差です。彼らのサッカーは、ダイジェストでしか観たことはないので詳細な戦力分析まではできませんが、ベニテス監督のナポリとスパルタ・プラハをホームで完封しているあたりは侮れません。とはいえ、前回王者のセビージャや、チャンピオンズリーグ3位組のなかで成績下位でノーシードとなっていたアヤックスやASローマを引くことを考えれば、悪くないドローといっていいと思います。

エヴァートンが晴れだとすれば、雨となってしまったのはマージ―サイドのライバル・リヴァプールです。チャンピオンズリーグでグループ3位の8チームにおいて、リヴァプールも成績上位4クラブに入れなかったので、シード権を持つそれなりのクラブと当たる可能性大ではありました。それにしてもベシクタシュは、ロジャース監督にとっては避けたいほうから数えたほうが断然早いチームだったのではないでしょうか。

同じプレミアリーグ勢のアーセナルが、チャンピオンズリーグのプレーオフで0-0、1-0と大苦戦したトルコ・スーパーリーグの首位クラブは、トッテナムと同組のグループCを3勝3分けと無敗で首位通過。ノースロンドンの2クラブは、いずれもベシクタシュとの2試合通算で1点しか獲れず、得点力不足に悩むリヴァプールにとってはやっかいな相手です。選手たちも、遠征の所要時間がかかるうえにサポーターが血の気が多くて悪名高いトルコでのアウェイ戦よりは、ブルージュやワルシャワで試合をしたかったに違いありません。アンフィールドでのセーフティリードが望み薄のリヴァプールにとって重要なのは、セカンドレグでアウェイゴールをもぎ取ることだと思われます。

【ヨーロッパリーグ2014-15　決勝トーナメント1回戦組み合わせ】
※左のチームが初戦ホーム
ヤング・ボーイズ（スイス） VS エヴァートン（イングランド）
リヴァプール（イングランド） VS ベシクタシュ（トルコ）
トッテナム（イングランド） VS フィオレンティーナ（イタリア）
トリノ（イタリア） VS アスレティック・ビルバオ（スペイン）
セビージャ（スペイン） VS ボルシアMG（ドイツ）
ヴォルフスブルク（ドイツ） VS スポルティング（ポルトガル）
アヤックス（オランダ） VS レギア・ワルシャワ（ポーランド）
オールボー（デンマーク） VS クラブ・ブルージュ（ベルギー）
アンデルレヒト（ベルギー） VS ディナモ・モスクワ（ロシア）
ドニプロ（ウクライナ） VS オリンピアコス（ギリシャ）
トラブゾンスポル（トルコ） VS ナポリ（イタリア）
ASローマ（イタリア） VS フェイエノールト（オランダ）
ギャンガン（フランス） VS ディナモ・キエフ（ウクライナ）
ビジャレアル（スペイン） VS ザルツブルク（オーストリア）
PSV（オランダ） VS ゼニト・サンクトペテルブルク（ロシア）
セルティック（スコットランド） VS インテル（イタリア）

最終戦でベシクタシュに敗れて2位通過となったトッテナムは、ドイツやスペインを回避。フィオレンティーナならまずまずでしょう。今回のヨーロッパリーグをリヴァプールが制覇すれば史上初となる4回めの優勝、トッテナムが勝てばトップタイとなる3回めです。セビージャやローマが優勝候補に推され、プレミアリーグ勢はダークホース評価になりそうなヨーロッパリーグですが、リヴァプール、エヴァートン、トッテナムにはひとつでも上のラウンドに勝ち残っていただきたいと思います。UEFAのカントリーランキングでは、4位・5位のポルトガルやイタリアとはまだ差がありますが、うっかり3位から滑り落ちればチャンピオンズリーグの椅子がひとつ減ってしまいますので…。