偏愛的プレミアリーグ見聞録

主要ブックメーカーのなかで、「プレミアリーグで次に出ていくマネージャーは？」というテーマでベットできるところが8社あるのですが、「オッズチェッカー」によると、オーレ・グンナー・スールシャールは総合5位となっています。

1位は不動の大本命、ニューカッスルのスティーヴ・ブルース。7試合で6ゴールと得点力不足にあえいでいるスパーズのヌーノ・エスピーリト・サントが2位で、最下位ノリッジのダニエル・ファルケが3位。ワトフォードに招聘されたクラウディオ・ラニエリは、指揮を執る前から4位にランクインしています。

1ヵ月前には本命だったミケル・アルテタは、プレミアリーグ3連勝で順位を下げて8位。マンチェスター・ユナイテッドの指揮官は、開幕3連敗の監督よりも厳しい立場に追い込まれているようです。「プレミアリーグ4勝2分1敗で、首位と2ポイント差の4位」と表現すると、不当な評価に見えますが、直近の公式戦6試合を2勝1分3敗と書けば、批判もやむなしという話になります。インターナショナルマッチウイークに入ってから、sackという言葉とともにスールシャールを語る記事が絶賛急増中です。

ケチのつきはじめは、チャンピオンズリーグの開幕節。ワン＝ビサカを1発レッドで失ったとはいえ、スイスのヤングボーイズにシュート数19対2で敗戦という結果は受け入れられません。カラバオカップのウェストハム戦と、プレミアリーグのアストン・ヴィラ戦はいずれもホームだったのに、180分間ノーゴールで連敗。先週末のエヴァートン戦は、マルシアルが決めた後に追加点を奪えず、タウンゼントの1発でドローに持ち込まれてしまいました。

勝った2試合もぎりぎりです。ハマーズとのプレミアリーグは、89分にリンガードが決めた後、デ・ヘアがPKをストップして何とか逃げ切り。CLのビジャレアル戦は、ラストプレーでクリスティアーノ・ロナウドという薄氷を踏むような3ポイントでした。6試合で6ゴール、そのうちCR7が3ゴール。守備陣は7試合連続で失点を喫しています。

最大の問題は、前線のタレントを活かしきれていないことでしょう。ジェイドン・サンチョは、ゴールもアシストもゼロ。左サイドでプレイしているのを見ると、「右サイドの強化じゃなかったの!?」とツッコミを入れたくなります。明らかにコンディションが悪いマルシアルがプレミアリーグで先発2試合を記録しているのに対して、好調リンガードの出場時間はトータルで45分。ファン・デ・ベークはたったの6分で、ファン・マタは出番がありません。

調子のいい選手を出すというフェアな競争があるわけではなく、戦術的な意図もなく、適材適所ともいえない前線の試行錯誤は、ラシュフォードが復帰しても続くのでしょうか。ファン・デ・ベークを起用する場所も展開もないなら、夏に見切って右SBを補強するべきでした。「ミラー」のフレディ・ケリー記者は、「すぐに解任したほうがいい」と主張する元リヴァプールのディド・ハマンのコメントを紹介しています。

「すべてがパッチワーク。つぎはぎだらけだ。かつては夢の劇場だったオールドトラフォードは、今は悪夢の劇場のようだ。パフォーマンスは哀れなものだ。いいサッカーができていない。ジェイドン・サンチョは甚だしく期待を裏切っている。理解できない」

「指揮官へのプレッシャーが大きくなっている。解任するのかしないのか、それが問題だ。彼はあまりにも長く在籍しているのに、進歩が見られないからだ。これはマンチェスター・ユナイテッドではない。もうすぐ監督は代わるだろう。新監督がポテンシャルを活かせるかどうかを見ないとね」

これまでも何度も解任危機とささやかれながら、謎のブーストで窮地を脱してきたクラブのレジェンドは、今季もモヤモヤを引きずりながら「プレミアリーグ4位、FAカップ準優勝」のような微妙な着地で終えるのでしょうか。確かに、進歩は見られない…。