大胆に推測!「アラン・パーデュー監督、クリスタル・パレス電撃移籍」の舞台裏
解任されたヒュートン監督の後釜として、アラン・パーデュー監督がイングランド北端のクラブにやってきたのは2010年12月。5年半という長めの契約に期待が込められていたものの、最初の半年はパッとせず、就任時から順位を上げられずにプレミアリーグ12位で着地しました。ウェストハムをプレミアリーグに昇格させた後、チャールトンとサウサンプトンで成果を挙げられなかったフランス人監督が評価を高めたのは、直後の2011-12シーズン。クラブは5位となって、ヨーロッパリーグ出場権を獲得。パーデューはプレミアリーグ監督協会(LMA)の年間最優秀監督に選ばれ、2012年9月には8年という異例の長期契約をクラブからオファーされます。
当時、ニューカッスルのマネージングディレクター、デレク・ジャンビアス氏は、長期契約の理由について「マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルには、アレックス・ファーガソンとアルセーヌ・ヴェンゲルがいる。昨シーズンの成果をベースに、クラブの成功を継続していきたい」とコメントしています。あと一歩でチャンピオンズリーグというポジションにジャンプアップ。スタジアムにはサポーターが増え、経営的にも大きなプラス。カバイェやクルルといった新戦力は軒並み活躍。どこをとっても、クラブの将来をまかせられる有能な監督に来てもらったと思える材料しかありません。1点、影があったとすれば、プレミアリーグ5位となったシーズンにも関わらず、年末に8戦勝利なしという落ち込んだ時期があったことです。ウェストハム時代にも8連敗を喫していたパーデュー監督が、「選手をモチベートできず、ひとたびチームが落ち込むと立て直せない監督である」ことを経営陣が認めざるをえなくなったのは、翌シーズン以降、成績が停滞してからでした。
長期契約でテンションが緩んでしまったかのように、2012年以降のパーデュー体制はダッチロールを始めます。2012-13シーズンは降格寸前、プレミアリーグ16位。昨季は3月のハル・シティ戦で監督自ら「メイラーへの頭突き事件」を起こしてチームは得意の失速を開始。最後の10試合を6連敗を含む2勝8敗として10位フィニッシュです。この事件に対して10万ポンドの罰金を科したクラブは、「いつパーデューを斬るか」にシフトしていたのではないかと思います。2014-15シーズンもまた、10月中旬まで勝てないニューカッスル。落ち込んだチームを変えられないのは相変わらず。開幕から2ヵ月も「パーデューの限界」を見せつけられては、その後のプレミアリーグ5連勝にポジティブな評価はできなかったでしょう。サポーターからの「パーデュー辞めろ」の声も大きくなるなか、ネックは長期契約の違約金のみ。さあ、どうする⁉
そこに降ってわいた、クリスタル・パレスの監督交代劇とパーデューへのオファー。普通なら決定まで情報が漏れないように事を進めるところを、ニューカッスルは公式サイトで「パーデュー監督はクリスタル・パレスと交渉に入っており、トレーニングはアシスタントのジョン・カーヴァー氏が担当します」と広報しました。年末に行われた、既成事実化して退路を断つような無情なアナウンスをもって、監督とクラブをつなぐ糸は事実上、切れたのではないでしょうか。後任監督が決まってないのに現役監督を放出するという異例の移籍劇に、クラブがいかに「パーデュー放出ありき」だったのかが窺えます。パーデュー監督も、ひと頃蜜月状態だったクラブが、もはや自分を必要としていないことはわかっていたのでしょう。クリスタル・パレス監督就任のコメントは、うがった見方をすれば、自分を捨てたクラブに対する当てつけとも思えるものでした。
「スティーブ(・パリッシュ会長)とフロントのサポートも得られて、クラブを次のレベルへ動かすことができると確信している。このクラブの新しい歴史を作り上げられるはずだ」
以上が、多分に推測も含みながら「パーデュー電撃移籍の舞台裏」に関する私の見立てでございます。TVドラマ「相棒」の杉下右京さん風にいえば、「こう考えると、すべてのつじつまが合うんです」といったところ。この話から得られる教訓は、「遠い未来をむやみに約束すると、心変わりしたときの後始末が大変になる」。結婚やマンション購入と一緒ですね。クリスタル・パレスにおけるパーデュー新監督の緒戦は、本日行われるFAカップ3回戦、ドーバー・アスレティック戦です。
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