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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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敵地で3発、一時は逆転、しかし…モドリッチ&ベンゼマにやられたチェルシー、無念の敗退!

レアル・マドリードと戦うチャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグ。「ベルナベウでの一戦は最大のチャレンジのひとつ。最低でも2点差以上の勝利が必要という難しい条件がある。とても困難であり、ほぼ不可能かもしれない。それでもトライする価値はある」と語ったトゥヘル監督は、4バックで戦うようです。

GKケパ、DFリース・ジェームズ、リュディガー、チアゴ・シウヴァ、マルコス・アロンソ。2センターはカンテとコヴァチッチ。2列めにロフタス=チーク、メイソン・マウント、カイ・ハヴェルツ、最前線にヴェルナーの4-2-3-1です。プレミアリーグ32節のセインツ戦は、0-6圧勝。いい感触を得て、サンチアゴ・ベルナベウに乗り込んだチェルシーは、初戦で喫した2点のビハインドを消すことができるでしょうか。

序盤から攻勢のチェルシーに対して、虎視眈々とカウンターを狙うレアル・マドリード。5分に縦パスでラインの裏に飛び出したヴィニシウスは、メンディが読んで先に触りました。カンテのドリブルから、マルコス・アロンソがアーリークロスを入れたのは8分。きわどいボールでしたが、カイ・ハヴェルツもヴェルナーも打てません。

11分のベンゼマのFKは、クロスバー越え。12分には、敵陣で奪ったボールをヴェルナーがボックスに持ち込みますが、左足のシュートはブロックされてしまいました。15分、縦パスをもらったロフタス=チークがヴェルナーに預け、ダイレクトパスを受けたメイソン・マウントが中央に持ち込むと、マークが外れて前にコースが空いています。右足のコントロールショットが右隅に決まり、アウェイチームが狙い通りに先制しました。

レアル・マドリードは、左サイドから仕掛けるヴィニシウスが脅威です。23分のドリブル突破をリース・ジェームズがカットすると、ボールはベンゼマの足元に入りました。左足で放ったミドルは、チアゴ・シウヴァがブロック。ビルドアップに絡む枚数を減らして、中盤を支配しようとするチェルシーは、リスキーな戦い方を最後まで貫けるのでしょうか。

28分に右から上がったのは、カイ・ハヴェルツ。中央に出たこぼれ球を直接叩いたコヴァチッチのフィニッシュは、浮いてしまいました。32分、左に出たモドリッチがベンゼマをポストに使い、落としをもらったカゼミーロが左足を振り抜くも、枠の上にアウト。45分にリース・ジェームズがFKを左に上げると、リュディガーのヘッドはニアに外れました。

ハーフタイムは0-1、シュート数は3対7。後半開始からラッシュをかけたプレミアリーグのクラブは、カイ・ハヴェルツ、マルコス・アロンソ、リース・ジェームズのシュートをことごとくブロックされています。しかし50分、右からのCKをヘッドで合わせたのはリュディガー。ボールはクルトワの指先を抜けて、右のサイドネットに突き刺さりました。

エル・ブランコはこれで目覚めるのか。55分のトニ・クロースのFKは、メンディが右に飛んでセーブしました。攻め続けるのか、セーフティ重視で戦うのか。チェルシーは、意思統一が求められています。57分にメイソン・マウントが仕掛けたカウンターは、左でパスを受けたカイ・ハヴェルツのシュートがニアに外れました。

62分、右サイドから上がったカルバハルがニアに折り返すと、バルベルデのボレーはメンディの頭上にアウト。直後、ショートコーナーからマルコス・アロンソが右足で決めたシーンは、VARを介してハンドとジャッジされました。65分に左からのクロスがベンゼマに届きますが、決定的なヘディングはクロスバーにヒット。残り時間は20分、トータルスコアは3-3です。

コヴァチッチの素晴らしいスルーパスで、ヴェルナーが左から抜け出したのは75分。カゼミーロとダヴィド・アラバを次々とかわした11番は、右足のシュートをクルトワに当ててねじ込みました。78分、左からのCKをカイ・ハヴェルツがヘッドで叩きつけると、クルトワが左に反応してビッグセーブ。劣勢のホームチームがトータルスコアをイーブンに戻したのは80分でした。

左にいたモドリッチが、右足アウトでゴール前に出したクロスはエクセレント!ロドリゴのボレーが右隅に決まり、サンチアゴ・ベルナベウは歓喜の叫びに包まれました。勢いに乗ったエル・ブランコ、モドリッチのミドルはメンディがセーブ。トゥヘル監督の1枚めは、83分にヴェルナーをプリシッチです。

92分にリュディガー、1分後にはカイ・ハヴェルツがボックス内で競り勝ちますが、いずれも走り込んだプリシッチのボレーが浮いてしまいました。決着をつけられなかったチェルシー、トータル4-4で延長戦に突入。94分のリース・ジェームズのミドルはバーを越えていきます。

96分、敵陣で奪ったカマヴィンガがヴィニシウスを縦に走らせ、左からクロスが上がる瞬間、ベンゼマがすっと下がりました。リュディガーは対応できず、フリーのヘディングがゴール左に決まって5-4。トゥヘル監督はカンテを下げ、ツィエクを左に配しました。延長前半のチェルシーはノーチャンス。サイドが変わり、ロフタス=チークとコヴァチッチに代わってサウール・ニゲスとジョルジーニョが入っています。

114分にロングボールが前線に入り、カイ・ハヴェルツのパスを受けたツィエクが左足を振り抜きますが、ニアを締めたクルトワが冷静にセーブ。117分、リース・ジェームズのアーリークロスをフリーで叩いたカイ・ハヴェルツは、右に外れた瞬間、ピッチに崩れ落ちました。最後の猛攻は実らず、タイムアップ。連覇をめざしたチームは、ベスト8で大会を終えました。

カンテとコヴァチッチがボールを散らし、カイ・ハヴェルツとヴェルナーがポジションを変えながら前線をかき回す戦術は素晴らしいのひとこと。一時は逆転に成功したトゥヘル監督ですが、ヴェルナーをプリシッチという交代策が裏目に出てしまいました。直前のプレミアリーグで2発、この日も1ゴール1アシストと絶好調のドイツ代表を残し、ペースダウンしていたロフタス=チークを下げたほうが、次なる1発の期待値は高かったのではないかと思います。

選手たちのスタッツをチェックしながらかみしめる悔しさは、凄い試合だったからこそ沸き起こる感情なのでしょう。ぎりぎりまでリスクをとって攻めたトゥヘル監督と選手たちに、心から拍手を送りたい激戦でした。マルコス・アロンソのゴールが認められていれば、プリシッチのボレーが枠にいっていれば…。チェルシーにも幸運があったとわかっていながらも、無数の「たら・れば」が頭の中を駆け巡っています。


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