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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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バルセロナ、大誤算の4失点!開かなかったバイエルンの中盤

ボール支配率63%でシュート4本、無得点。パスはまわるがシュートまでいかない。いかに、自らの典型的な負けパターンにはまったのかがよくわかる数字です。しかし、バルセロナの誤算は、攻めあぐんだことよりも4点を失ったことのほうにあるのでしょう。注目のスペインVSドイツ第1弾は、アリアンツ・アレーナにバルセロナを迎えたホームのバイエルン・ミュンヘンが4-0と2年前の王者を粉砕。決勝進出が視界に入る、最高の結果を手に入れました。

前半は、バルセロナがボールを支配し、バイエルンが守る展開。ただしバイエルンは、昨季チェルシーが見せたゴール前に10人が張りつく専守防衛ではなく、前線からのチェイスを徹底し、中盤ではスペースを消しており、バルセロナに自由にプレイできる余地を与えません。素晴らしかったのは中盤中央のふたり。この試合でいちばん走ったシュバインシュタイガーはメッシを自由にさせず、ハビ・マルティネスが相手のパスを外へ外へと追い出し、危険なゾーンでボールをまわされることがないように守ります。そして25分、バイエルンが先制。CK後の波状攻撃から、ロッベンが右足で上げたクロスをダンテがヘッドで折り返し、落下点に飛び込んだトマス・ミュラーが頭で押し込みます。空中戦にさほど強くないバルセロナに対する効果的な攻撃が決まり、前半はそのまま1-0で終了。このスコアは両者にとって想定内でしょう。後半の興味は「バルセロナがアウェイゴールを奪うことができるのか」になるはずでした。しかし…。

バイエルンの2点めが、バルセロナの出鼻をくじく49分だったことが、この試合の流れを決定づけたのではないでしょうか。CKから、今度のロッベンは左足。ドライブがかかったボールはトマス・ミュラーの頭に一直線。これをゴール前に落とすと、マンジュキッチの欠場でトップに入っていたマリオ・ゴメスがボレー。1点めと同じような流れで追加点を奪われ、バルサの焦りと苛立ちが高まります。

ここからも、バルサがボールをまわし、バイエルンが守る展開が続くのですが、前半に比べるとバックパスが増え、インターセプトされることも多く、「バルサがボールを持たされている」ように見えます。右サイドから中へ切り込むメッシのドリブルも状況を打開することはできず、詰まったところをリベリーやハビ・マルティネスにチェックされ、むしろカウンターの格好の発射台と化していました。

バルサが攻めあぐむなか、73分には左からのカウンターのサイドチェンジを受けたロッベンがゴールラインまで持ち込み、角度のないところから左足で流し込んで決定的な3点め。83分にはインターセプトしたリベリーがドリブルで素早く上がり、数的優位を作って左サイドを完全に崩したSBアラバがグラウンダーをニアに入れ、走り込んだトマス・ミュラーは触るだけ、何と4-0!バルサのチャンスは、75分にFKからDFラインと入れ替わったバルトラが、フリーのシュートをふかしてしまったシーンのみ。シャビは右往左往、イニエスタは自分が仕掛けるよりバイエルン攻撃陣の背中を追う姿が目立ち、終了直前にはイエローカードをもらう始末。「決定的な形にならないとラストパスもシュートも出ない」「相手の特徴に合わせた守り方をしない」…GKノイアーとダンテ、ボアテングに冷静に守られ、ロッベンとリベリーにいいようにかき回されるなど、美しさと背中合わせのバルサの傲慢さが自らの首を絞めた一戦でした。

もうひとつ気になったのが、この試合のレフェリーが相当今イチだったことです。前半、ピケのハンドを含む2つのPKもののファールをスルーしてバルサを有利にすると、後半はバイエルンをサポート。2点めのマリオ・ゴメスは明らかにオフサイドで、ロッベンのゴールでは直前にアルバを倒したトマス・ミュラーのファールを見逃し。終了直前、ストレスが頂点に達したアルバが至近距離からロッベンの顔面にボールを投げつけるという許されざる行為にも、なぜか弱気にイエローカード。このことで、バイエルンの勝利の価値が揺らぐものではありませんが、ゲームの価値を損ねないよう、明確なジャッジ基準で裁いてもらいたいものです。

さて、第2戦は5月1日ですが、バルサがCLで0-4で敗れたのは15年ぶりだそうです。決勝トーナメント1回戦では、ミランに0-2で負けた後、カンプ・ノウに戻った第2戦で4-0と倍返しをしていますが、今のバイエルンから4点獲るのは無理でしょう。頼みのメッシが消され、打つ手を見出せず、セスクもティアゴもソングもベンチに残したままあっさり敗れたバルセロナ。今季はメッシ依存症を解消できないまま終わりそうですが、主力に陰りが見え、守備の綻びが目立つようになった王国は終焉を迎えるのでしょうか。

そして本日、スペインVSドイツの第2弾、レアル・マドリードとドルトムントが顔を合わせます。この対戦の前日に「ゲッツェと来季契約合意」の発表をしたバイエルンは、ドルトムントの足を引っ張ろうとしているようにしか見えませんが、決勝をレアル・マドリードとやりたいんでしょうか。悪いことはいいませんので、スペインの2強には眠っていただいて、決勝は「ブンデスリーガのディフェンディングチャンピオン相手に昨年2冠を持っていかれた鬱憤を晴らす」ほうがいいと思います。クリスティアーノ・ロナウドのブレ球やエジルのスルーパスなど、飛び道具が多いレアル・マドリードは危険です。一発勝負では何が起こるかわからないことは、昨年チェルシーにひっくり返されたバイエルンのみなさんがいちばんわかっていらっしゃるでしょう。いや、ホント、悪いことはいいませんから!

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