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アドフォカート新監督はサンダーランドを救えるか!? プレミアリーグ残留レース最新事情

16日に、足元が怪しかったサンダーランドのポジェ監督がついに解任されました。 年明けのプレミアリーグ10試合で1勝3分け6敗、ここ6試合勝利なし。降格ラインの18位バーンリーと勝ち点1差では、笛吹けど誰も踊らないモードに突入してしまった熱血監督のレッドカードもやむなしでしょう。クラブは早くから後任探しに動いていたようで、翌日、新監督にディック・アドフォカートが就任したと公式サイトで発表。今季プレミアリーグ終了までのショートリリーフで、イギリス紙「ガーディアン」は来季のサンダーランドはダービー監督のスティーブ・マクラーレン招聘を狙っていると報じていますが、それにしてもずいぶん「微妙な大物」を連れてきたものです。

というのは、アドフォカート監督はクラブチームでのリーグ戦実績が今ひとつで、成功は代表監督とカップ戦に集中しているからです。母国オランダをはじめ、ロシア、セルビア、UAE、韓国などを率いてきた代表監督としての実績で最も輝いているのは、1994年ワールドカップ・アメリカ大会のオランダのベスト8。「ヒディンクやファン・ハール、ファン・マル・ヴァイクは準決勝にいったじゃない!?」と思われるかもしれませんが、デニス・ベルカンプやオーフェルマルスを中心に、準々決勝でブラジルを苦しめたチームは攻撃のクオリティが高い素晴らしいチームでした。大会直前にぶつかったルート・フリットの代表辞退が残念でしたが、短期間の大会に向けて選手をチョイスし、それなりのチームを作る手腕はなかなかのものです。

しかし、クラブとなると話は別。35年に及ぶ監督キャリアで、3年以上率いたクラブはゼニト、PSV、グラスゴー・レンジャースのみ。PSVとゼニトではリーグ優勝1回とパッとせず、1980年代後半から無類の強さを誇っていたレンジャースでは、2年連続優勝なしという当時としては屈辱の結果に終わっています。華やかな実績は、2007-08シーズンのゼニトにおけるUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)の優勝ぐらい。プレミアリーグ経験がない67歳の大御所監督が、2ヵ月でクラブを立て直せるかといわれれば、首を傾げてしまいます。

これから激しくなりそうなプレミアリーグの残留レースですが、現在はレスター、QPR、バーンリーと今季昇格組が降格3枠を占めており、サンダーランド、アストン・ヴィラ、ハル・シティ、エヴァートンまでが候補でしょう。パーデュー監督のクリスタル・パレス、ピューリス監督のWBAと、1月に腕の立つ残留請負人を招いたクラブはこのグループから抜け出しており、今季は監督解任というカンフル剤が効いているクラブが多いようです。先週、サンダーランドから今季プレミアリーグで初めて4ゴールを挙げたシャーウッド新監督のアストン・ヴィラも助かりそうな勢い。私が開幕前に書いた降格予想ではバーンリー、レスター、アストン・ヴィラとしており、最近まではなかなかいいセンいっていたのですが、根拠だったポール・ランバート監督がいなくなってしまい、どうやら「大穴」アストン・ヴィラという予想は外してしまいそうな雲行きです。

オランダや韓国、PSVを率いていたときのアドフォカートさんのチームはよく見ていましたが、選手の好き嫌いがあり、限られた選手を適材適所で使うというより、自分が集めた選手でチームづくりをしたがるアドフォカート監督は結構苦労するのではないかと思います。昨季トッテナムを立て直したシャーウッド監督や、率いたクラブを降格させたことがないピューリス監督は、使い方が理由でくすぶっている選手に適切なポジションや役割を与えてチームを活性化しています。コナー・ウィッカム、ロドウェル、スティーブン・フレッチャー、カッターモール、オシェイ、ウェズ・ブラウン、アダム・ジョンソン(練習に復帰したそうです)らに加えて、1月にジャーメイン・デフォーまで獲得したサンダーランドは、降格するような顔ぶれではないはずなのに、最近はポジェ監督がいじり過ぎて、かみ合っていませんでした。こういうチームは、それこそピューリスさんのような監督のほうがうまくいくでしょう。選手を選別している余裕はなく、どう組み合わせたら最大効果を得られるかを早期に固めるのがポイントですので。

最近、チェルシーと引き分け、マンチェスター・シティを倒したバーンリーの集中力と結束力がサンダーランドを上回ると考えておりますが、どうなるでしょうか。スコット・パーカー、カカニクリッチ、ステケレンブルク、ハイティンハ、シドウェル、リーセなど錚々たるメンバーを抱え、1月まではベルバトフもいながら降格した昨季のフラムの姿と今のサンダーランドがオーバーラップします。フラムはミトログル、サンダーランドはデフォーと冬の大型補強が勝利に結びついていないのも共通項ですね。

レスターとQPRは当確、エヴァートンは勝ち点のアドバンテージを活かして逃げ切ってアストン・ヴィラは今後浮上、バーンリーはしぶとく残る…と、ここまで「サンダーランド危ない説」を続けてきましたが、実はもっとやばいクラブがあります。ハル・シティの対戦相手を並べてみましょう。チェルシー、セインツ、スウォンジー、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプール。いやー、残り9試合でよくぞ最後に7つも残しました、というぐらいの上位&難敵だらけ。最後の一枠は彼らで決まり、サンダーランドは冷や汗びっしょりでセーフという着地予想です。みなさま、これからはハル・シティの奮闘ぶりにも注目してみてください。(ディック・アドフォカート 写真著作者/Aleksandr Melnikov)

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“アドフォカート新監督はサンダーランドを救えるか!? プレミアリーグ残留レース最新事情” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    サンダーランド2年連続の苦境ですね。メンバーだけ見ると降格争いをするようなチームではないのですが、、、。
    ハルの方が対戦相手を見ると厳しそうですが、スリリングな時期が始まりましたね。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    こちらも、上位同様もつれそうです。最後までハル・シティに注目しようかと思っています。

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