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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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1本の電話で2人を同時解雇⁉ 史上ワースト監督候補、ジョン・カーバー氏のトホホな5ヵ月

シーズン終了直後に、「偏愛的プレミアリーグ監督ランキング」と遊ばせていただいたとき、ワースト監督については「解任になった監督に後ろから石をぶつけるようなことをいうのは好まない」と、来季も続投しそうな監督についてのみ、コメントさせていただきました。その際、こちらの監督は、私の中では「お辞めになる組」でしたので、ノータッチでやり過ごしていたのですが、ホナス・グティエレス退団の件で、さすがにあきれてしまいました。ご紹介しましょう。プレミアリーグ2014-15シーズン、どこからどう見てもワーストのニューカッスル監督、ジョン・カーバーさんです。

みなさんもご存じかと思いますが、グティエレスは、精巣がんを患いながら必死の努力で克服し、17か月のブランクを経て、3月にピッチに戻ってきた選手です。ニューカッスルに入団してから、いろいろありながら、かれこれ7年。ハートのある選手でサポーターからの信望もあり、とにかくクラブに貢献してくれたグティエレスには、仮にチームから出ていかなくてはならなくなったとしても、それなりの遇し方があるではありませんか。ところが…。

テイラーとグティエレスは、たった1本の電話で契約更新をしないことを告げられたそうです。誤解しないでくださいね、ひとり1本ではなく、「2人で1本」です。電話の主は、カーバーさん。ここからは、「スカイ」の記事から”被害者”のおふたりのコメントを引用させていただきます。

「ジョン・カーバーが携帯に電話をかけてきて、クラブは僕の契約更新をしないと伝えてきたんだ。僕は彼と少し話した。すると彼は、電話をホナス(=グティエレス)に代わってくれといってきたんだ。…彼を責められないけどね。クラブの命令に従っただけだから」(テイラー)
「契約更新がないことを伝えるにも、もっとまともな方法はあったはずだ。携帯電話だったとしても、僕本人か代理人に直接かけてきて、『今までありがとう。でも、契約更新はなしだから』というぐらいはできただろう」(グティエレス)

うーん…(落涙)。テイラーはいいヤツだし、グティエレスの落胆ぶりを想像すると、胸が痛みます。ニューカッスル監督としてのカーバーさんのダメダメぶりをお伝えするにあたって、最初に挙げるべきは、プレミアリーグ20試合で3勝4分け13敗という目も当てられない数字でしょう。前任者アラン・パーデュー氏は、7勝5分け6敗。同じチームとは思えません。しかもカーバーさん、ピッチ外でもいろいろやらかしてくれました。5月2日のレスター戦で敗れた後のウィリアムソン批判がまた、ひどい。ジェイミー・バーディへのタックルで2枚めのイエローを受けたウィリアムソンに対して、「わざと退場してラクをしようとした」とは…。自分が信頼してピッチに送り出した選手に対する言葉とは思えません。

「私は、彼はわざとやったと思う。ボールはピッチを出たところにあり、タックルに行く必要はなかった。彼はこれで2試合の出場停止だ」

さらに、ひいきの選手をベタほめ。他の選手をはじめ、周囲はドン引きでしょう。
「ロッカールームにジャック・コルバックが11人いたら、私たちはヒーローになれるだろう。サポーターが望む選手とは、ハードに戦う準備ができており、すべてを出し切れる者だ」

さらにもう一発、いきましょう。ジョークのセンスも最悪です。これまた、レスター戦の後でした。
「今でも私がプレミアリーグで最高の監督だと感じている」

わお!もうお腹いっぱいですか?もうひとつだけ、よろしいでしょうか。周囲が凍りつくこのジョークを非難され、言い訳したのがこちらです。私のツッコミつきで紹介させていただきます。

「後悔はしていない(猛省はしてください)。私は最高のゴルファーであり、最高のクリケッターだ(ほう、知りませんでした)。冗談半分に発言することは誰にでもある(半分は本気だったの⁉)。周囲や自分のモチベーションを高めるためにね(落ちましたよ、周囲は)。自分の発言について、後悔したりはしない」(カッコ内、すべて筆者)

わざと退場したといわれたウィリアムソンはかわいそうでした。イギリスメディア「BBC」に、ひたすら謝罪と釈明です。「この場を借りて、退場になったことをサポーターとチームメイトに謝りたい。ジェイミー(・バーディ)を傷つける気も、もちろん退場しようという意図も全然なかった。もっと冷静にボールを奪いにいけばよかったのはわかっている。…出場可能になったときに、チームに戻ってこられるように戦う。名誉なことにニューカッスルで5年もプレイできたけど、このクラブでプレイするのは特権のようなものだと感じている。チームやサポーターを傷つけることを意図的にしたりはしないよ」

カーバーさんは、人は悪くないんです。憎めない人、という雰囲気で。しかし、この失言の多さとデリカシーのなさは、組織のトップに立てる器ではなく、監督には全く向いていないのだと思います。ときどき、日本の政治家にも、地元の後援会では愛されていても、失言や方言で糾弾されてしまう方がいますよね。1対1、あるいは少人数相手の人間関係がメインのコーチと、1対多で仕切らないといけない監督では、求められる資質や能力が全然違います。カーバーさんについて触れづらかったのは、「今季プレミアリーグにおけるニューカッスルの凋落は、カーバーさんの責任ではなく、適任ではない人を選んだ経営陣のエラーだ」と思っていたからでもあります。ここまでトホホな状態で、「ひどいです」と真正面から正論をいっても…。しばらくガマンしていたのですが、グティエレスの話にあきれて、ついに書いてしまいました。よかったのか、どうか。

ニューカッスルは新監督を検討中と伝えられており、パトリック・ヴィエラ、スティーブ・マクラーレン、アイトール・カランカなどの名前が挙がってきていましたが、とにかく早く決めたほうがいいと思います。ただでさえ、1月という早いタイミングで粕谷秀樹氏が「クルル、シソコ、ティオテ、シセは退団意向で、2人のテイラーとコロッチーニも危ない」といっていたチームです。グティエレスの話を聞いて、新たにやめようかなと思う選手が出ないとも限りません。マイク・アシュリー会長、急いでください。来季、名門がプレミアリーグから降格したら、監督云々、選手がどうこうの前に、クラブトップの器量の問題だと思います。

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“1本の電話で2人を同時解雇⁉ 史上ワースト監督候補、ジョン・カーバー氏のトホホな5ヵ月” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ここはオーナーが問題なのは周知の事実だと思いますが、改善を全くしないチームも珍しいですね。ニューカッスルは何とも痛いチームになってしまいましたね、、、。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    パーデューさん移籍後、何もしなかったですね。来季、やばいかもしれません。

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