イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ニューヨークが激怒…「フランク・ランパードはレンタルではなかった」騒動にご本人がコメント!

さまざまなニュースやジャーナリストの記事をを読む限り、イギリスは冷静、ニューヨークは激怒、といったトーンです。昨年末に、マンチェスター・シティがフランク・ランパードとの「契約(contract)」をプレミアリーグ終了まで延長すると広報したことに端を発した今回の騒動。シーズンチケットやジャージを購入したニューヨークのファンが、開幕からランパードを見られると思ってたのに話が違うじゃないか、と大クレーム。そんななかで、一昨日、この件について事実関係を調査していたプレミアリーグが発表したのは、「ランパードはマンチェスター・シティとの契約下にあり、MLSのニューヨーク・シティとは契約していない」という結論。ランパードが12月末までの短期契約を取り交わした相手は、マンチェスター・シティとニューヨーク・シティを傘下に持つシティ・フットボール・グループ(CFG)だったとのことですが、何やら複雑です。

プレミアリーグ側から見れば、「実態的には」問題はないでしょう。ランパードの前所属クラブのチェルシーは、契約解除となった選手がその後どんな契約を結ぼうがノータッチ。クラブやサポーターにとって、彼が長年クラブを支えてくれたレジェンドであることは、揺らぎも曇りもしないでしょう。ヴェンゲル監督が以前に語っていた「同一資本のクラブ同士のレンタル契約は、FFP逃れの裏道になりえるのではないか」という疑問も、ランパードがマンチェスター・シティと契約していたのであれば、クリア。残るのは、マンチェスター・シティがレンタルなどという事実ではない発表をしたことに対するモラルの問題。これについては、イギリスよりもむしろ、アメリカのジャーナリストがやや感情的にCFGを非難する論調が目を引きます。

2014年7月24日に、ランパードはニューヨーク・シティに所属する選手としてインタビューを受けていたではないか。今回のマンチェスター・シティとの契約延長が、CFG主導で決められるのは納得がいかない。もしかして、ニューヨークとの契約など存在しないのではないか。「舐められた」「許せない」「リスペクトがない」…。ニューヨークのサッカーショップのなかには、「ランパードのユニフォームの交換や返品に応じます」と宣言しているお店も出てきているそうです。当地のサポーター団体は、「許せない。ニューヨークがマンチェスター・シティのセカンドチームであることを否定する。CFGの姿勢は非常に残念」と非難しています。クラブに愛があればあるほど、裏切られた感覚も強いでしょう。サポーターの気持ちはわかります。

この件について、ランパード本人はこう語っています。
「ここ数日で数々の嘘やナンセンスな情報を目にしたので、自分の状況についてはっきりさせておきたい。僕は、昨季終了後にチェルシーを離れた後、2015年1月1日から2年間、ニューヨーク・シティでプレイする契約にサインした。その後、ベストコンディションでニューヨークに入るために、暫定的にマンチェスター・シティのメンバーとなる機会をオファーされた。今回、マンチェスター・シティによってこの期間が延長されたが、関係各所すべてにとっての最善策を見つけるために、継続的に対話をしてきた結果だ。僕は今季のプレミアリーグが終わったら、ニューヨークでプレイする。ニューヨークでのチャレンジにとても興奮しており、早くMLSで成功できるよう、チームのために全力を尽くしたい」

ランパードの言葉、プレミアリーグの発表、さまざまな記事の情報を整理すると、こういうお話ではないかと思います。
1)2014年12月31日までは、ランパードとCFGの短期契約でマンチェスター・シティに所属
2)2015年1月1日から2年間、ニューヨーク・シティに所属(この契約はまだスタートしていない)
3)今回の契約延長については、ランパードのコメントから類推すると、「主導したのはマンチェスター・シティ(あるいはCFG)」「話し合いを続けてきたニューヨークはこれを了承」「三者間合意の元、上記1の契約を握り直し、2の契約がスタートする時期が変更となった」

