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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ヴィニシウスを見失った一瞬。9本を名手に止められたリヴァプール、4年前のリベンジならず!

ファン・ダイクの相棒は、プレミアリーグでレギュラーのマティプではなく、CL仕様でコナテ。クロップ監督は、これまで続けてきた自分たちの戦い方を貫こうとしています。スタッド・ドゥ・フランスで開催されるチャンピオンズリーグ決勝、リヴァプールVSレアル・マドリード。3-1で敗れた2017-18シーズンのキーフで、先発に選ばれたメンバーが6人います。

あの試合で31分に負傷退場となったモー・サラーは、今季プレミアリーグ35試合で23ゴール13アシスト。得点王とアシスト王のダブルを達成した11番に、リベンジのチャンスがやってきました。GKアリソン、DFアーノルド、コナテ、ファン・ダイク、ロバートソン、MFファビーニョ、ヘンダーソン、チアゴ・アルカンタラ、フロントスリーはサラー、マネ、ルイス・ディアス。ベストメンバーではありますが、離脱していたキーマンたちがベストコンディションなのかが気になります。

36分遅れのキックオフ。レッズの選手たちは、スムーズにゲームに入れるでしょうか。プレミアリーグ36節のアストン・ヴィラ戦は3分にドゥグラス・ルイス、37節のセインツ戦は13分にレドモンドのミドル、最終節は3分のカウンターでネト。リーグ戦のラスト4試合連続で先制を許し、そのうち3試合は15分以内の失点だったチームは、早い時間のエラーに要注意です。

立ち上がりから厳しいプレスで、パスコースを遮断し続けるリヴァプール。レアル・マドリードは、左右のサイドにロングフィードを入れてラインを崩そうとしています。カゼミーロ、トニ・クロース、モドリッチは、4年前のキックオフと同じ顔ぶれ。巧みな上げ下げで、レッズの楔のパスをケアしています。

10分を過ぎても、レッズの中盤が繰り出す縦パスはフロントスリーにつながりません。14分にアーノルドのサイドチェンジを受けたルイス・ディアスは、カットインを試みるも打てず。16分、ボックス右から仕掛けたアーノルドが中央にグラウンダーを通しますが、サラーの右足のフィニッシュはクルトワが左手で触りました。波状攻撃からのチアゴのミドルは、守護神がキャッチ。マネの落としを叩いたサラーのシュートも、冷静なGKの正面です。

右に流れていたマネが、ボックス脇に入ったサラーに預けたのは19分。ニアに転がしたボールに走り込んだアーノルドは、打ち上げてしまいました。21分、チアゴの鋭い縦パスをボックス左で受けたマネが、切り返しで2人をかわして右足一閃。決まったかと腰を浮かした瞬間、クルトワが右手の指先でコースを変え、ポストに当たったボールを懐に収めました。

28分のファビーニョのミドルは、クロスバー越え。厳しいチェックを喰らい続けるサラーはロストが目立ち、ルイス・ディアスはサイドでキープするまでで終わっています。34分、アーノルドが左足で入れた高速クロスがサラーに届くも、ヘディングシュートはクルトワの正面。36分に左から2人かわしたヴィニシウスの突破は、カバーに入ったヘンダーソンがカットしてCKです。

40分、ロバートソンの斜めのパスがボックス左のマネへ。ドリブルで勝負して放った左足シュートは、足を伸ばしたミリトンがブロックしました。CKのクリアをダイレクトで叩いたヘンダーソンのロングシュートは、惜しくも左にアウト。45分にアラバのロングフィードで抜けたベンゼマがこぼれ球を押し込んだゴールは、長いチェックの後、オフサイドとジャッジされました。

前半のシュート数は10対1、オンターゲットは5対0。スコアレスで折り返すという展開は、4年前と同じです。後半の立ち上がりは、一進一退。ヴィニシウスへのパスが通るようになったのが気になります。54分のマネとアーノルドの連打は、白い壁がブロック。直後のアーノルドの投稿沿クロスはニアのチアゴが触れず、右腕を伸ばしたクルトワが外に弾き出しました

サラーの2度のボレーが阻まれた後、シュート1本だったレアル・マドリードの速攻が決まりました。59分、左から上がったバルベルデがファン・ダイクを引っ張り出し、ファーに合わせるピンポイントの高速グラウンダー。アーノルドは背後のヴィニシウスを見ておらず、フリーのワンタッチがゴールの真ん中に突き刺さりました。

64分、サラーが左足で巻いたコントロールショットは、クルトワが右に飛んでセーブ。クロップ監督はここでルイス・ディアスを諦め、ジョッタがセンターに入ります。69分、右のヘンダーソンがファーに浮かすと、ジョッタが頭で折り返したボールが右のポスト際へ。落下点に先着したサラーのタッチは、クルトワが足に当てました。

残り時間は20分、シュート数は17対3。74分のアーノルドのミドルは、ジョッタの足をかすめて左に逸れていきました。アンチェロッティ監督は、まだ動かず。77分にチアゴとヘンダーソンが下がり、ナビ・ケイタとフィルミーノが前線に入ります。80分、フィルミーノをポストに使ったサラーが中央に入り、迷わず左足を振り抜くと、ジョッタの足でコースが変わったボールをクルトワが外に掻き出しました。

82分、ロングフィードを受けたサラーが右から抜けたチャンスは、フリーの右足のフィニッシュを守護神がビッグセーブ。9本のシュートをすべて枠に収めたレッズのエースは、3回のブロックと6本のセーブに阻まれました。5分の追加タイムは、レアル・マドリードのペース。24本のシュートを放ったリヴァプールは、4年前の悔しさを晴らせずに終わりました。

プレミアリーグの3強を屠ったレアル・マドリードの強さは、90分を通じて同じ戦術を徹底できるチームなどないと知っていることだと思います。それまで抑えていたヴィニシウスを見失った一瞬。アーノルド、マネ、ジョッタが得意とする形で唯一の失点を喫してしまいました。マン・オブ・ザ・マッチは当然、クルトワ。前回のトロフィーの直後に、マドリードに移籍した守護神は、CLファイナル史上最多の9本のセーブでレッズを完封しました。

キーフでCL決勝、ロシアでワールドカップが開催されたあの年から、世界は大きく変わりました。しかし当時と変わらず、素晴らしいパフォーマンスを披露した36歳のモドリッチ、34歳のベンゼマ、32歳のトニ・クロース、30歳のカゼミーロ&カルバハルを心から称えたいと思います。90分を通じてテンションをキープし、相手の弱点を見極めながら的確なプレー選択ができる最強チームとして。(ティボ・クルトワ 写真著作者/Кирилл Венедиктов)


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“ヴィニシウスを見失った一瞬。9本を名手に止められたリヴァプール、4年前のリベンジならず!” への2件のフィードバック

  1. アイク より:

    今日も更新の早さが尋常じゃないですね。ありがとうございます。
    あれだけシュートを打ち、被シュートも3本の枠内1本なら十分に成功したと思いたいですが、レアルの最後の堅さにやられました。
    参りましたね、これ以上どうすればいいのか。ビルドアップでのボールロストを減らすことと、中盤のミドルと創造性ですかね…

  2. アイク より:

    失礼しました、尋常じゃないではニュアンスが微妙ですね。期待を上回るとんでもないスピードだと言いたかったのです。
    良い試合だったからこその悔しさが残りますが、最後、チームプレイヤー・ベンゼマからキャプテンマークを譲られたマルセロが、トロフィを掲げてはしゃぎ回る姿に心が和みました。レアル天晴れです。やはり今後決勝で当たるのは勘弁して欲しいですね。笑

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