偏愛的プレミアリーグ見聞録

オールド・トラフォードで行われたファーストレグは6-2。3失点までOKのスールシャール監督は、リンデロフ、ラシュフォード、マクトミネイをベンチに置いています。ヨーロッパリーグ準決勝セカンドレグ、ローマVSマンチェスター・ユナイテッド。さっそく、プレミアリーグ2位チームのラインナップを紹介しましょう。GKデ・ヘア、DFワン＝ビサカ、バイリー、マグワイア、ルーク・ショー。2センターはポグバとフレッジ、2列めはグリーンウッド、ブルーノ・フェルナンデス、ファン・デ・ベーク。ワントップはカバーニです。

ローマのトップはジェコ、左右にペドロとムヒタリアンを配し、最終ラインにはスモーリング。プレミアリーグファンにとって懐かしい選手たちが要所を担っています。3分にペッレグリーニが左から蹴ったCKは、ファーのペドロのヘッドがニアポストの外。ムヒタリアンの縦パスをペドロが落とし、ペッレグリーニが左足で叩いた7分のシュートは、左のポストの脇を抜けていきます。3年前のチャンピオンズリーグでバルサに4-1で敗れた後、3-0で逆転したローマは諦めていないようです。

自陣でのミスが目立つマンチェスター・ユナイテッド。14分に中央でポグバから奪ったペドロのミドルは、デ・ヘアの頭上です。20分にフレッジの浮き球でラインの裏に出たカバーニは、ループシュートを枠に収められず、ブルーノ・フェルナンデスのスルーパスでGKミランテと向き合った26分の決定機も、思い切り蹴ったボールが弾かれてしまいました。31分、右からのクロスに飛び出したデ・ヘアは触れず、倒れ込みながらコースを変えたミキのヘッドは左にアウト。34分に強引に中央をこじ開けたジェコの一撃はマグワイアの足に当たり、こぼれ球に反応したペッレグリーニの左足はデ・ヘアが冷静にセーブしました。

39分、先制したのはマンチェスター・ユナイテッド。フレッジの美しいスルーパスで中央から抜け出したカバーニが、右足の強いシュートでミランテの右手の先を抜きました。41分、ジェコが左に出した短いパスでミキがバイリーの裏を取り、デ・ヘアの前で左足で狙うと、ニアに重心を移しながら左手を残した守護神がセーブ。前半は0‐1で終わり、ローマのミッションは5点です。スールシャール監督はもう大丈夫と思ったのか、ワン＝ビサカとルーク・ショーを下げてブランドン・ウィリアムズとアレックス・テレスを投入しました。

後半が始まり、49分にヒールでクリアしようとして自らの右手に当てたマグワイアはPKを取られず。攻めていたローマが追いついたのは、57分でした。ボックス左を突破したミキがゴールライン際からファーに浮かすと、ペドロが右足で折り返し、コース上にいたジェコがヘッドでプッシュ。さらに60分、フレッジにカットされたボールを奪い返したペッレグリーニが縦に流すと、ボックス手前で受けたクリスタンテが美しいミドルを左隅に収めました。1分後、右サイドから上がったカルスドルプのクロスをニアのジェコがヘディングで合わせると、デ・ヘアが体に当ててゴールならず。こぼれ球をプッシュしたペドロの一撃も、プレミアリーグ屈指の守護神が左に弾き出しました。

その1分後にも、ボックス右にスプリントしたペドロがグラウンダーを入れ、ニアに入ったミキがボレー。2分で3度のビッグセーブを見せたデ・ヘアの奮闘がなければ、バルサ戦を上回る衝撃の事件が起こっていたかもしれません。66分、中央に走り込んだブルーノ・フェルナンデスがキックフェイントからのスルーパス。右から上がったグリーンウッドはフリーでしたが、フィニッシュを左に外してしまいました。

マン・ユナイテッドサポーターがひと息ついたのは68分。フレッジの縦パスをキープしたグリーンウッドが18番に落とすと、右足でカーブをかけた完璧なクロスがカバーニの頭に届きました。叩きつけたヘッドがネットを揺らして2-2。残り20分で4発の至難の業です。ミキのシュートが左のポストに当たるなど、惜しいシーンが続いたローマが勝ち越したのは83分。トップチームデビューだったザレフスキのボレーがアレックス・テレスに当たって枠に飛び込みました。

セカンドレグは3-2でローマが勝ちましたが、2試合通算8-5でマンチェスター・ユナイテッドがファイナル進出。最初の感想は「カバーニの豪快な2発を観られてよかった」で、2つめは「4点のアドバンテージがあったとはいえ、オンターゲット13本はやられすぎ」です。決勝は、ビジャレアル。ローマより明らかに守備力が高く、1発勝負は避けたかった相手ですが、カバーニ、ブルーノ、ラシュフォード、ポグバ、ルーク・ショーがゴールをこじ開けてくれると信じております。

プレミアリーグ2位＆ヨーロッパリーグ制覇なら、ファーガソン勇退以来、最高のシーズンです。今は、カバーニとデ・ヘアに惜しみない拍手を。