偏愛的プレミアリーグ見聞録

総得点19はボトム10で最大。プレミアリーグ16位ながらリヴァプール、エヴァートンを破り、アーセナルとチェルシーには1点差の惜敗。上位相手に2点差以上離された負けがないクリスタル・パレスは、マンチェスター・シティにとってもやっかいな相手です。アグエロ、ヨヴェティッチ、ジェコを欠くマン・シティにはFWがおらず、無名のアンブローズをベンチに置く非常事態。ゼロトップ気味の布陣の最前線にいるのはミルナーか。エティハド・スタジアムでのゲームは、サバレタの突破からナスリがシュートを放ち、ホームチームの攻勢で進みます。

クリスタル・パレスのサッカーは、ジェディナクとマッカーサー中心に中盤でプレスをかけてボールを奪い、左のボラシエや右のパンチュンから速攻を仕掛ける形。マンチェスター・シティは短いパス交換からサイドを攻め立て、元気なナスリが積極的にシュートを狙います。18分、クリスタル・パレスのCKでジェディナクがGKハートと競り合い、あわやのシーンを作ると、マン・シティもすかさず左からのカウンター。ヘスス・ナバスがファーサイドでフリーでしたが、マッカーシーの必死の守備でクロスを上げさせません。20分、クリスタル・パレスのFKは、オフサイドぎりぎりのポジションでヘディングのパスを受けたフレイザー・キャンベルがオーバーヘッド。シュートは枠を外れますが、プレミアリーグ昨季王者がヒヤリとさせられたシーンでした。

24分、ダヴィド・シルヴァとナスリが右サイドのワンツーからDFラインを破るも、ダヴィド・シルヴァの左足はわずかにゴールの外。マンチェスター・シティにエンジンがかかってきました。27分には、ヤヤ・トゥレとのワンツーからコラロフが左サイドを崩し、最後はヤヤ・トゥレ。アウェイチームはサイドの守備を修正しなければ、やられるのは時間の問題です。42分にヤヤ・トゥレのスルーパスから最前線に飛び出し、GKと対峙したサバレタのシュートはスペロニがブロック。前半は0-0。サイドからの攻撃を徹底するマンチェスター・シティはフィニッシュに正確さを欠き、セットプレーを確実にシュートにつなげるクリスタル・パレスも、ジョー・ハートの壁を破れません。後半の興味は、どちらが先にゴールを奪うかです。

後半開始から、マンチェスター・シティの怒涛の攻撃がスタート。クリスタル・パレスの必死の守備は、4分しか持ちませんでした。49分、前半同様にペナルティエリア内に侵入してスルーパスを受けたサバレタがダヴィド・シルヴァに短いパスを落とすと、スペイン代表MFのシュートはCBスコット・ダンの足に当たってゴール！1-0となり、クリスタル・パレスは完全に守勢にまわります。素晴らしかったのは、ゲームを完全に支配したダヴィド・シルヴァ。彼のスルーパスでヘスス・ナバスやコラロフがサイドをえぐり、60分には決定的な2点めが生まれます。左サイドでフリーになったコラロフのグラウンダーは、ニアに入ったダヴィド・シルヴァの足元へピタリ！ダイレクトボレーにスペロニは触れず、勝負はここで終わりました。

見えてる選手、見えてるスペースを使うナスリに対して、一発のパスでスペースそのものを創り出し、選手を動かすダヴィド・シルヴァのゲームメイクは一段上です。自ら2ゴールを挙げたこの日のプレイは、コンダクターとしてもフィニッシャーとしても秀逸でした。2点差となり、ザハを入れて反撃しようとするクリスタル・パレスの前がかりを咎めるカウンターが決まったのは、80分。左サイドから突破したミルナーが、前線に走り込んできたヤヤ・トゥレに丁寧なラストパス。マークに付くDFを引きずるようにペナルティエリア左に出たヤヤ・トゥレは、強烈な左足シュートをニアに叩き込み3-0。FWがいなければ、MFが奪う。結局、マンチェスター・シティの地力を思い知らされた一戦でした。

FW不在が苦しいのは間違いありませんが、今のマンチェスター・シティなら、年末年始のWBA、バーンリー、サンダーランドには負けそうにありません。相手関係を考えれば、1月末のプレミアリーグ天王山の前には、マンチェスター・シティがチェルシーの上にいるかもしれません。いやー、やっぱりいやらしいですね、ダヴィド・シルヴァ。今日はただひたすら、脱帽です。