最大の問題は、ランパードとニューヨークとの契約が有無をいわさず反古にされたように見えてしまったことですが、もうひとつ気になるのは、最初にレンタルと発表してしまったことです。「獲得した選手を一時的に貸し出すだけ」と広報したほうが、ニューヨークのファンに対してわかりやすく、耳触りがいいのでチケットやグッズを売りやすいと判断したのでしょうか。あるいは、チェルシーの看板選手がプレミアリーグで優勝を争うクラブに直接移籍する(ように見える)というインパクトを嫌ったのでしょうか。いずれにせよ、当初計画通りに事が進めば何の問題もなかったのでしょうが、プレミアリーグにおけるランパードの活躍に色気を出したマンチェスター・シティが予定を変更しにいったために、選手を借りている立場のはずのクラブが強引に映り、海の向こうのファンから過剰に怒りを買ってしまったのでしょう。

マン・シティも後ろめたく感じているようで、当初公式サイトにあったloanという記述がある記事は削除され、contractに統一されています。うーん、せっかくのクラブ旗揚げで、揉めてしまったのは残念。今回は、欧州と違うスケジュールのリーグでこれから立ち上がる新チームが絡んだ特殊な契約だったので、伝え方が難しかったのかもしれませんが…。最初から事実を伝えたうえで、契約延長について両クラブからの丁寧な説明とニューヨークのファンへのメッセージがあれば、彼らの怒りはゼロにはならないものの、契約の存在自体が疑われるようなネガティブな反応に包まれることはなかったのではないかと思いました。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“ニューヨークが激怒…「フランク・ランパードはレンタルではなかった」騒動にご本人がコメント!” への6件のフィードバック

  1. 白ぶどう より:

    シティファンですが確かにランパードの問題に関しては正直、少々せこいかなと思ってます。
    それからセカンドチーム云々に関しては、マンシティ側は完全にセカンドチームだと思っている節があると思います笑
    ニューヨークシティのPVを見ててもマンシティの選手がニューヨークでサッカーしてる映像ですしね。。笑

  2. 名無し より:

    こんにちは。横から失礼しますがランパードの声明でも管理人さんの言う2)の契約が確約なので少し違うのではないかと思いました。この確約にどの程度強制力があるかですね。口約束程度で親元のシティ次第で動かせるものでは話にならないので、シーズンチケットを買ったファンの怒りも納得のかなり怪しい話に思えます。

  3. ゆうま より:

    他サポから見たらシティーグループはやることが狡っ辛いですね(笑)
    今回の件も上手いことやるつもりだったんでしょうが、結局関係者全員の株を下げた
    結果に終わっていますし、シティが真のビッグクラブを目指しているんなら常に王道
    (もしくは覇道)を歩まないと。

  4. ぷれみあふぁん より:

    ただのHG枠だと思ってましたが
    得点を決めたりと予想以上の活躍でしたからね
    ペジェグリーニが契約延長を望んだのもわかります
    ランパードの活躍が嬉しい誤算でしたね

  5. a より:

    ユナイテッドサポとしては、「シティせっけえwwww」って言えるおいしい種です(ゲス顔

  6. makoto より:

    白ぶどうさん>
    CFGの世界戦略的には、ニューヨークや横浜は支部みたいなものなのかもしれませんね。

    名無しさん>
    他クラブなら、マンチェスター・シティの依頼にノーといえたのだと思いますが、同一資本のニューヨークには拒否するという選択肢はなく、実質的には「強制力ゼロ」なのでしょうね。私も、ファンの怒りは理解します。

    ゆうまさん aさん>
    そうですね。延長がニューヨークの怒りを買うことは不可避なので、せめてファンにちゃんとお詫びしておけばよかったのに…と思いました。

    ぷれみあふぁんさん>
    冷静に考えれば、ランパードがあのくらいやってもおかしくないのですが、実際にプレイを見せられてペジェグリーニ監督もグラグラきたのでしょうね。ランパード、さすがです。

コメントを残す