偏愛的プレミアリーグ見聞録

南野拓実とフィルミーノを欠いたクロップ監督は、サラー、マネ、ジョッタのフロントスリーで勝負です。プレミアリーグ4節、リーズVSリヴァプール。水曜日のチャンピオンズリーグでミランと戦うアウェイチームは、相手に振り回される消耗戦を避けたいところです。中盤はエリオット、ファビーニョ、チアゴ、最終ラインはアーノルド、マティプ、ファン・ダイク、ロバートソンというベストメンバー。GKはもちろんアリソン・ベッカーです。

キックオフから厳しいプレスを仕掛けてくるリーズに対して、レッズの最終ラインと中盤は下がり気味です。最初の決定機は、リーズでした。5分にハフィーニャが右から上がり、ニアに上がってきたロドリゴにグラウンダーが通ると、フリーのシュートはアリソンがパンチ。なかなか自分たちのペースに持ち込めないレッズは、7分のアーノルドの高速クロスに誰も反応できませんでした。

11分にファビーニョが敵陣で奪い、ショートカウンターが発動。マネの左足シュートは、DFに当たってCKです。ジョッタ、マネ、サラーと右につながった18分のカウンターは、マネのフィニッシュをブロックされてまたもCK。攻める時間が増えていたレッズが先制したのは、20分でした。ドリブルで上がったマティプがサラーとワンツーをかわし、右で空いていたアーノルドに展開。ボックス右を突破したSBが速いグラウンダーを入れると、マークを外したサラーの左足ボレーがネットを揺らしました。

プレミアリーグ通算100ゴールを達成したエースは、24分にピンポイントのクロスをチアゴに決めさせますが、直前の飛び出しがオフサイドを取られました。25分にジョッタが右からドリブルで突破し、ゴールライン際を進んでファーのマネにラストパスを通しますが、右足のボレーは明らかなミスキック。2分後、ロバートソンのグラウンダーを中央で受けたエリオットは、最初のシュートをクーパーにぶつけ、リバウンドを拾った2度めはGKメリエにブロックされました。

31分、ドリブルで右に流れたマネがサラーに預けてリターンをもらうと、クロスに打った左足の一撃は左ポストの外。白いシャツの速攻は、前線に通そうとするボールをことごとくファビーニョにカットされています。39分のエリオットのミドルは、左にアウト。41分のアーノルドのFKは壁に阻まれました。リーズの2度めのチャンスは43分。左から上がったロドリゴがファーに浮かすと、フリーだったアイリングの太腿ボレーは右に外れました。

前半は0‐1、シュート数3対13と完全なるレッズペースです。後半が始まって間もない49分、カウンターを仕掛けたマネがジョッタとのワンツーでメリエと1対1になると、シュートを打つ直前にカルヴァン・フィリップスのチェックで転倒。こぼれ球をサラーが押し込むかと思いきや、パスカル・ストライクが必死のスライディングでCKに逃れました。アーノルドのキックをファン・ダイクがヘッドで落とすと、落下点にいたファビーニョが混戦を制し、右足で中央に押し込みました。

0-2、苦しくなったリーズ。56分、左からドリブルで勝負したジャック・アリソンがニアのタイラー・ロバーツを使うと、右足のコントロールショットはファーポストの右に逸れていきます。痛ましいアクシデントが起こったのは、この直後でした。右からドリブルで上がったエリオットに、パスカル・ストライクがバックチャージ。18歳が倒れた瞬間、サラーが駆け寄り、血相を変えてメディカルスタッフを呼んでいます。

軽い打撲ですむ可能性はなさそうです。パスカル・ストライクは1発レッド、右のインサイドにはヘンダーソン。10人になったリーズは、68分にジャック・ハリソンが下がり、マンチェスター・ユナイテッドから来たダニエル・ジェームズがサイドに入っています。72分に前線に飛び出したアーノルドが、切り返しから放った左足シュートはメリエの正面。75分、サラーがアウトにかけたラストパスを逆サイドのマネに通すと、フリーで打った左足の一撃にはアイリングのスライディングが間に合いました。

81分、守備の流れで左にまわっていたサラーがアリソンのキックをジョッタに落とすと、ラストパスを右で待っていたマネがフリー。切り返しから放った決定的な一打は、メリエがぎりぎりまで残した左足に当たりました。ハーフライン付近でチアゴから奪ったバンフォードは、前に出ているアリソンを見て超ロングシュートを放ちますが、プレミアリーグ屈指の守護神がゴールマウスに戻って上に弾き出しました。

92分にサラーがヘンダーソンを縦に走らせ、逆サイドから上がったチアゴがクロスを受けて中央に転がすと、これまで外しまくっていたマネがトラップから反転し、ようやく右隅に決めました。0-3、レッズ快勝。今日はスーパーファビーニョ。リーズの前線と中盤を分断し続けたセントラルMFは、チームの2点めを決めた後、最終ラインまで戻って危険なボールを処理するなど獅子奮迅のパフォーマンスを見せてくれました。

最後にチアゴとマネで決めたのも、今後につながるトピックです。チャンスを逃し続け、ストレスを溜めていた10番は、ロバートソンと談笑しながらピッチを後にしました。終盤に登場したチェンバレンとナビ・ケイタは、ミラン戦ではスタートから起用されるのかもしれません。そして彼は…。タイムアップの笛が鳴る前に、自撮りの写真とメッセージをInstagramにUPしています。

「Thank you for the messages guys! Road to recovery YNWA（メッセージをありがとう、みんな！復活への道は始まっている。YNWA）」

レギュラーの座をつかみかけていたハーヴェイ・エリオットが、一刻も早くプレミアリーグのピッチに戻ってくることを祈っています。