偏愛的プレミアリーグ見聞録

「トッテナムのストライカーがスパーズのトレーニンググラウンドに現れなかった」。サイモン・ストーン記者による「BBC」のレポートは、プレミアリーグカテゴリーのみならず、フットボールのTOPに掲載されています。ハリー・ケインが2日に合流するという話は、周知の事実となっていました。「コロナウイルスのテストを受けた後、ダニエル・レヴィ会長と直談判をするのではないか」。現地メディアの予想は外れ、ホットスパーウェイに昨季プレミアリーグ得点王の姿はありませんでした。

何らかの事情で合流を見合わせたのか。マンチェスター・シティへの移籍を実現させるために、強硬手段に出たのか。スパーズが沈黙を守っているため、真相はわかりませんが、移籍関連情報の精度に定評があるファブリツィオ・ロマーノさんは、「ハリー・ケインの選択」とツイートしています。ダニエル・レヴィ会長とストライカーの間には、適切なオファーがあれば移籍を認めるという紳士協定が存在するといわれています。プレミアリーグやチャンピオンシップのトロフィーを掲げたい10番は、「話が違う」と抗議したかったのでしょうか。

「スカイスポーツニュース」のトークショーに出演したファブリツィオ・ロマーノさんは、ディールが成立する可能性は小さくないと見ているようです。「今週中にはすべてがはっきりするはずだ。トッテナムはポジションを取る必要があり、マン・シティはポジションの変化に対する準備はできている」。これに対して、「マンチェスター・イブニングニュース」のリアム・コーレス記者は、「マンチェスター・シティが夏にハリー・ケインを獲得するという望みは、ジャック・グリーリッシュの到着によって終わりを告げることになるだろう」と悲観的な見方を示しています。

地元メディアの記者は、「グリーンリッシュが加入するとなると、大規模な選手売却が成立しない限り、ケインの移籍は財政的に不可能」とレポート。ダニエル・レヴィ会長が1億6000万ポンドという高額のタグを見直すかどうかにかかっているともいえます。ファブリツィオ・ロマーノさんの「ポジションを取る・変える」という表現は、レヴィ会長の方針についていっているのでしょう。出す方向で、移籍金の額を調整するのか。残す前提で突っぱねるのか。ハリー・ケインは、レヴィ会長が交渉に応じようとしないのを見て、態度を硬化させたのかもしれません。しかし…。

「ハリー・ケインがトッテナムで足を踏み外すのを見た記憶はない。しかし今回は、無実を主張できる根拠がなければ、足を踏み外したように映る。彼は事実上のストライキに突入したが、これはクラブ、サポーター、チームメイトに対する敬意を欠いている。3年も契約を残しているのに、1年しかなくなった人のような振る舞いだ。3年前に、6年契約を結んだのは自らの意志だったはずだ。スパーズは、売りたくなければ売らなくていい。今のところ、権限はスパーズにある」（カヴェ・ソルヘコル/「スカイスポーツニュース」の「ザ・トランスファー・ショー」にて）

フラットに見ると、「スカイスポーツ」の記者のいうとおりなのですが、これまでは選手と代理人が強引に押し切るという結末が多かったのも事実です。プレミアリーグ2021-22シーズンの開幕まで2週間を切りました。ストライカーが今やるべきは、新たなシーズンに向けたトレーニングです。ノースロンドンとマンチェスター、どちらでプレイすることになったとしても。